軽度発達障害とは

発達障害とは「発達過程が初期の段階で何らかの原因によって阻害され、認知、言語、社会性、運動などの機能の獲得が障害された状態」と言える。広義の発達障害に中には重症心身障害(重複障害)、視聴覚障害、脳性麻痺、知的障害、自閉症、てんかんが含まれる。これらの中で精神発達遅滞(知的障害)を合併していない(IQ70以上)狭義の脳の発達障害を発達障害支援法では「発達障害」と定義している

ここでいう「発達障害」は軽度発達障害としてまとめられることが多い。軽度発達障害という医学的定義はなく、むしろ福祉的、教育的用語と理解したほうがよい
 
軽度発達障害児は通常「ちょっと気になる子」であるが、現行の乳幼児健診(乳児、1歳6ヶ月、3歳児)では発見されにくい。診断も年齢により流動的で、何の対応もなされないまま就学することが多く、その結果、学校不適応を生じ、思春期以降は社会への不適応を示すことになる
 
発達障害支援法では乳幼児健診の際の早期発見への努力が明記された。早期発見の目的は、早期発見を行うことで養育者に症状の説明と対応の仕方を話し児の受容に基づく環境整備を行うとともに、教育委員会、保育所、幼稚園と連携し弱点をカバーして社会生活が行われるようにするためである。

軽度発達障害の範疇に入る疾患
・ 学習障害(LD)
・ 注意欠陥多動性障害(ADHD)
・ 高機能広汎性発達障害(高機能自閉症、アスペルガー症候群)
・ 発達性協調運動障害(DCD)
・ 軽度知的障害
(主に学習障害、注意欠陥性多動性障害、高機能広汎性発達障害が取り上げられる事が多い。これらは、並存していることもある)

学習障害
全般的に知能の遅れはないが、読む、書く、聞く、計算する、推論するなどの能力のうち、特定のものが苦手な障害を言う。

学習障害の子どもには学習指導を必要とするが、学習上の問題の改善が最終目的ではなく、むしろ本人の自信を回復し自尊心が高まることを目標とする。

注意欠陥多動性障害
脳機能障害を背景とした行動特性としての問題から、注意力障害、多動、衝動性、固執性、感情易変性などの問題行動がある障害である。一定の決まりからの逸脱行動があり、集団行動が困難、待てない、一方的な対人行動、対人関係形成困難など社会行動における問題が多い。

ADHD児はどのように行動すればよいのか分かっているが、衝動性の高さのため実際場面では不適切な行動をとってしまう。また、情報処理や選択の問題があり「目や耳からの刺激全てに反応してしまう」という特徴がある。薬物による一時的な治療もあるが、子どもにより効果は異なる。周囲の人々が障害を理解し、適切な環境整備を行うことがもっとも大切である。

高機能広汎性発達障害
社会性の障害、コミュニケーションの障害、想像力の障害およびそれらに基づく行動の障害を持つ自閉症スペクトラム(広汎性自閉症)のうち知的な障害のないものをいう。

幼児期のことばの遅れの程度より、「高機能自閉症」と「アスペルガー症候群」に分けられるが、それらは連続的なものであり厳密に区別する意味合いはあまり大きくない。

高機能広汎性発達障害児は個別の場面では大きな問題はないが、集団での自由な対人交流場面で問題が生じやすい。相手の気持ち、状況を考えないマイペースな言動や、ことばを表面的に受け取り、言外の意味が理解できない、融通のない思考・言語・強迫行動・被害言語などが特徴である。

発達性協調運動障害
脳の発達障害の中でも身体的運動の特異的な困難を抱えているものを指す。運動協調が必要な日常の活動における行為が、その人の生活年齢や測定された知能に応じて期待されるものより十分に下手であり、その障害が学業成績や日常の活動を著明に妨害している。また、この障害は一般身体疾患(たとえば脳性麻痺、片麻痺、筋ジストロフィー)によるものでなく、広汎性発達障害の基準を満たすものでもない。

身体運動の困難には、粗大運動の困難と微細運動の困難があり、粗大運動とは全身運動のことで、走るなどの運動を指し、微細運動とは細かい運動のことで手先の器用さを要求する活動などが含まれる。その他に構成行為(組み合わせ運動)という靴ひもを結ぶ、スキップするなどの身体運動に支障がある場合がる。子どもでは同世代の遊びに参加できない、大人では作業能率や手先の器用さを要求される仕事について行けないなどの問題が出てくる。

