感覚過敏症とアスペルガー症候群 ―感覚統合による対応―

1944年オーストリアの医師ハンス・アスペルガーは彼がそれまで見てきた子と違ったグループの子ども達について発表しました「小児期の自閉的精神病質」。それから60年ユニークな子ども達を1994年のアメリカ精神医学会の「精神疾患の分類と診断の手引き」に掲載されました。

多くのその後の、研究により、アスペルガーの症状の特徴は把握できました。
しかし、感覚の過敏性の事柄は、あまり触れられてこなかったのではないでしょうか。
母体の中における胎児の体の動きや位置の変化、羊水の温度、指しゃぶりの感覚、外から聞える音、情報の一つ一つが、中枢神経系の発達を促進している。そのため母親は胎児の中枢神経系の成長や発達を促すために、クラシック音楽や本を妊娠中に聞かせたりする。

私達の体全体にある、個々の感覚系すなわち、触覚、前庭感覚、固有感覚、視覚、聴覚、味覚、嗅覚の受容体という特別な細胞は、中枢神経系に情報を送る出発点となります。体のいくつかの部分はほかの部分よりも受容体の数や密度が増している。そのため感覚処理のためにより多くの情報を提供します。脳の特定部位はその情報をほかの部分と比較したり、結合したりして、脳はそれを識別するか保護するかを選択します。この2つの機能が、さらなる感覚経験の基礎となる。

それぞれの感覚系には、中枢神経系が判断するための詳細な情報を提供する、マッピング・識別という機能があります。

感覚系はまた、保護機能という、危険や危害を避ける手助けをする機能を持っている。神経系は“怖がれ、逃げろ、戦え”という保護的な応答や反応をする。生体反応は、生き残りのため発汗、瞳孔の拡大、心拍数の上昇といった生理的反応を伴います。それはその人がどのように感じたか、見たか、触ったか、聞いたか、ほかの感覚で感じたかによって引き起こされます。

私達のさまざまな経験感覚を“理解”するために統合プロセスが必要です。始めに、登録、つまり刺激に気がつきます。そして、それに対して定位し、注意を向けます。次に、その感覚を現在の情報や過去の経験から解釈しようとします。組織は脳がその感覚に対して、どのように反応したらよいか決定するときに起こります。最終段階 実行 で、実際に感覚に対して応答します。

実際は首尾一貫した単純なものではありません。
このプロセスは脳に記録され、同じような経験をしたときに、そのときの情報を利用する。

登録
登録とは気づくことを意味します。この刺激に気づく段階は刺激閾値とも言います。感覚統合のプロセスで触ったり、味わったり、嗅いだり、することが“知る”段階です。中枢神経系が次の行動を考える前に、この刺激閾値は一人一人違ったものを持っている。「低い刺激閾の場合、神経系が反応する段階に達するまでに多くの刺激を必要としないため、刺激に対して過敏に反応するようになります。逆に高い刺激閾の場合、反応する段階に達するまでに多くの刺激を必要としますから、刺激に反応しにくくなります。」さらに、その後の段階に移行することを喚起する刺激の強さや、量は個人差があります。

それから、この刺激に気づく段階は時間帯、ストレスのレベル、感情の状態、肉体的健康状態、そして、おなかの空き具合などで変動するのです。遺伝的要因、環境的影響、過去の外界との接触経験などが影響します。さらにある特定の感覚に対する刺激閾が高い低いがあります。

定位
定位は普通、登録後に起こります。この段階で刺激に意識が向けられます。この時、脳は何に注意を向けるのか、また何を無視するのかを決定する。

解釈
解釈は、過去の経験と、今起こっていることを関係付けるときに起こります。経験には感情、記憶、また話した事柄までも含まれます。解釈の段階で重要なことは、身を守るために起こる“怖がれ、逃げろ、戦え”といった反応です。

組織
組織は出来事に対して応答が必要か、また、どんな応答したらよいかを決めるときに起こります。

応答の実行
感覚統合の最後のプロセスは感情の表出や行動の実行、つまり応答を伴います。無視することも応答の実行となります。

我々は実生活で登録から応答まで、通常1秒にも満たない速さで起こります。その速さと連続性にて、一つ一つの段階に気づかないのです。

脳における正常な感覚の調整は調和やバランスの感覚を保ちます。この調節機能は、全体的な効果を生み出すための個々の楽器のパートに指示を出すオーケストラの指揮者に例えられるでしょう。

ほとんどの場合、感覚統合のプロセスは、情報処理をして効果的に働きます。
運動企画能力は効果的な感覚処理により、体を動かす能力を助けます。

・ 行動に関する概念が思い浮かぶ
・ 体がどの位置にあるかを正確に知る感覚
・ 行動を開始する
・ 適切な順序で行動を起こす
・ 必要に応じて調整をする
・ 行動をいつ止めるかを知る

