2009年OGA秋季大会用に作成したシナリオです。
幽霊となった小悪魔系若奥様に振り回されるお話。執事萌えの方にもオススメです(笑)


ソード・ワールド2.0シナリオ「姫と執事と幽霊屋敷」

■概要
 PCたちはある貴族の依頼を受け、忘れ去られた屋敷の探索に向かいます。
 地元住民が「幽霊屋敷」と恐れるその屋敷には、自分の死を理解せず、先に死んだ夫の帰りを待つ女性の幽霊と、彼女に仕える忠実な執事が住んでいました。
 果たしてPCたちは彼女の魂を救い、「幽霊屋敷」を解放することが出来るのでしょうか?

■導入
 PCたちは既にパーティを組んで冒険を行っている仲間です。初期レベルの冒険者4〜5人を想定しています。
 また、今回のシナリオには必ず10代後半〜30代前半くらいの年齢の若い男性キャラクターが一人必要となります。以降、そのPCを「PC1」と表記します。

 冒険者の店で過ごしていると、裕福そうな身なりの中年男(名前はネイル)が店に入ってきます。
 どうやら仕事の依頼人のようです。店主は暇そうにしているPCたちを呼び、男の依頼を受けてみないかと打診します。
 仕事内容はある貴族の館の探索です。先日、祖父の所持品を整理していたところ、祖父の兄にあたる人物からの手紙を見つけたとの事。ナーセルという人物で、この街の郊外に屋敷を構えていたようなのです。
 本来なら、遺産としてネイルの一族が引き継ぐものなのですが、 親族は誰もこの屋敷の存在を知りませんでした。
 ネイルは屋敷を手に入れたいと思っていますが、長い間、存在を忘れられていた館です。事前に使用人を屋敷に向かわせたのですが、その使用人は周辺の住人から色々と気味の悪い噂話を聞かされたため、逃げ帰ってきました。そのため、冒険者を雇って、屋敷内を調査してもらうことにしたのです。
 報酬は一人500Gです。(前金として全体で500G渡してください)
 屋敷内にあるものも、高価な宝石や美術品等の貴重な品物以外は冒険者たちが報酬にしてよいと付け加えます。

▼屋敷の場所
 街の郊外に位置する深い森の中にひっそりと建てられている。
▼ナーセル
 依頼人ネイルの大叔父に当たる人物。ネイルもよく知らない。
▼使用人が聞いた噂話
 確かに森の中には屋敷があるが、無人のはずなのに明かりが灯っていたり、屋敷の中を歩く人影を目撃した者がいる。村の者は幽霊屋敷と恐れ、むやみに近づかないという。
 
 図書館でナーセルという人物について調べた場合、資料検索判定(目標値:10)で情報を入手できます。
「100年ほど前の人物。一族の反対を押し切って幼なじみの女性と駆け落ちしたため、親族からは絶縁状態だった」

 屋敷に向かう途中に村があり、そこで屋敷の話を聞くことが出来ます。先日、ある冒険者パーティが財宝目当てで幽霊屋敷の探索に出掛けましたが、まだ戻ってこないと教えてくれます。村人たちは口々に屋敷に近寄らないようにと忠告します。 ホラーテイストの演出を行うとよいでしょう。

■屋敷に潜入
 ナーセルの屋敷は忘れ去られていたはずですが、見た感じ荒れた様子はありません。庭木なども手入れされているようです。屋敷の中も綺麗に清掃されています。
 エントランスホールには若い夫婦の肖像画が飾られています。どうやらナーセルとその妻の絵のようです。ナーセルはPC1によく似ています。
 肖像画を眺めていると、肖像画に描かれている女性が姿を現します。ただし、その姿は半透明です。
 女性はPC1を見て、「お帰りなさい、ナーセル」と駆け寄ってきます。女性のロールプレイについては、以下の指針で行動してください。

若奥様というより、お姫様といった印象の女性です。少しわがままですが、執事エディ(後述)を信頼しているため、彼の言うことには耳を傾けます。夫ナーセルのことが大好きで、夫に似たPC1にべったりと甘えてきます。