軽度発達障害の原因
1) 高機能広汎性発達障害
 ・ 原因不明(遺伝要因)のもの:同胞発生率や一卵性双生児の一致率が高い
 ・ 先天性の遺伝性疾患、染色体異常
 ・ ウイルスの胎内感染
 ・ 低出生体重児
 ・ 薬物暴露
 ・ 周産期異常
2) 注意欠陥多動性障害
 ・ 妊娠中の問題(妊娠中のアルコール、タバコ)
 ・ 早産、低出生体重児
 ・ 出生後に脳炎などで脳損傷を受けた場合
 ・ 遺伝的素因

軽度発達障害児発見のポイント
1) 高機能広汎性発達障害
(1) 乳児期
 ・ 視線が合いにくい、抱っこしにくい(触れられることを嫌がる)
 ・ 育てにくい:よく泣き眠らない、いつも抱っこを要求する
 ・ 育てやすい:分離不安が見られず、1人遊び(手がかからない子)
 ・ 言語発達遅延(話しことばの遅れ、オウム返し、会話が苦手)
 ・ 興味の偏り(数字、文字、標識など)
 ・ 過敏性(音、映像、接触などに対して)
 ・ 想像力の障害(ごっこ遊びができない)
 ・ 集団行動が苦手(保母の指示に従えない)
(2)学童期
 ・ 集団行動が苦手、孤立、教師の指示に従えない
 ・ 人の気持ちや場面の意味を理解しにくい
 ・ 会話が苦手
 ・ 過敏性(音、映像、接触など)
 ・ パニック
 ・ ことばの使用(抽象語、表面的、比喩、冗談の理解の困難)

2)注意欠陥性多動性障害
 ・ 多動、過活動、注意散漫、不注意衝動性などが、7歳までに2つ以上の場所(家庭または学校で)見られる。
(乳児期)
 ・ 特に特徴がないが、何となく他の兄弟姉妹とは違う。強いて言えばむずがりやすい、機嫌が直り
  にくい、睡眠が不規則で1日の生活リズムが確立しない、非常におとなしく手がかからない。
(幼児期)
 ・ 多動である。目離しができない(特に公園、マーケットなどで多動傾向が増す)疲れをしらない、
  融通がきかない、わがまま、怪我をよくする、あまり昼寝をしない。
(幼稚園・学童期)
 ・ 多動、過活動、注意散漫、不注意、衝動性等の症状が出てくる。
 ・ 食事、授業などでおとなしくできない、注意されたことを守れない、集中力がない、友達とのトラ
  ブルが絶えない、乱暴である、悪ふざけをする、順番を待てないなど。

3)学習障害 読字障害、書字障害、算数障害、非言語性障害
知的な能力そのものに大きなつまずきがないのに
 * 聞いたことの理解が難しい。
 * 話したい事が、ことばで上手く表現できない。
 * 文字を書く事が苦手である。
 * 繰り上がり、繰り下がりの計算ができない。
 * 図形や文章問題の理解に困難を来たす。

兵庫県医師会報平成19年20074NO642 35〜38
乳幼児保健委員会委員 土屋さなえ先生


知的障害 http://home.hiroshima-u.ac.jp/hsc/nurse/nursing/child/kougi%20pdf/MR2003.pdf
MRの85%が軽度  IQレベル50〜55からおよそ70のMRである。
軽度精神遅滞  IQレベル50〜55からおよそ70  教育可能
中等度精神遅滞  IQレベル35〜40から50〜55  10% 訓練可能
重度精神遅滞  IQレベル20〜25から35〜40
最重度精神遅滞  IQレベル20〜25以下
精神遅滞、重傷度は特定不能:精神遅滞が強く疑われるが、その人の知能が標準的検査では測定不能の場合
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%A5%E7%9A%84%E9%9A%9C%E5%AE%B3

日本発達障害福祉連盟
http://www.gtid.net/jp/index.html
日本知的障害福祉協会
http://www.aigo.or.jp/menu01/
全日本手をつなぐ育成会
http://www1.odn.ne.jp/ikuseikai/

『参考資料』   増え続ける軽度発達障害児
発達障害ネットワーク http://jddnet.jp/


発達障害とは

Developmental disabilties
○福祉や行政、リハビリテーション医学が背景、精神遅滞をはじめとして日常生活の上で身辺自立や言語、学習、移動、自己統制、生活や経済的自立における機能的制約があって、特別で広範あるいは包括的ケア、治療や他のサービスを必要としているものを対象。
期待される発達に遅れがあるあるいは疾患によって発達を達成できないために、機能の障害があって、それが生涯にわたって影響する発達性の能力障害。

Developmental disorders
○医学が背景、遺伝、周産期障害、その後の影響などによって脳障害を受けた精神遅滞や脳性麻痺などを発達障害とし、ICD−10の精神遅滞、学習能力の特異的発達障害、運動機能の特異的発達障害、会話、言語の特異的発達障害、広汎性発達障害など。