感覚の情報の正確な処理は、よく調整された運動的活動を効果的に企画する能力に影響する。効果的な感覚処理能力を持つ人は強力な感覚実行能力を示す。

・ 騒音下でも気にしないで庭で遊べる
・ 好き嫌いがあっても、色々な物を食べられる
・ 親と一緒に人ごみをかきわけて、他人の隣の人とぴったりと接していることを気にしないで待っていられる
・ 祖父母の行く店での歌や踊りを我慢できる
・ 校庭で遊んでいる子ども達の声等に気を取られないで、授業のプリントを終えられる
・ 先生の指示をよく聞いて一定時間、席に座り、授業の課題を終えることが出来る

反対に
・ ジーンズや化繊などの“硬くてごわごわした”洋服を着ることに耐えられない
・ 歯ブラシが唇に触れると吐きそうになるので歯を磨こうとしない
・ 公園のジャングルジムは登りたがらないが、ブランコは乗りたがる
・ スーパーの特定場所、例えばニオイのする肉や魚売り場に近づけない
・ 列に並んで人が服に触れると、過剰に反応したり、席に座っているときには常にもぞもぞ動いている
・ 先生が話している場合、先生の方を見ることは出来るが、周りの音、例えば蛍光灯のノイズなど、関係のない音を遮断して先生の声だけを聞く事が出来ない

運動企画と感覚統合

自転車に乗る
まず、自転車がそこにある事が脳に登録されます。脳は覚醒状態です。そして、自転車の構造や役割が分かり、それに乗って遊びに行きたいという気持ちが生まれます。ここで、自転車に乗るという概念が脳の中に形成されます。

次に、どうすれば自転車に乗れるのか、順序が脳の中で組み立てられます。
(ハンドルを両手でつかむー片足をペダルに乗せるー・・・etc)。この時点では、身体地図が脳に収まっていることも必要で、それを基礎に動作の順序は企画されます。続き、プログラムされた動作を実行します。ところが、最初から上手くはいきません。何回もよろけたり転んだりします。そのたびに、フィードバックが働き、次は転ばないようにとプログラムが書き換えられます。こうして、上手くはないが徐々に自転車に少しずつ乗れるようになります。この繰り返しがさらに障害物を避けたり、無意識に自動的に調節が出来て上手に乗れてしまうようになります。

アスペルガー症候群の特徴
・ 平均かそれ以上の知能
・ 社会性とコミュニケーションの欠如
・ 強迫的で狭い範囲に限定された興味
・ 具体的に、ことばを字義どおりに受け取る考え方
・ 融通が利かない
・ 問題解決、組織的思考に問題がある
・ 関係のある刺激とない刺激の識別が難しい
・ 理解不足、ストレス、防御的パニック反応などからよく起こる問題行動
DMS−W、ICD−10「国際疾病分類、世界保健機関」はことばのコーナーに掲載しています。参照してください。

触覚
生後触覚は目覚しく発達します。口の周囲から、生まれつき持っている反射を利用して、ものの識別や探索行動即ち、おっぱいを探る、母乳を飲み込むなどです。さらに、何でも口に持っていく行為が現れるにつれ、反射は抑制されていきます。触覚は探索行動や危険回避の動きに使われますが、その両者は上手くバランスがとれて働く事が大切です。

私達の触覚には、外界に危険や害がないか確かめるために使われるもの『防衛反応』と、物の感触や形・大きさを触って確かめるために使われるもの『識別反応』がります。2つの触覚刺激を脳に伝える経路が「防衛反応」では、脳幹網様体を通り、視床を経由して大脳辺縁系や大脳皮質全体に情報を送る。これらの部位を活性化したり逆に鎮静化します。

「識別反応」は脳幹網様体を通らず直接視床に入り、感覚がきわだつように処理され、大脳皮質に送られる。

通常はこの2つの触覚はバランスがとれているが、ときにそれが崩れる場合がある。問題なのは、この2つのバランスが崩れると、特に『識別反応』が優位になると、刺激を排除、逃避反応になる事を「触覚防衛」といいます。このようになると、何でもない触覚刺激に過敏に反応します。これが一般の人には理由が分からずに問題行動になります。子供自身も触覚刺激のために落ち着けなく、多動や注意散漫になります。友達とも遊べなくなる。

ビロード、絹、木綿、羊毛、チョークetcに異常な嫌悪感を示し、下ろしたてのシャツ、繕った靴下のごわごわ感が耐えられない。爪を切ったりすると、よく癇癪を引き起こす。特定の生地か我慢できる衣服しか着ない。決まった洗剤で洗濯した物でないと着ない。切る前に洋服のタグとそれを縫い付けていた糸も取らないと着られない。タオルや石鹸が不快に感じる。髪の毛を洗われる事を嫌がる。特定の舌触りの食べ物や決まった温度の食べ物しか食べられない子もいます。栄養バランスの偏りが問題になります。感覚過敏症から感覚鈍麻への連続体の何処でも位置しうる。一つのこのような状態が、様々な問題を引き起こし、家や地域社会での活動や、学校での達成度、友人関係、社会的関係などに悪影響を及ぼす。

触覚の過敏性
普通の人なら、何かに触れた時、人との接触など、何も感じないのに、アスペの人は身体的不快感を覚えます。触覚防衛と呼ばれるこの過敏性は、アスペの人達の機能全般にわたって影響する事があります。

