▼アリアンロッドシナリオ「奇蹟の海と人魚姫」

2006年OGA秋季大会用に作成したシナリオですが、実際には使用されていません。
大会のシナリオ規定として「大樹」「イブという名の少女」「イブは嘘をついている」という3つの制約がありました。


プリプレイ
●今回予告
不毛の海に恵みをもたらす「大樹」
人々の生活を支えてきたその海に異変が起きる!
態度を豹変させる海の住人たち、沿岸に現れた不審な船……
海底に沈むという遺跡の調査に訪れた冒険者たちは「大樹の海」の奇蹟を目撃する!
次回アリアンロッド「奇蹟の海と人魚姫」 ――心踊る冒険が君を待っている!

●キャラクター作成
初期作成キャラクター5人を想定。

オープニングフェイズ
●シーン1:神殿からの依頼
 一行はとある町で冒険者として暮らしている。時は強い日差しが身を焦がす夏の盛り、冒険者たちは暑さにうんざりしながらも各々の生活を送っている。
 神殿にいるPCがいればそのPC、いなければギルドマスターが神殿に呼び出される。そして、PCたちは神殿から遺跡の調査を依頼される。場所はシーダという漁村の沖合いの海底である。報酬は一人300G(必要経費は別途)である。

「こんにちは、○○さん。暑い日が続きますね。こんな日は海水浴にでも行きたいですね」
「あ、そうだ。ちょうどいいお仕事がありますよ。……ええと、シーダという漁村の沖合いにあるという海底遺跡の調査です」
「先日、神殿の書庫から、シーダの沖合いに遺跡があることを示す古文書が発見されたんです。小規模な遺跡ですが、場所が場所だけに未盗掘の遺跡である可能性が高いんです」
「近日中に正式な調査隊が派遣されることになっていますが……今回皆さんにお願いしたいのはその下調べです。調査隊を派遣するほどの価値のある遺跡なのかどうか、それを見極めてきてください」
「中にある財宝等に関しては好きにしていただいて構いません。ただし、魔術的な装置などは調査の対象となりますのでむやみに触らないようお願いいたします」
「シーダ付近にはマーメイドが生息していると聞いています。付近の住人は彼女たちの力を借りて海に潜って漁をしているそうです。ですから、直接現地で交渉してみて下さい」

「マーメイド」分類:デミヒューマン、分類:水、レベル:個体による、識別値:10
人間の上半身に、魚の下半身を持つ亜人で、海に生息している。性格は温厚だが、閉鎖的。

ミドルフェイズ
●シーン2:漁村シーダ
 歩いて3日ほどで目的の村に辿り着く。シーダは潮騒の音と海の匂いに包まれた、ごくありふれた漁村である。冒険者が訪れることはほとんどないのか、出会う村人たちは物珍しそうに君たちを見ている。
 マーメイドの事を聞くと、村人はとたんに態度を豹変させる。漁師はまともに教えてくれない。見かねたおばさんが「あんた、この村に何をしに来たんだい?」と声を掛けてくる。

▼マーメイドとの間に何かあった?:
1週間ほど前から突然マーメイドが人を敵視し、襲うようになった。漁に出かけた船が幾つか沈められている。幸い死人は出ていないが……。
▼何か変わったことは?:
漁に出た村人が見慣れない船を沖で見かけたらしい。他に事件らしい事件といえば、十数年前に人魚の姫に恋をした男が海に身を投げたことがあった。それが元でマーメイドたちとの間でトラブルになり、当事者は責任を取る形で追放されたらしい。かなり昔のことだから今回の件と関係があるのかどうかは分からない。
▼どうやって水中で活動するの?:
マーメイドたちが持つ「人魚の涙」というアイテムを使うと、水中での活動が可能となる。先日までは貝を採集する時に協力してもらっていたのだが……。
▼マーメイドは何処に住んでいるの?:
マーメイドは沖合いの海域に姿を現す。そこは海藻や珊瑚礁が群生し、まるで海中に一本の大樹が生えているように見えることから「大樹の海」と呼ばれている。豊かな漁場なので、漁が出来なくて困っている。