○発達障害支援法 特別支援教育
自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他にこれに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの

軽度発達障害フォーラム
http://www.mdd-forum.net/index.html


軽度発達障害の臨床
乳幼児健診で発見できるか?
・10ヶ月〜1歳  子育て経験者は何か変と感じる 
  PDD??おとなしい、手がかからない、人見知りがない、模倣(まねっこ)しない、人より物、人の行動に関心をもたない、人を頼まない、抱き心地、目の動きがしっくりしない。
・1歳6ヶ月  育児経験者はおかしいと確信する
PDD視線が合わない、共同注視(指差し)、多動、ことばの遅れ、他児への関心のなさ 
ADHD??歩き始めると何処へ行くのかわからない(迷子)
・3歳:子育て初めての人にもおかしいと感じる
PDD遊びの限局性、反復性、固執傾向
ADHD?多動(転動性)、衝動性(出し抜け、コントロール不良)、不注意(机にゴン)
・ 就学前健診 PDD,ADHD,LD??

★ PDDは「関らないとわからない」行動観察だけでは駄目、乳幼児の発達健診はPDDを見落と
  さないことが最重要!!

● 2002年文部科学省からの発表によれば、軽度発達障害児は普通クラスの6.3%
  (LD,ADHD、アスペルガー症候群、高機能自閉症)
  1クラスに1〜2人いる勘定になります。40人クラスとすると、2人はいる
ASD,PDD,Autsmをあわせると、100人に1人いるといわれている。
○ 発達障害の定義:
  この法律では、「発達障害」を、自閉症、アスペルガー症候群、その他の広汎性発達障害、
  学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害等(ADHD)の脳の機能障害などによって生じた障害で
  その症状が通常低年齢に発現するものとしています。これらの障害の発生頻度は非常に高く、
  文部省による調査によると就学時の6.3%(平成14年)が発達障害児であるとの結果が出て
  います。
1.6,3健診では、例えば一回に200人来たとすると、5〜10人の軽度発達障害児が
  います。更に、5回に1回は難聴児がいます。自閉症児も2〜4人います。ダウン症児は
  1人は必ずいるし、脳性麻痺児は2人、てんかんを持っている場合はもっと多い勘定にな
  ります。毎年の健診結果でこの発症率に準じる結果に対応できる行政の施設はいくつあ
  るのでしょうか。


聴覚障害児は1,000人に1〜2人
http://www.niph.go.jp/wadai/mhlw/1999/h1104002.pdf
http://72.14.253.104/search?q=cache:aEZE-_0tyyIJ:www.niph.go.jp/wadai/mhlw/1999/
h1104002.pdf+%E9%9B%A3%E8%81%B4%E5%85%90%E3%80%81%E7%99%BA%E7%97%87%E9%A0%
BB%E5%BA%A6&hl=ja&ct=clnk&cd=1&gl=jp

自閉症児は1,000人に1.7〜4.0%

知的障害は人口の2〜3%が該当して、福祉制度の利用が出来る。

以下知的障害の疾患

* ダウン症児は700〜1,000に1人の出生率で、35歳以上の妊婦から約80%出生して
  います。
母親の年齢が15歳〜29歳で1:1500、30歳〜34歳で1:800、
  35歳〜39歳で1:270、40歳〜44歳で1:100、45歳以上で1:50と言われています。
* 脳性麻痺児は1000人に2人は発症している。
* 結節硬化症 1/3000〜6000出生と報告されている。その頻度に人種差,性差はないと考えら
  れている。
* てんかん児は0.2〜0.5%や0.9%という発性率らしい。
  てんかんは発達障害と合併しやすく、発達障害を語るときに、てんかんを避けて通れない。
  精神遅滞、自閉症、広汎性発達障害、注意欠陥多動性障害に合併するてんかんは脳波の異常
  が考えられ、情動、行動の問題がある。
  脳性麻痺の14〜75%
  重症心身障害児の30〜60%
  精神遅滞の19〜30%
  自閉症の12〜30%
  ADHDの10〜50%
  これらの%で脳波の異常が見られる。

* 脆弱X症候群の発生率は1,000人に1人
* 先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)は8,000人に1人発症する


軽度発達障害の問題点―臨床―
・ 診断の問題
 軽度発達障害の重要性―特にPDD圏内との重複
 LD,AD/HD、MR(軽度)との鑑別診断の厳密性と療育方法の適合性や予後予想の可能性に
 反映するか
・ 行動異常の問題
 精神障害・行動異常の問題
 治療と予防―特に教育場面での不適応
・ 家族をどう支えるか
・ 就労の問題
・ 居場所作り