PC1が「自分はナーセルではない」と否定しても、「どうしたの、ナーセル?」「この人たち(他の仲間)にたぶらかされているの?」と、聞く耳持ちません。PC1のことをナーセルだと信じきっているようです。他PCに対しては邪険な態度を取ります。
もし、PC1が否定しない場合は、PCたちがナーセルを屋敷まで連れてきてくれたものと思い込み、全員と友好的に接します。
※ただし、中庭(後述)に足を踏み入れた後は、態度を豹変させます。


 困惑するPCの前に、執事服に身を包んだルーンフォークが現れます。彼はこの家の執事で、エディと名乗ります。
 エディが奥方に何か耳打ちをすると、奥方はお色直しをすると言い残し、自分の部屋に戻ります。この間にエディから色々話を聞くことが出来ます。
 彼は忠実で誠実な模範的執事です。そのようにロールしてください。

 エディは大体の事の顛末を知っています。
 ある日、町に出かけたナーセルは馬車同士の衝突事故に巻き込まれ、亡くなってしまいます。留守を守っていた妻リリザはそれを大変悲しみ、食事も喉を通らないほどでした。そして、リリザも階段から足を滑らせ亡くなります。
 しかし、彼女は自分の死を理解せず、ゴーストとなってしまいました。ゴーストとなった時に記憶がゆがんでしまったのか、今の彼女は夫の死を受け入れておらず、未だに夫の帰りを待ち続けています。
 屋敷を夫に代わって守っているという自負があり、屋敷を荒らす侵入者に対しては、攻撃的な行動に出ることがあります。無策に彼女と接触しては危険と忠告します。
 エディはそのようなリリザの境遇を嘆き、PCたちに彼女を救って欲しいと依頼します。

▼屋敷の様子
屋敷の見取り図をPCたちに渡してください。斎には大事なものが保管されているのか、リリザが作成したゴーレムが入り口を守っています。また、エディはリリザから中庭には出入りしないよう厳命されているので、現在どうなっているのかは知りません。中庭の先に霊廟や塔があることは知っています。

■屋敷の探索開始。
1)リリザの部屋
固く閉じられています。ナーセルの協力がないと、開かれることはありません。PCたちが中庭に足を踏み入れて以降、リリザはこの部屋にこもっています。
2)書斎
入り口をオーク(ルールブック1巻363P)3体が守っています。戦闘で排除してください。
ナーセルはかなりの読書家だったらしく、本棚にはぎっしりと書物が並んでいます。
部屋の真ん中には書斎机があります。

探索判定を行うと、達成値に応じて以下のことが分かります。
1ゾロ以外・・・魔よけのお守り(タリスマン)を発見します。
8・・・書斎机からナーセルの日記を発見します。日記には妻へ対する深い愛情がつづられています。ナーセルとリリザは幼馴染。リリザはナーセルの家庭教師を務めていた魔術師の一人娘で、彼女自身もまた優秀な魔術師(コンジャラー)だったようです。
12・・・隠し部屋を発見します。部屋の中には豪華な装飾を施された宝石箱が置かれています。解除判定(目標値:12)の鍵が掛かっており、箱の中には消魔の守護石(3巻161P。HPは1D6)が1D6個と、魔晶石(1巻249P。1D6)点分が1D6個保管されています。
3)エントランスホール
夫婦の肖像画が飾られています。きらびやかさはありませんが、上品な調度品で統一されています。特に何もありません。
4)執事エディの控え室
エディは基本的にこの部屋にいます。彼はリリザの境遇を悲しんでいて、彼女の魂を救いたいと思っています。そのためPCたちには協力的です。
5)ダンスホール
 化粧直しを済ませ、ドレスに着替えたリリザが冒険者たちを待っています。そしてPC1をダンスに誘います。
 誘いを断った場合もダンスホールにとどまっている限り、リリザはPC1の傍を離れません。わがままお姫様を演じてください。(ただし、可愛くね!)