 どうやらマーメイドたちとの関係を修復しない限り、彼女たちの協力は得られないようである。村人はこの状況を何とか打開したいと考えている。PCたちが申し出れば、小船を貸してもらえる。

●シーン2’:シーダ村長の屋敷
 穏やかな好々爺なのだが、マーメイドの事を尋ねると口を閉ざし不機嫌になり、問答無用でPCたちを屋敷から追い出そうとする。同席していた人が、昔、村長の息子がマーメイドの姫に恋をして海に身を投げ、行方不明になった話を教えてくれる。

●シーン3:「大樹の海」へ
 問題の場所に小船で近づくと、人魚たちが遠くに姿を現す。話しかけると、「私たちの海から早く出て行け。人間は信用できない」と冷たく言い放つ。何を言っても聞く耳を持たない。「私たちはヒトとの共存を目指していた。しかし、それは裏切られた。この海は私たちの物。ヒトは二度とこの海に近づくな」と言い捨て、彼女たちは姿を消す。その後でドラゴンスネイク1体に襲われる。(戦闘処理)
 戦闘に勝利しても、船が壊れて海に投げ出されることになる。

●シーン4:少女イブとの出会い
 海に投げ出された一行はベッドの上で目を覚ます。そこは質素な小屋の一室だった。
 部屋の中には誰もいないが、外から少女の声が聞こえてくる。見ると、15、6歳の少女がイルカと遊んでいるところに出くわす。少女は「あ……意識が戻ったのですね。大丈夫ですか?」と心配そうに声を掛けてくる。
 このシーンは真相を知る少女イブからの情報収集シーンである。マーメイドと親交のある不思議な少女であることを印象付けること。

▼あなたは「何者?」:
名前はイブ。事情があって、この島で暮らしている。詳しく聞こうとすると悲しそうな表情を浮かべる
▼マーメイドは何故人を襲う?:
マーメイド一族の姫(名前はティティ)が人間に誘拐されてしまったため、彼女たちは怒っている。
▼誘拐した犯人に心当たりは:
確証はないが、村の住人ではないと思う。最近、不審な船を沖合いで見かけることがあるが……。
▼どうやって海に潜るの?:
マーメイドたちは「人魚の涙」というアイテムを持っていて、それを使うと人間でも何のペナルティもなく水中で生活が出来るようになる。
▼遺跡って知ってる?:
知覚(12)判定に成功すれば、一瞬動揺したことに気づく。遺跡らしきものが沈む海域がある。大した規模ではなく、破損も激しい、と答える。
▼何故マーメイドの事情を知ってるの?:
個人的に親しくしているマーメイドがいて、彼女から聞いた。

※「マーメイドが人を襲う理由」は重要な情報なので、PCが聞かなければイブの方から話を振ること。

 彼女はマーメイドとの仲介役を引き受ける。
「明日の朝、もう一度船を用意してここへ来て下さい。それまでにマーメイドたちに何とか話をつけておきます」
「あ……待ってください。このペンダントをシーダ村の村長さんに渡していただけませんか?」
「渡していただければ、全て分かっていただけると思います」

●シーン5:村への帰還
 イブは一行を村まで送る。村人たちはPCたちの姿を見かけると、マーメイドたちとの交渉がどうなったのかを聞き、進展がなかったことに落胆する。

▼村長にペンダントを渡す:
 村長は驚きを隠せない。「こ、これを何処で手に入れたのですか!?」「10数年前に姿を消した息子のものです」「まさかあの子は……」
 村長は冒険者たちに礼をいい、快く船を用意してくれる。
▼イブについて尋ねる:
 近くの島で暮らしている少女。時々、村に生活必需品の買出しに訪れる。数年前に母親と一緒に何処からか流れてきた。その母親も去年亡くなり、今は少女が一人で暮らしている。女の子の一人暮らしは大変だろうと村に移り住むよう提案したが、何か訳があるのかその提案に乗る様子はない。