社会的支援
・ 情緒的支援 繰り返し配慮する、耳を傾ける、親しみを現す、世話する、信じる、共感する
・ 道具的支援 手助けになる道具の提供、示唆を与える、仕事を与える、仕事を手伝う、
          経済的援助、直接的援助
・ 情動的援助 解決のための技術や情報の提供
・ 評価的支援 よくできたと評価する
軽度というのは、決して軽い障害、治りやすい障害、克服しやすい障害という意味ではありません。
・ 健常児との連続性の中に存在し、加齢、発達、教育的介入によって、臨床像が著しく変化
・ 視点の異なりから診断が相違
・ 理解不足による介入の誤りが生じやすい
・ 二次的情緒・行動障害が生じやすい


軽度発達障害児・者の支援(1)
1) 早期発見、早期療育
親子関係の絆(愛着)形成、社会経験の積み重ねから、対人関係の持ち方を学ぶ

2) 障害特性を配慮した対応
自閉症文化(認知の特徴)を尊重した対応
小学、中学ぐらいから「イジメ」への配慮が必ず必要


3) 社会適応訓練
高校まで穏やかに過ごしていた人は、社会の敵対がなく人への信頼が育っている。

広汎性発達障害の中で、こだわりの強い人、積極奇異型はSST(social skill training)の可能性。加えて、彼らの能力の特徴をとらえて就労支援が必要。

さらに、彼らが受容され共感され、障害ではなく個性として受け止められる居場所作りが必要。



自閉症スペクトラムASD
自閉症と診断される人には、特徴のあらわれ方が強い人と弱い人など違いがあります。また同じ人でも、ある特徴は認められるけれども別の特徴は気付かれないぐらい目立たないということもあります。また、知的な遅れのある人そうでない人もいます。このような違いから、知的な遅れが目立たない自閉症は「アスペルガー症候群」と呼んで知的な遅れのある自閉症と区別します。
「自閉症スペクトラム」はこの区別をしない。
「スペクトラム」は連続体という意味です。自閉症は知的な遅れ以外にも障害を持っています。人によりあらわれかたが違ったり、同じ人でも成長とともに変化していきます。そこではっきりと区別しきれないものを無理に分けてしまわず広く自閉症の人として捉えようということで自閉症スペクトラムとして表しています。

アスペルガー症候群  Asperger syndrome  Asperger’s disorder(アスペルガー障害)
http://www.autism.jp/asp/index.shtml


広汎性発達障害(PDD(Pervasive developmental disorder))と自閉症圏障害(ASD)は同義語です。知的障害を伴った自閉症です。
@ 情報中の雑音の除去が出来ない
A 汎化や概念化という作業ができない
B 認知対象との間に、事物、表象を問わず、認知における心理的距離が持てない
雑音の除去が出来なく、非常に狭い視野で周囲の世界を見ている。その判断、行動が誤まった学習によっている。『杉山』構造化が必要な点である。身体接触を嫌がる場合は、その情報で満ち溢れて他の情報は入ってこない。認知機能の心理的距離の欠如は、細部にとらわれ、概念化が困難のことと同じではないか。何度も体験して徐々に慣れてくることが期待しづらい。変化に強い抵抗があり汎化しづらい。見通しを立てることがかなり高度な知能を持っていても困難である。5歳と10〜12歳の時期は飛躍的にコミュニケーションが伸びる時期である。

高機能自閉症
高機能の意味
・ 知的な障害がない(他の障害はある)
・ 知的能力をどこでわけるか  IQ70以上、IQ85以上  
* IQ70以上とする理由(杉山)広汎性発達障害では一般にIQが上がる
* 障害を療育手帳で認定されるか否かの境目で考慮


高機能自閉症
・ 自閉症で高機能。(ASを含む場合も、含まない場合(高機能の古典的自閉症のみ)もある)
・ 高機能広汎性発達障害
DMSやICDのPDD診断基準を満たす高機能群


高機能広汎性発達障害(HFPDD)
ハンディキャップに気付かれにくい。非社会的行動を多発する児は、診断が下されない限り親は緊張を強いられ、躾では良くならず、虐待に横滑りになる可能性がある。学習障害の併存が多い。就労が難しい。青年期にはうつ病を併存する。セロトニンに問題があることが言われ、SSRIが有効である。

幼児期から多動を伴う行動異常の多くは、ADHDよりむしろ、高機能広汎性発達障害HFPDDが多い。3〜5%という数字が示している。

幼児期から多動を示し、ことばが少し遅れている場合、HFPDDが圧倒的に多く、AD/HDは問題行動を起こすのは学童期になってからである。ADHDは9歳頃に多動は消退する。不注意は持続する。適応障害に結びつく行動上の問題は急激に改善していくことが多い。幼い頃の多動による愛着形成の遅れ、問題行動による叱責にて自己イメージの悪化、反抗挑戦性障害の併発という2次障害をきたしやすい。非行、抑うつにつながる。多くがADHDにメチルフェニデートが有効であるが、習慣性、依存性に陥りやすく、思春期前には離脱しないといけない。