・ ある子は、図工の時間に手に触れた糊の感触が原因で金きり声をあげる
・ 紙粘土で火山を作る手伝いを拒んだりする
・ 誰かが近づくこと、触られることを恐れるあまり、友達から離れて立ったり、近づきすぎた友を
 押しのけたりする。友達は意地悪と思い、お返しに押し返したり、無視したりします。
・ ドッジボール、野球のボールを持っている事が出来ない。触れる事に嫌がる
・ シャボン玉の液が手に触れる感覚、シャボン玉が腕に当たってはじける感触が耐えられない
このように、休み時間の遊びにも、集団で行なう遊戯や競技を楽しめなく、安心できなく、孤立してしまう。

触覚の感覚鈍麻
過敏な人と反対に、アスペの子は感覚鈍麻の子がいます。とても硬かったり刺激が強かったりしない限り、触れているものを感じたり、気づく事がない。そのため、彼らは注意を引こうと体に触れてくる人に対して、反応や注意が遅くなる事が良くある。そのため、注意を引こうとしても気づかず、無視されているように思いがちです。極端な場合、擦り傷やアザが出来ても気がつかない場合があります。又、アスペの子は人と人の距離を取る事が苦手です。そのため、触る事で自分の位置を確かめることをします。結果、見知らぬ人にも家具のように触りまくるので、嫌がられます。

感覚鈍麻は筋肉の弱い緊張状態を伴う事もあります。そのため、アスペの子達はぎこちなく見える場合があります。椅子に半分腰掛けたり、他人にぶつかったり、つまずいたりします。また、握力が弱かったり、運動中に疲れやすかったりします。

触覚が鈍感な子ども達は感覚刺激を求めます。イライラした時、自分を叩いたり噛み付いたりします。動揺すると爪を噛んだりします。きつい服を着たり、ゴムのきついものを身に付けても気にならない。触覚刺激を渇望しているように見える。

前庭感覚
重力や加速度に反応する感覚で、体の動き、姿勢、視野、バランス、体の左右の調整をしている感覚です。三半規管は回転に関する動き、耳石器は水平・垂直の動きを感じる。前庭覚はとても強い感覚で、他の感覚と多く連絡を取っている。脳幹の「網様体」とつながり、大脳皮質全体の覚醒状態をコントロールします。ゆっくり揺らすと、また車に乗ると赤ちゃんは前庭から脳幹網様体に覚醒水準を下げて、スヤスヤ眠ります。また視床下部にも連絡があり、不規則で強い揺れは吐き気などの乗り物酔い状態(自律神経刺激状態)になります。姿勢を保つために筋肉の緊張を調整したり、姿勢と頭の位置を調整したり、視覚の眼球の自動的な運動でコントロールしたりします。この感覚にも過敏な場合と鈍い場合があります。アスペルガー症候群の約半数が何らかの前庭感覚に問題を持っています。

重力不安は、体の動きや頭の位置の変化、高さなどによって、普通では考えられないような恐怖や不安が起こるもので、姿勢不安とも呼ばれる。単に臆病でなく、前庭覚が脳で上手く処理されなかったり、固有受容器との統合が上手くいかないときに見られる現象です。

前庭感覚の過敏性
動きに関る活動に対して、低い耐性を持っています。地面にまっすぐ立っていることは出来ますが、方向やスピードを変えたり、立っている以外の時に、体の位置を保つ事は困難です。自分達の足が地面から離れることを怖がるため、重力に対して不安定と言われています。一部のアスペルガーの子達は体を安定させるために、関節を決まった角度にしたまま動かさない事すらあるようです。

さまざまな活動に参加する場合、良かれと思い参加を促しても拒否して、無理やり参加させると病気になるかもしれません。遊んでいると、このような子ども達はゆっくりとしたペースで走ってもすぐに疲れたり、地面に座り込んでしまいます。ほとんどのスポーツは正常な前庭機能が必要です。友達はなんとなくアスペルガーの子は前庭感覚に障害があることを感じ、遊びでチームに分かれるとき最後に選ばれたりする。でんぐり返しは新しい姿勢をとる恐怖、身をかがめるときに失う方向感覚、体を回すときの緩慢さが、弱い耐性と新たな失敗を経験してしまう。黒板から字を写すことに苦労をしたり、本のどのページを読んでいるのか分からなくなる事がある。作業は中途半端でずさんな結果になる。上手くいかないと癇癪を起こしたりするので、どの感覚がイライラさせているのかを知り、対策を取る事で生活が順当に行く事があります。
前庭感覚が過敏な人は動きを伴う活動への耐性が低い傾向がある。

前庭感覚の感覚鈍麻
一般的な感覚を持っている人なら、ふらふらしてしまうぐらい気持ち悪くなってしまうくらい強く揺すっても平気な子がいる。この様な子は体の動きがぎこちなく、何かを始めたり止めたりする事が難しい。