●シーン6:海の異変
 次の日、イブと合流した冒険者たちはマーメイドの住む「大樹の海」へと向かう。しかし、その途中で穏やかだった海が荒れ、突如船は雷雨に襲われることになる。
「そんな……大樹の海が荒れるなんて。まさか遺跡に異変が!?」
 感知(10)判定に成功すると、「大樹の海」の上に見慣れない形の船が1隻浮いていることに気づく。その特徴は村人たちが目撃した不審な船と一致する。

「大樹の海の底にはかつて人魚の女王が築いたという古代の遺跡が眠っています。本来この辺りの海域は資源に乏しい貧しい海なのです。それを豊かな海へと変えているのが、遺跡の奥に眠る魔法装置なのです」
「ごめんなさい、たとえ学術調査といえども……遺跡に足を踏み入れて欲しくなかったのです」
「魔法装置に何か異変が……急いで確認しないと」
「皆さん、私に力を貸してください!」
「海底遺跡へ辿り着くためには、『人魚の涙』が必要です。でも、今から人魚たちの集落へ出向いて、協力を仰ぐのでは時間が掛かります。だから私が……」
 そう言って、イブは海に飛び込み姿を消すが、すぐにマーメイドとして姿を現す。その手には水滴型の結晶が握られている。
「私は……人ではないのです。人間の父とマーメイドの母を持つハーフブラッド、それが私です」
「この『人魚の涙』を肌身離さず持っていてください。1日の間、水の中でもマーメイドのように活動することができます」

 大樹の海には、色とりどりの珊瑚礁や海藻が群生していて、その姿はまるで七色に光る大樹を思わせる。その豊かな自然の中で海の生物たちが数多く棲息している。
 しかし、その大樹が下の方からどす黒い色に変色していく。生命を拒絶するその不吉な色は、ゆっくりと「大樹」を覆いつくそうとしている。
 急がなくては。PCたちは海底遺跡へと急ぐ。

※ここからはダンジョンアタックです。内容は各自で考えてください。情報収集がメインのシナリオなので、ダンジョン自体は小さめでよいと思います。
海底の遺跡なので、水流を利用したトラップや仕掛けがあると良いでしょう。
敵側の目的は遺跡に眠る人魚の女王の財宝です。その過程で魔法装置を停止させてしまったのです。気をつけていただきたいのは、敵側は人魚の姫ティティを人質に取っているということです。
状況を利用し、うまく状況を盛り上げてください。
参考までにらっこが作成したダンジョンを紹介します。

エンディングフェイズ
●シーン1:訪れた平穏
 PCたちが遺跡を出ると、そこに人魚が現れる。彼女たちはまだPCたちが敵だと誤解しているが、救出した人魚の姫君が弁護して事なきを得る。マーメイドたちはPCたちに感謝の意を表す。これで村に再び平和が訪れることになるだろう。
 海上に向かって泳ぎだす際に、PCたちは人魚たちが七色に光る「人魚の涙」を持って、大樹の根元に集まる光景を目撃する。彼女たちがそれを海底に埋めると、どす黒く変色した「大樹」が瞬く間に元の姿を取り戻していく。それは太陽の光を浴びて、宝石のように淡い光を放つのであった。

 イブは両親の墓がある島を護るため、人間の村にも人魚の集落にも身を寄せず、一人で暮らし続ける。「もしこの近くへ足を運ぶことがあったら……いつでも遊びに来てください、ね?」と彼女はPCたちとの別れを惜しむ。
 別れ際、イブは再度、PCたちに遺跡を調査しないで欲しいと依頼する。どのように神殿に報告するかは、PC次第となる。

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