杉山のデータでは、PDDの25%、AD/HDの20%、何らかの発達障害が診断可能な子たちをあわせると55%が虐待を受けている。知的障害の伴う子は非常に少なく、90%以上が知的障害のない子であった。

反応性愛着障害
http://www.warp.or.jp/ent/kotoba/icd_10_2.htm

解離性障害
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A7%A3%E9%9B%A2%E6%80%A7%E9%9A%9C%E5%AE%B3
外傷後ストレス障害などを引き起こし、将来に渡り、フラッシュバックなどを起こす。特別支援教育の本当の取り組みを期待する。

注意欠陥・多動性障害(Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder:ADHD)
昔、微細脳機能障害と呼ばれてきた。DMS−Wに使われることばが、注意欠陥性多動性障害で、
ICD−10では多動性障害(hyperkinetic disorder)
おおよそ小児の3%前後(2〜7%)3〜4:1の男女差 遺伝的素因に環境要因で病像が完成すると考えられている。

注意欠陥多動性障害、多動性障害
特徴:不注意・多動(過活動)・衝動性

注意の障害と多動が基本特徴。両者が診断に必要で、1つもしくはそれ以上の状況で両者を明らかにしなければならない。

生来的な脳機能障害が発現の主要因であるものを中核とする症候群であり、発達障害を構成する一疾患と理解しておく事が適当。

ADD・注意欠陥障害は多動、衝動性が無い場合のADHDに入る部類の障害です。学校では発見できにくい障害です。注意散漫で誤解されることがあります。
LDは小児科、精神科、教育関係では、かなり捉え方が異なる場合があります。最近は医学的分類になりつつあります。

高機能自閉症(知能は正常でことばが遅れるもの)
アスペルガー症候群(知能が正常でことばの遅れがないもの)。
http://www.autism.jp/asp/index.shtml

アスペルガー症候群は小児の0.3〜0.5%(200〜300人に1人)男女比は3〜4:1です。遺伝子の表現形式量的形質、質的形式の2つがあります。質的は遺伝子だけで発現型が決まる。量的は複数の遺伝子以外の環境も含めた影響を受けるといわれている。
アスペルガーは量的形質とみなされるようになってきている。                  

幼少時にはADHDと診断され、小学校ではLDと診断され、小学高学年から中学でアスペルガー症候群と診断され、高校生時代には統合失調と言われる場合がある。

(考慮すべき問題)
小児科医はADHDとしているが、精神科医はアスペルガー症候群として、教育者はLDと診断する。立場による見立ての違い
自分勝手、わがままなどと誤解されて、イジメの対象になりやすく、孤立したり、自殺したりする事がある。そのため2次障害としてうつ、被害念慮、拒食症、強迫神経症、パニック発作を起こしたりしてしまう。

自閉症 http://www.autism.jp/
http://www.autism.jp/syui/01_jihei.shtml
http://www.autism.or.jp/autism05/rainman20040508.pdf

自閉性障害 DMS−WTRの診断名  小児自閉症 ICD−10の診断名
社会的な相互交渉の質的な障害
コミュニケーションの質的な障害
活動と興味の範囲の著しい限局性

3つの必須症状
@ とどのように情緒的な交流ができるか。同世代の子どもへの関心や遊び方
A ことばが無いか、反響言語、独語がある。コミュニケーション機能の相互性の有無。
  早期にはシンボル機能に着目し(全般的に形成不全を示す)、クレーン現象、指差し、
  ことばかジェスチャーかを確認
B 行動の異常を探る。常同行動や興味の範囲の狭さ、ものへの執着、同一性の保持の
  要求をチェック。イマジネーションの有無も重要


これ以外に、多動、感覚の異常、極端な偏食、睡眠障害などがある。

3歳未満に発症の確認、行動的に3つの必須症状を認めれば、脳障害があろうとなかろうと、自閉症と診断できる。2歳半から6歳頃が最も顕著に見られる。

注意事項
知的障害が無い場合、小学生になり、対人関係の悪さを訴えることがある。3歳頃の3つの必須症状があったかの記録を確認する。自閉症は年齢とともに行動上の変化をきたす。そのため、時期によっては3つの組み合わせ症状が認められない場合がある。

注意
○WISC−V、WAIS−Rなどの知能テストで「言語性IQ」が「動作性IQ」より低く、言語による「大小、上下、距離関係を表す、そば、などの表現」関係の概念の形成不全