固有感覚
筋肉や関節は情報を送り、動いたり、座ったり、物を持ったり、バランスをとる手助けをしている。体の内部からの情報を脳に伝えます。これが固有感覚です。これで、下を見ないで椅子に座ったり、鏡を見ないで正しくシャツを着る事が出来る。立っている時でも、足の裏、膝、股関節などから体重のかけ方や力の入れ具合などの情報が送られます。歩く時もバランスを保ち、重いものを運ぶ時の姿勢を維持する助けをするし引き伸ばされた筋肉や健から脳に情報が伝わります。固有感覚のおかげで、意識することなく行動が出来ます。しかし、一部のアスペルガーの子ども達は、この事が自動的でない場合があります。

視覚
視覚は見えていれば十分ではなく、多くの経験の上に、他の感覚と統合され、始めて周囲の世界に関する正しい情報を脳に送れる。

*一行ずつ本を読むのに、眼球を動かす筋は固有受容覚を利用して、次の行に頭に持ってくる微妙なコントロールをすると共に、眼球が動いて網膜に写る文字が移動しても、それを補正して読めるように調整します。ものの形の認知にも、必要な要素としての角や辺を探索する眼球の運動が必要です。図と地の弁別―ごちゃごちゃした図柄の中から必要なものだけを抜き取り、残りの部分を背景として抑制する働きーが必要です。後ろを振り向いて目標を見つけるには、頭の回転に伴う視野のずれを補正するために、前庭覚の助けが必要です。さらに視覚は手を使って物とかかわるときに、大切なガイドの役割をします。

感覚に比べて、アスペルガーの子どもは視覚は比較的に長所です。
時に、探し物が出来ない事があります。社会科の教科書が理科の教科書の上にあるのが見えない。戸棚の中のすぐ目の前の缶詰が見えない。たんすのTシャツが見えない。しかし、同じ子が150枚のポケモンのカードから特定の一枚を探し当てる事が出来る。やる気と集中力の問題だけなんだろうか。やる気と集中力があれば短時間に物を見つけられるはずだということです、しかし、疲れやすくたくさんの努力を必要とするために、長い時間持続させる事が難しい。

書くことに問題のある子は、部分的に視覚にその原因があるようです。
筆跡はずさんに見えます。黒板や机の上のお手本を写すときでさえ、線に沿ったり、適度な字間を保つ事が難しい。きちっとした字を書こうとするあまり、頻繁に消しゴムを使います。さらに、筆記した内容と、実際に分かっている事が一致しない事がよくあります。IQが144の子の場合、辞書にある総ての英単語のスペルが口頭で言えます。しかし英単語の筆記をさせると、スペルの間違いをしがちです。書き取りテストは40点、口頭テストは正解率90%を超える。このようにアスペルガーの子どもは、他の人には理解しにくい視覚過敏性があります。蛍光灯が瞬くのが気になり集中できない。本を読んでもらうのは好きだが、自分で読むと辛く、行や単語を飛ばし読みし、指で文字を追って読んでも、スムーズな読書が出来ない。

聴覚
聴覚も他の感覚と統合されてないと大脳皮質で上手く働かない。周囲で聞きなれない音がすると、その方を振り向きます。自動的な反応で、赤ちゃんの時から出現します。この反射は音の方に頭・体を向ける、バランスを保てるだけの平衡反応が必要です。目もその方を見ます。視覚の統合も含みます。うるさい街中での会話時、雑踏の中から相手の声だけを拾い出し、その他の音は抑制するように自動的なメカニズムが働きます。聴覚情報は、中脳や小脳へも送られ、他の感覚や運動情報と統合され、単なる音の固まりから意味を持ったまとまりへと変化していきます。この情報を受けた大脳皮質は初めて本来の認識・解釈が出来る。皮質下に問題があれば大脳皮質はぼやけた写真を見て正確な判断を下すように指令を受けて困惑してしまうでしょう。

一般的な聴覚障害の聞こえない、聞こえるではなく、聴覚処理の問題です。
聞く能力は備わっているのですが、効果的に、正確に聴覚情報の解釈をしていないようである。85%に何らかの問題があるようだ。

アスペルガーの青少年は音に対して過敏か鈍感あるいはその両方ともある事があります。処理しようとする刺激の種類によって、この両極端の間の何処にでも位置する可能性もあります。

聴覚の過敏性
一部のアスペの子達は騒音に対して拒絶反応を起こします。ほんの小さい音でさえアスペの子たちにはイライラの原因となります。バイオリンの音、もののこすれる音、金属ホークの皿の引っかく音etcに我慢ならなく激怒して耳をふさいでしまいます。テレビがついている状態で他の人の話を聞く事が出来ない。
教室でひそひそ話しをしていると、授業に集中できない。でも一般の子ども達にはとても静かな状態と感じている。

聴覚の鈍麻
63%の親や教師は周りが静かなのに、言われた事が聞こえていないようだと報告しています。

味覚
この感覚も問題になる感覚です。
・ 一般の子どもが食べるようなものの味を嫌う
・ ある特定の味を持つものしか食べない
・ 偏食
様々な食べ物を食べない場合、栄養のバランスが問題となります。とても辛いもの、酸っぱいものを好む傾向がある。野菜や乳製品はほとんど食べたがらない傾向もある。