 PCたちが中庭へ向かおうとしない限り、彼女はPC1と踊ろうとします。エントランスへ戻ることは可能です。
 庭園へ向かおうとすると、リリザは「行かないで!」と懇願し、PC1を制止します。それでも先へ向かおうとすると、PC1がナーセルではないことに気づきます。彼女は「あなた、ナーセルじゃない! 彼をどこに連れて行ったの? 彼を返して!」と激昂し、一発即発の状態になります。リリザは高レベルの魔法使い(コンジャラー)で、まともに戦闘で勝てる相手ではありません。演出でそのことを匂わせてください。

 もし、書斎でタリスマンを入手している場合は、戦闘になる直前にリリザはお守りの存在に気づき、逃げ出します。リリザが退散すれば、中庭に進めます。
 タリスマンを入手していない場合は、エディが現れ、戦闘になる前にリリザをなだめようとします。そして、PCたちにリリザを足止めしておくので、ダンスホールから出るように言います。書斎でタリスマンを入手するまで、中庭へと進むことは出来ません。
 いったん中庭に足を踏み入れた後は、ダンスホールは無人となり、特にイベントは発生しなくなります。
6)中庭
 屋敷の中は整然としていましたが、この中庭は荒れ放題です。かつては見事な庭園だったと思われますが、今は雑草の方が目立ちます。エディが立ち入りを禁止されているため、手入れをする者がいないのです。ここには霊廟への入り口が隠されています。目標値8の探索判定に成功すると、入り口を発見できます。

7)石造りの塔
 石造りの堅牢な建物です。中に入ると争ったような形跡があり、冒険者とおぼしき死体が転がっています。知力判定(目標値:10)に成功すると、残された鎧などの装備品の数と死体の数が合わないことに気づきます。
 更に塔を上っていくと、小部屋が一つ。扉には鍵(解除判定、目標値:10)が掛かっています。
 中は魔術関係の書籍やアイテムがたくさん転がっています。どうやらリリザの研究室のようです。探索を行ってください。
1ゾロ以外・・・霊廟への入り口の鍵を発見します。
6以上・・・アウェイクポーション(1巻248P)を発見します。
10以上・・・リリザの研究ノートを発見します。彼女はゴーレムの作成が得意だったようです。1000Gの価値があります。
8)霊廟
入 り口の扉は魔法的な鍵で閉ざされています。何かをはめ込む必要があるようです。内部に入るためには、塔にある研究室から入り口の封印を解く鍵を入手する必要があります。

 霊廟の内部は長い間、開かれることが無かったらしく、空気が淀んでいます。中には棺が一つ収められています。近づくと、PC1によく似た若い男のゴーストが出現します。彼が屋敷の主人、ナーセルです。
 ナーセルは冒険者たちに今回のことを謝罪し、妻を救いたいので力を貸して欲しいとお願いします。承諾すると、妻を説得できるのは自分だけだと話し、PC1の体に憑依します。

■救済
 ナーセルはリリザを説得するため、彼女の部屋に向かおうとPC1に告げます。彼は妻の部屋の鍵を開くパスワードを知っています。
 部屋の中にはフラービィゴーレム2体(1巻366P、1体は剣の欠片3つ所持でHP+15点)が待ち構えています。まずこれを倒さなければ、リリザと会話することは出来ません。フラービィゴーレムを倒すと、彼女は半狂乱になり、自分はただ、夫の留守を守っているだけなのにどうして屋敷の平和を乱すのか?、と泣き出します。そこにナーセルの霊が現れ、リリザを説得します。
「僕も、そして君も既にこの世の住人ではない。本当は君も分かっているはずだ、さあ一緒に行こう」
 ナーセルはリリザを説得し、2人の魂はようやく救われることとなります。

 リリザが消えたことにより、館は平穏を取り戻します。執事エディは冒険者に礼を言い、私の役目もこれでおしまいのようですと告げ、静かに動作を停止します。(寿命なので、救うことは出来ません)

 街に帰った後、依頼人ネイルに事の顛末を報告すると、約束どおり一人500Gずつ報酬を払ってくれます。ネイルは執事エディの忠誠に敬意を表し、屋敷を処分することなく、一族で大切に守っていくとPCたちに話します。

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