機械的記憶力、視空間的能力が孤立的に高い場合がる。カレンダー、鉄道の時刻表などを記憶する、際立った能力が見られる場合がある。

○脳波、CT,MRI,ABR,ASSRなど眠らせて検査する場合、なかなか通常の眠るためのシロップでは寝てくれないことがほとんどである。それをあらかじめ考慮して対策をとることが検査成功のためには最重要課題である。

早期では広汎性発達障害PDD(レット症候群を除く)との鑑別に、発達指数DQ、大田ステージ評価をおこなう。
自閉症は60〜80%精神遅滞が併存する。
幼児期では、多動がみられて、AD/HDと間違われる。対人関係をチェックする。

最近の報告では、診断基準の運用が広まり認識さえるようになって、1,000人に1.7〜4.0%の出現率と報告されている。4:1で男子の出現率が高い。

社会性の障害
他者との関係の障害―質の問題
困難、年長者、年少者<<同年齢集団
3分類
 ・ 孤立型  相手がいないかのように振る舞い 1人遊び
 ・ 受動型  他者からの誘いに乗れる お世話される
 ・ 積極奇異型 好奇心の魂、一方通行(自分の関心事の確認) 自閉症と見られない
同時代の仲間に入る困難、年長者、年少者はOKでも
友情の難しさ、分かち合い、援助、同情、共感

広汎性発達障害DMD−W
* 自閉症
* レット症候群
* 小児崩壊性障害
* アスペルガー症候群
* 特定不能の広汎性発達障害

広汎性発達障害ICD−10
* F84.0 小児自閉症
* F84.1 非定型自閉症
* F84.2 レット症候群
* F84.3 他の小児崩壊性障害
* F84.4 精神遅滞および常同運動に関連した過運動性障害
* F84.5 アスペルガー症候群
* F84.8 他の広汎性発達v障害
* F84.9 広汎性発達障害、特定不能のもの

広汎性発達遅滞の興味の限局性
・ 意味無く横目で凝視する
・ 指間から覗いてみる
・ 物を眼に近づけて見る他人の顔や机に自分の目を思い切り近づける
・ 視界の周辺に指などをひらひら動かして見る
・ 分厚い電話帖などをめくって頁の動く流れを見る
・ ミニカーや縞模様を眼前で素早く左右に走らせる
・ 光の点滅に見入る
・ 下敷きなどの平面を眼前で水平に動かして見る
・ 換気扇などの回転を夢中になって見る
・ 二つの物の合わせ目を見る

広汎性発達障害の過敏性
・ 特定の映像、壁の染みや大きな建物を恐れる
・ 周囲の雑音を嫌う(子どもの泣き声、花火の音など)
・ 特定の食物しか食べない
・ 一定の運動感覚にふける
・ 触られることを嫌う
・ 砂や粘土を触れない

乳幼児の自閉症の発見と援助
乳幼児の自閉症と類似している点
乳幼児(4〜5ヶ月)の特徴(自閉症リスクを持つ子の特徴)
・ 目が合わないこと
・ 母親の働きかけに対して反応が乏しい
・ あやしても笑わないこと
・ 物に対する熱中と、人間以外の物に向かって笑うこと
・ 感情的に行動することを止めてしまうこと

乳幼児の自閉症児と異なる点
・ 対人反応が、相手や状況によって変化する
・ 周囲のものごとへの強い不安感が見られる
・ 外界の構造や関係を理解する能力に欠陥がないことがある