嗅覚
アスペルガーの75%以上が口腔感覚過敏症といわれる。嗅覚は口腔感覚に属する機能です。
私達は日常、色々なにおいにさらされています。しかし、周囲の環境のにおいに対してその存在をあまり意識しません。アスペの子どものうちにおいに敏感な子達は、
・ 先生や生徒のアフターシェービングローション、オーデコロン、香水
・ 黒板や床を掃除する洗剤
・ 接着剤、のり、絵の具などの図工用品
・ 給食
・ 体育館や体育用室
・ 体臭
・ 料理
・ ほこり掃除用具やモップ、窓拭き洗剤
・ 風呂の洗剤、石鹸、シャンプー、リンス
・ ペットのにおい
・ スーパーでのお買い物は色々なニオイの複合でパニックになる等々

アスペルガーの特徴
・ 不安傾向にある
・ 失敗すると感情的に爆発する
・ 挫折に対する抵抗力が弱い
・ 他人からの批判に敏感になる
・ よく泣く
・ 計画、見込んでいたこと、日課の変更についていけない
・ 物事を効率よくやり遂げることが出来ない
・ 身振りや表情を正しく読み取ることが出来ない
・ 精神的に成長しにくい
・ 友達が出来にくい
・ 日常の出来事に対してほかの子よりも保護が必要である

一生懸命にやっているのに、達成できない。先生が怒っているのか喜んでいるのかが判らない。いつもの環境と異なる場合、不安が強まり、泣く、叫ぶ、かんしゃくなどの情緒的な不満として表現する。引きこもる場合もあるが友達を欲している。社会的言語の理解が出来にくく、絶えず緊張した生活を強いられる。

周りから嫌がらせやいじめを受けやすく、友達が面白がって、指図した行為がアスペの子が行った結果がどうなるかわからない、例えば、規則を破るような行動を強いられ、また友達と一緒にいるとこういうこうとはするものだという解釈をアスペの子はしてしまいます。その結果は先生や、上の学年の子達に呼び出されて注意を受ける羽目になる。アスペの子にはわけが判らず、仕掛けた友達は影で面白がるという事は往々にして経験することです。しかし、上の子や先生が感受性が豊かで、そのこの様子を見ていると、この子が意図的に行ったとは思わないでしょう。その子をどのように見るのかが問われるシーンです。

アスペルガー症候群の青少年は、学習、行動、社会・感情、余暇、娯楽、職業など様々な場面で、複雑な振る舞いをします。感覚問題はいつも同じでなく不規則に起こり、家庭、学校、社会での振舞いに干渉してきます。行動を共にしてて困る事は、この様な行動が散発的で、同じような状況でもあるときは起こり、あるときは起こらない場合があることです。

影響を受ける要因
・ 時間割、行動などがどの程度構造化されているか
・ 求められている作業・仕事
・ かかわっている大人の性格
・ アスペルガー症候群の人のストレスのレベル
・ 日課や習慣の変化
・ 指導の仕方
・ 休息の量
・ ものごとの抽象性のレベル
・ その他の可変要因は、個人の取り巻く状況特有のもがある。

不可解な行動・反応の原因を特定し解決法を見出す:感覚探偵になる必要性
個人が感覚的に必要とするものについて正確で有効な評価をするには、その子どもと環境についての綿密な調査が必要となる。アメリカでは色々と評価法が考案されています。

また、アスペルガーの青少年の感覚的要求に応えられるプログラムもいくつかあります。
それにもかかわらず、アスペルガーの青少年には複雑な要求があります。ある日効果があった指導法も翌日には上手くいかないかもしれません。さらに、指導法によっては、全く適したものではないかもしれない。この様な複雑さを考えたら、普段の行事に参加できなくなったり、他人に迷惑をかけたりするのでなければ、感覚に起因する行動はそのままにしていたほうが良いかもしれない。それは、個人の好みや本人の感覚特性を尊重する事です。
大切な事は、感覚探偵に夢中になるあまり、子どもの個性をあなたが楽しむ機会を失わないようにすることです。

感覚統合
大脳皮質は人間の行動に大きな影響を与えますが、単独で総てを行なっているわけではなりません。皮質下の助けがないとやってはいけないのです。

読書―来客―声がするー立ち上がるー玄関めで行くー扉を開けるこれだけの行動に意識されない皮質下の働きがあります。聴覚の定位、姿勢や歩行の調節、手の使い方の調節など、感覚統合とは、こうした意識されない皮質下の働きによって生の感覚が整理され、大脳皮質がそれを使いやすくしている。この様な脳の働きによって行なわれる感覚統合は原則があります。

@「感覚は脳の栄養である」一切の感覚を断ち切った生活実験では、健康な人は数時間で幻覚が生じ、体調の復元にかなりの時間がかかる。動物の脳は感覚を多く与えた脳は少ない脳より重かった。

A「感覚入力には交通整理が必要である」目的に応じて不必要な刺激を制御し、必要な情報のみ抜き出し大脳皮質に送り出す役目は、感覚統合の本質的なものです。誰でも、騒音下、目がちかちかする環境では本を読めないです。

B「感覚統合はピラミッドのように発達する」最も基本が、聴覚、前庭覚、固有受容覚、触覚、視覚です。この基本感覚が十分に発達して始めて脳の中に体の地図(手足、頭、体、位置とその動かし方)が出来る。それを基に運動企画や注意の持続が可能になり、ことばや概念が発達してくる。そうして人間としての様々な能力が開花する。

感覚統合のピラミッド
第一段階:姿勢を保つ、バランスをとるetc
第二段階:自分の体をイメージする、慣れない運動を組み立てるetc
第三段階:目で見たところに正確に手指が行く、形や音を区別できるetc
第四段階:感覚統合の最終産物

感覚統合は胎児のときから、お母さんが胎動を感じる頃、すでに触覚や前庭覚の基となる感覚が生まれ始め、指しゃぶりさえ、生まれる前に口の触覚を使う練習をしています。誕生と同時にすばらしい発達を遂げ、大人に近い形になるのは10歳頃です。

感覚統合が発達するためには、子どもは環境に積極的にチャレンジして遊ぶことによって様々な感覚や運動の経験を積み重ねる必要がある。
*3ヶ月の赤ちゃんは、腹ばい姿勢から頭を持ち上げることで、首のすわりを獲得していく。
*6歳児にとってクレヨンや鉛筆で自分の名前を書くことで、就学時のための予習をする。
*これらは十分に体を使って遊び、塗り絵やはさみを使う経験などを積んできた子達に取っては困難な事でなく、課題をやり遂げた達成感が更なる課題に挑むエネルギーとなる。

情動の調整と行動・学習
文章を読んでいる時、目は本以外のものも映っているでしょが、また周囲からの音、衣服などの触感、椅子と尻の圧感もあるはずですが、本に集中して文字を追っています。これは、脳に刺激を調整できる機構が備わっているからです。

入ってきた刺激は、神経細胞を中継して伝わっていきます。適度な反応で次々と神経に伝わっていくと調度よい反応です。少しの反応にでも刺激を感じてしまうと次々と過敏な反応が伝わります。また、覚醒維持にもっと多くの刺激が必要な場合、体をたくさん動かしたり、あたりを動き回るために多動になります。少しの刺激で反応する場合も多動になりますが、不要な感覚刺激を抑制できないために行動にまとまりがなくなってしまうからです。

自転車乗りや字を学ぶ時に、自動的になる事は、大脳皮質下でのコントロールが可能になるという事です。しかし、もし、皮質下で行なわれるべき事が大脳皮質で行なわれたらどうでしょう。おそらく、大脳皮質本来の働きであるー認識、推理、判断などの高次の精神作用―は片隅に追いやられ、代わりに一生懸命に眼球を動かしたり、焦点をあわせたり、聞こえる音に耳を傾けたりして大変な努力を要します。その結果、肝心の学習しようとする事はお留守になり、疲れ果ててしまうでしょう。逆に言えば、大脳皮質が高度な活動を行なえるのは、感覚統合に関することを安心して皮質下に任せられるからだと言えます。

学習で大切なもう一つは、人と情動との関係です。主として大脳辺縁系の機能との関係です。学習した事がよく記憶されるのは、自分からしたくて楽しく行なったときです。感覚統合療法でいう適応反応は、この情動面を大切にしたものです。
子どもの知能にそれほど問題がない場合、学校の勉強が上手く行かない場合、皮質下や大脳辺縁系が本来の仕事をしていない可能性があります。大脳皮質が皮質下の分まで仕事をしているかもしれないと考える事も出来ます。

偏在性の発達は、生まれて4〜5ヶ月になると仰向けで両手や両足の指を一緒に口に持って行きしゃぶる事があります。お座りが出来ると、両手があくので、それぞれに物を持ったり持ち替えたりします。8ヶ月頃になると“イナイイナイバー”や“オツムテンテン”など両手を同時に使います。1歳を過ぎる頃には、ことばが出始めますが、この頃スプーンを持たすと何とか自分で食べようとします。そのとき見ていると、どちらの手を使う回数が多いか気がつきます。2〜3歳になると、クレヨンを持って殴り書き、手遊び、玩具を押して遊ぶなどで手が次第に決まってきます。小学校前には利き手と、非利き手の役割分担して上手くやっていけるようになる。

この偏在性(ラテラリティ)と両側統合の発達は、人間が環境とかかわる際に大変重要です。空間における方向を明らかにすると共に、その中での自分の位置が理解されるようになります。また言語や空間認知の発達にも影響を与えます。

空間認知
視空間認知の機能は、言語と逆に右大脳半球にあります。この機能を平衡機能検査の一つとして、立体的なサイコロを書かす検査があります。空間認知が出来ないと、サイコロを立体的にかけません。即ち、右大脳半球に問題があるということを示すサインです。

生後10時間〜6日でお母さんの顔のような目や口などの輪郭のはっきりしたものを好んで見つめるようになりますが、赤ちゃんがはっきり目覚め、体動がほとんど無く、周囲に対する注意が十分に働いている時に限ります。色も最後10日で白黒より、色彩の方を好むようです。