日本自閉症協会版広汎性発達障害尺度
幼児期項目
1、「視線が合わない」
2、他の子どもに興味がない」
3、「名前を読んでも振り向かない」
4、「みせたい物をもってくる事が無い」
5、「指差しで興味のあるものを伝えない」
6、「ことばの遅れがある」
7、「会話が続かない」
8、「一方的に自分の言いたい事だけを言う」
9、「友達とごっこ遊びをしない」
10、「オウム返しの応答が目立つ」
11、「感覚遊びに没頭する」
12、「CMなどをそのままのことばで繰り返し言う」
13、「道路標識やマーク、数字、文字が大好きである」
14、「くるくる回るものを見るのが好きである」
15、「物を横で見たり、極度に近づけて見たりする」
16、「玩具や瓶などを並べる遊びに没頭する」
17、「つま先で歩く事がある」
18、「多動で、手を離すと何処へ行ったかわからない」
19、「食べ物でない物を食べたりのみこんだりする」
20、「抱っこされるのを嫌がる」
児童期項目
21、「ビデオの特定場面を繰り返し見る」
22、「ページめくりや紙破りなど、物を同じやり方で繰り返しいじる」
23、「全身や身体の一部を、同じパターンで動かし続けることがある」
24、「身体に触られることを嫌がる」
25、「同じ質問をしつこくする」
26、「普段どおりの状況や手順が急に変ると、混乱する」
27、「生活習慣の乱れ、身辺自立ができなくなる」
28、「過去の嫌な事を思い出して不安定になる」
29、「偏食が激しく、食べ物のレパートリーが極端に狭い」
30、「特定の音を嫌がる」
31、「痛みや熱さなどに鈍感であったり、敏感である」
32、「何でもないものをひどく怖がる」
33、「急に泣いたり怒ったりする」
34、「頭を壁に打ち付ける、手をかむなど、自分が傷つくことをする」
児童期・思春期項目
35、「年齢相応の友人関係がない」
36、「周囲に配慮せず自分中心の行動をする」
37、「人からからかわれたときの対応が場にあっていない」
38、「要求があるときだけ自分から人にかかわる」
39、「言われた事を場面に応じて理解するのが難しい」
40、「難しいことばを使うが、その意味をよくわかっていない」
41、「大勢の会話では、誰が誰に話しているのかわからない」
42、「どのように、なぜ、といった説明ができない」
43、「抑揚の乏しい不自然な話し方をする」
44、「人の気持ちや意図がわからない」
45、「冗談や皮肉がわからず、ことばどおりに受け取る」
46、「地名や駅名など、特定のテーマに関する知識獲得に没頭する」
47、「よく知っているテレビのシーンを独りで繰り返す」
48、「相手が嫌がることをわざと執拗に繰り返す」
49、「何かにつけ自分が一番でないと気がすまない」
50、「チック症状(瞬き、首振り、汚言など)がある」
51、「場に不適切なほど、行動が落ち着かない」
52、「不注意さがひどく、場に応じた行動ができない」
53、「行動が止まって、次の行動に移れなくなったり、固まってしまったりする」
思春期項目
54、「恥ずかしさを感じていないように思える」
55、「人にだまされやすい」
56、「被害的あるいは猜疑的、攻撃的になりやすい」
57、「気分の波が激しく、落ち込みと興奮を繰り返す」


さまざまな学習障害の定義

● 医学的定義 DMS−W、ICD−10
  狭義の定義:「読む」「書く」「計算する」
● 全米合同委員会の定義 
  「読む」「書く」「計算する」加えて「聞く」「話す」「推論する」
● 文部省協力会議
  「読む」「書く」「計算する」加えて「聞く」「話す」「推論する」さらに「社会的適応能力」「運動・動作
  の能力」
生きていくのに必要な知恵の習得が、微積分や古文、英語を習得する労力に勝る。社会性と電車、バスに乗り目的地に着き、買い物をして、つり銭をごまかされないようになり、自立して生活力が身につく事が、多少のテストの成績より勝る。

医学モデル
学習障害(DMS−W)Learning Disorders
教育モデルから医学モデルの包含 
学習障害(文部科学省)Learning Disabilities
広義の学習障害
教育現場で「平均的な知能があるのに教室に授業に支障があるこどもの総称」として使われる

1999年7月2日 文部省最終報告よりLDの定義
学習障害とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。学習障害は、その原因として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されるが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるのではない

読み・書きがとても不得意。・・・など、特定の学習面での遅れが目立ちます。数の概念がわからない。文章題を解くのが難しい。社会性やコミュニケーションの遅れが目立ちます。指示の理解が難しい。友だちが出来にくい。運動能力の遅れが目立ちます。手先が不器用です。

学習障害 -Learning Disorders-
読字、算数、または書字表出において、個別施行されたその人の標準的検査成績が、年齢、就学、知的水準から期待されるより十分に低い場合に診断される。

*日本には読み・書き・算数の能力の標準的達成度評価法はなかった(KT式読み能力診断検査
  ・標準学力検査などが開発されている)。・・・・診断できなかった理由です。

読字障害
A. 読みの正確さと理解力についての個別施行による標準化検査で測定された読みの到達度が、
   その人の生活年齢、測定された知能、年齢相応の教育の程度に応じて期待されるものより十
   分に低い。
B. 基準Aの障害が読字能力を必要とする学業成績や日常の活動を著名に妨害している。
C. 感覚器の欠陥が存在する場合、読みの困難は通常それに伴うものより過剰である。

書字表出障害
A. 個別施行による標準化検査(あるいは書字能力の機能的評価)で測定された書字能力が、
   その人の生活年齢,測定された知能,年齢相応の教育の程度に応じて期待されるものより
   十分に低い。
B. 基準Aの障害が文章を書くことを必要とする学業成績や日常の活動(例:文法的に正しい文や
   構成された短い記事を書くこと)を著名に妨害している。
C. 感覚器の欠陥が存在する場合、書字能力の困難が通常それに伴うものより過剰である。