生後3ヶ月頃になると、目と手の協調的動作は最初両者がばらばらに動いていたのが、視野に入ってきた自分の手をじっと見つめるようになります。次に、手に持ったものを振るだけだったのが、見つめてから口に持っていき、しゃぶるようになります。6ヶ月になると手を物に伸ばす動作が目立つようになります。

10ヶ月ごろには、両手に持ったものの持ち替えが出来てきます。
手に機能が視覚の誘導によって発達するだけでなく、距離による対象の見え方の違いから奥行きを知覚し、眼球運動のパターンと合わせて網膜に写る「縁」の形を認識して形の区別を行なう基礎が形成されるようになります。
言語と違い視覚からの情報は極めて短時間に全体を把握する事が出来るので、「同時的処理」が行なわれます。形、大きさ、方向の区別、色の識別etc乳幼児期からの積み重ねた経験で、成熟した大人になると瞬時に行なえるようになります。
積み木を見本と同じように組み立てる事、図形の理解が著しく苦手な場合、右半球に何か問題があるかも知れない。

言語発達
右利きの90%、左利きの60%が言語中枢は左大脳半球にあります。
音を聞き分ける能力は、生後2〜3ヶ月でお母さんの声とそれ以外の声を聞き分ける事から、早くから発達している事が分かります。また音源定位反応はBOA反応検査に利用されます。ことばの発達については他のコーナー参照してください。

情緒・社会性の発達
赤ちゃんの時の快・不快の分化から始まります。赤ちゃんが安心するのは、お母さんと密接な接触を保っているときや、口周辺の触覚が満たされている時など、触覚から来る快を感じる時に多いようです。少し成長すると、「高い高い」「振り回されたり」が前庭覚(重力、加速度)から、快の情緒が生じます。さらに成長すると、自分の思ったことの達成感、困難な事に打ち勝つ時、快の情緒が見られます。運動企画が適切に作用して「こうしたい」と思う事ができたり、内的要求による動機づけに支えられた環境への挑戦が成功したという事です。この様な達成感や、満足感は子どもが積極的に物事に立ち向かう気持ちを育て、自分に自身が湧き、自尊心や、自分の能力の信頼感の形成の基となる。

社会性も、他人と自分の距離を意識させる、触角は、触覚防衛の強い子は相手との距離が遠くなりがちです。日と見知りが強いと思われがちです。一人遊びが多くなり、保育園などの集団生活に馴染みません。近づくと攻撃したりするので「乱暴な子」「喧嘩早い子」のレッテルが貼られます。孤立し、成長しても人との付き合いが苦手となります。
感覚統合は人間生活の様々な側面と関連があり、知的な活動だけでなく、心理的活動にも影響を及ぼしている。

対策
好ましい友達づきあいを育てる
遊びの場面だけでなく、体育や小集団での色々な活動場面で、教師が仲立ちとなり、一緒に物を運んだりゲームをしたりする中で、相手を意識し、順番やルールを守るといった人とかかわるスキルを具体的・体験的に学ばせる。
クラスでも、接し方の考えを皆から聞いて、考えて、無理のない方法で一緒に行動をしていくように皆で協力していく。
ある程度の距離を保ちながらも、落ち着き安定した気持ちで、クラスと共に生活をしていくようになり、クラスもそのことを理解している。

友達の気分を害する事を言ってしまう場合
*相手の気持ちを推し量れなく、トラブルが起きた場合教師がロールプレイングで再現する。
*各登場人物のことば、表情、身振りなどからその人の気持ちを考えさせる。
  適切なことばは何なのかを考えさせる
*望ましい言動でロールプレイングを行なう。様々な場面でのロールプレイングを行なう事で適切な対応のレパートリーを広げていく。

学校行事に参加する事が難しい
*緊張したり興奮したりしやすいので、この様な場面はかなりのストレスになります。
*事前学習と予告してあらかじめ事の流れを見通しがきくようにしておく。また、どの場面の参加が難しいかを話し合う。
*避難訓練など始まる前には、不安を軽減する方法を話し合う。予告しておき、サイレンが鳴ると耳をふさいでも良いと話し合いで決めておく。この約束で安心感が違う。
*小集団での行事を通して、楽しさを味あわせ、次第に大きな集団の行事に参加させていく。無理に参加しなくても良いことも決めて、行事の見通しをよくして、安心して、とにかく何らかの形で参加できるようにしてあげる事が安心感につながる。

身だしなみに無頓着で行儀が悪い
身だしなみの羞恥心がないとか、不潔な感じを持たない、また異常に清潔というか潔癖症的な子がいます。
*異性の前では着替えず、個室で着替える習慣付ける。
*自分で気がつくように、着替えの後は、鏡でチェックする。
*運動機能の向上を図る。
*キュロットスカートを着用するようにする。
*頻繁に手を洗う行為は他人に迷惑をかけないので無視し、注目するとかえって強化につながる場合もあり、自然体にする。

手順や段取りをはっきりさせると、落ち着いて取り組めるので、よいパターンを身に付けられる。服装の乱れには、ことばがけで注意をして修正を、その場で直接指導する。スキルを獲得するとパターン化しやすいので定着しやすい。

ソーシャル・スキル:集団の中で上手く行動したり、仲間に受け入れられたり、困ったことが起こったとき解決する方法を見つけたり、トラブルを避けたりするには、特定の能力が必要です。

忘れ物が多い
注意力、記憶力など認知の問題と忘れても平気、やりたくないなど意欲の問題、誰かがやってくれるという習慣の問題や忘れてはいけないと全教科を毎日持ち歩き、新たに指示されたものを忘れてしまう。自立にむけて自らやりはじめに多い。
*忘れ物をして、困る事と、それを防ぐ方法を話し合う。
*忘れ物をしなくて済む方法を考える
*持ち物一覧表を作り、連絡帳の表紙と自宅の学習机の前に貼る
*前日の夜に持ち物一覧表を見て、ランドセルの中身を確認する
*視覚に訴える、シールを忘れない時貼り、将来、社会生活で困る事のないように、自分なりに解決の手立てを考えていく方法を身に付ける

遊んだ道具を片付けない
片づけをしていると、授業に遅れると気になる
*時間のこだわりの軽減、約束を守るこだわりのため、授業の始まる前に、休み時間に使った道具が片付けられたかが、○、△、×で評価する

ルールを柔軟に変えられない
*ロールプレイングとして電話のかけ方を取り上げて、その中で電話をかける必要がある場合と無い場合の判断、間違い電話や留守番電話への対応、番号の掛け違いの対応を学ばせる
*報告の必要な状況について考えさせたり、校内の様々な、職員室や校長室への報告係にして、相手がいない時の対応の体験をさせる。
*状況に応じた社会的ルールにのっとった対応は難しい。判断が難しい場面設定での練習や失敗経験を生かし、修正していく。

時間のこだわり
予定どおり進まないと、本人なりの明確な理由、大きな不安を背景にパニックになる。想像力や柔軟な考え方の欠如による。時間どうり終わらないと教室から飛び出したりパニックになる。
*事前に「時間が少し延びるかも知れない」と予告し、受け入れやすくする
*時間が延びそうな状況を作り、「あと??分かかります」「いつもより??時??分に終わります」黒板なりに書いておきます。
*変更を受けられた時には○の評価をします。
100点をとることや競争に勝つこだわり
勝たないと感情をコントロールできない。勝つためには手段を選ばない。勝つことに執着して、その過程や達成感は感じていないようです。
*どうしても100点を取れない課題を出し、意図的に負けさせたり、我慢をさせ、我慢をした事に対して正の強化を与えることを繰り返す。
*「負けるが勝ち」というゲームや偶然性の高いゲームで「一番少なく点を取った人が一位」など発想を変えて、勝てなくてもよいことに気づかせる。

ソーシャル・スキル・トレーニング
「暗黙の了解」は人間関係が円滑に行くためのルールとしての「道徳的行動」のほかに、行間に込められた意味合い、言外のことば、関係します。「暗黙の了解」を理解する事は、社会的場面で「常識」的に振舞うための必要な能力です。
ソーシャル・スキルは年齢や自然とまた集団にいれば身につくものではありません。毎日の生活の中で出会う様々な状況、突発的に起こる問題場面で、自分がどう行動すればいいのかをきちんと身に付けさせたり、あるいはすでにレパートリーとして持っている特定のスキルをどういうときに使えばいいのかを教えていく必要があります。こういう、意図的な学習をソーシャル・スキル・トレーニングといいます。これは専門書に譲ります。

最後に
*耳鼻咽喉科はアスペルガー症候群の子達に取っては最も嫌な、不安とパニックを引き起こしやすい、診療科と思われます。接触感覚に敏感子には特に嫌がられます。耳と鼻が特に触られることに過敏で、見るだけで大騒ぎになる場合もあります。口も絶対開かない子もいます。

まず、よく処置を説明しておく事が大切ですが、理解には、誰かが処置されているところを見せる必要があります。しかし、それがかえって不安感を増す場合もあります。もしも、納得していても、最初は出来る限り、最小限の処置にとどめる事が肝要と思います。万が一鼓膜切開となると最悪の状況を想定しないといけないかもしれません。やはり、見ているのと、自分がされるのとは不安感やそれに伴う痛みが、さらに痛さを増強します。押さえつけての処置や予防注射はかなり冒険的で上手くいくかもしれないし、それ以降拒否の姿勢に変わるかもしれません。

アスペルガー症候群の特徴を良く知る、そうして、臨機応変に対応を練る事が求められるのではないでしょうか。

参考図書

アスペルガー症候群と高機能自閉症の理解とサポート
杉山登志郎 学研

アスペルガー症候群と学習障害
榊原洋一 講談社α新書

高機能自閉症・アスペルガー症候群入門
内山登紀夫・水野薫・吉田友子 中央法規

発達障害ガイドブック
東條めぐむ 考古堂書店

アスペルガー症候群と感覚過敏性への対処法
マイルズ、クック、ミラー、リナー、ロビンズ著 東京書籍

感覚統合Q&A 共同医書出版社

「どもの発達と感覚統合」 A. Jean Ayres著
佐藤剛 監訳 共同医学書出版



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