算数障害
A. 個別施行による標準化検査で測定された算数の能力が、その人の生活年齢,測定された知
   能、年齢相応の教育の程度に応じて期待されるものより十分に低い。
B. 基準Aの障害が算数能力を必要とする学業成績や日常の活動を著名に妨害している。
C. 感覚器の欠陥が存在する場合、算数能力の困難は通常それに伴うものより過剰である。


【参考サイト】

軽度発達障害といわれる子どもたち
http://www.hosp.go.jp/~shoraiso/shinri/developmental_disorder.html

子どもの軽度発達障害を理解する
北海道大学大学院教育学研究科教育臨床講座教授田中康雄先生
http://www.j-health.jp/egao/kenkou_kyositsu/152/index.html

特別支援教育に関すること 文部科学省
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/main.htm

厚生労働省:軽度発達障害児に対する気づきと支援のマニュアル
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/boshi-hoken07/h7_02a.html

ICD−10 広汎性発達障害
相互的な社会関係とコミュニケーションのパターンにおける質的障害、および限局した常同的で反復的な関心と活動の幅によって特徴づけられる一群の障害。程度の差はあるが、これらの質的な異常は、あらゆる状況においてその患者個人の機能に広汎に見られる特徴がある。多くの場合、幼児期から発達は異常であり、ほんのわずかな例外を除いて、この状態は生後5年以内に明らかになる。常にではないが通常は、ある程度の全般的認知機能障害がある。しかしこの障害は個人の精神年齢(遅滞のあるなしにかかわらず)に比較して偏った行動によって定義される。広汎性発達障害の群全体の下位分類については、多少の見解の不一致がある。

一部の症例では障害は、いくつかの医学的な病態にともなっているか、あるいは原因となっているようで、そのいくつかの医学的な病態にともなっているか、あるいは原因となっているようで、そのうちでは乳幼児けいれん、胎児性風疹、結節性硬化症、脳リピドーシス、脆弱X染色体異常が最も普通である。しかしながら、この障害は合併する医学的な病態のあるなしにかかわらず、行動的特徴に基づいて診断すべきである。

F80.0 小児自閉症{自閉症}Childhood autism

3歳以前に現れる発達の異常および/または障害の存在、そして相互的社会的関係、コミュニケーション、限定した反復的な行動の3つの領域すべてにみられる特徴的な型の機能の異常によって定義される広汎性発達障害。この障害は女児に比べ男児に3倍ないし4倍多く出現する。

診断ガイドライン

通常、代行する明確な正常発達の時期は存在しないが、もし存在しても、それは3歳以下までである。相互的な社会関係の質的な障害が常に存在する。これらは、他者の情緒表出に対する反応の欠如、および/または社会的文脈に応じた行動の調節の欠如によって示されるような、社会的―情緒的な手がかりの察知の不適切さ、社会的信号の使用の拙劣さと、社会的、情緒的、およびコミュニケーション行動の統合の弱さ、そして特に社会的―情緒的な相互性の欠如という形をとる。同様に、コミュニケーションにおける質的な障害も普遍的である。これらはどのような言語力があっても、それの社会的使用の欠如、ごっこ遊びや社会的模倣遊びの障害、ことばのやりとりのさいの同調性の乏しさや相互性の欠如、言語表現のさいの不十分な柔軟性や思考過程において創造性や想像力にかなり欠けること、他人からの言語的および非言語的な働きかけに対する情緒的な反応の欠如、コミュニケーションの調節を反映する声の抑揚や強調の変化の使用の障害、および話し言葉でのコミュニケーションに際して、強調したり意味を補うための身振りの同様な欠如、という形をとる。

またこの状態は、狭小で反復性の常同的な行動、関心、活動によって特徴づけられる。これらは日常機能の広い範囲にわたって、柔軟性のない型どうりなことを押し付ける傾向を示す。通常、これは、馴染んだ習慣や遊びのパターンにとどまらず、新しい活動にも当てはまる。とくに幼児期に、ふつうでない、典型的な場合は柔らかくない物体に対する特別な執着がみられることがある。小児は、無意味な儀式によって、特殊な決まりきったやり方に固執することがある。これらは日時、道順あるいは、時刻表などへの関心に関連した、常同的な没頭であることがあり、しばしば常同運動がみられる。物の本質でない要素(たとえばそのにおいや感触)に特別な関心を持つこともよくある。個人の環境において、いつも決まっていることやその細部の変更(たとえば、家庭において飾りや家具を動かすことなど)に抵抗することがある。

これらの特異的な診断特徴に加えて、自閉症の小児が、恐れ・恐怖症、睡眠と摂食の障害、かんしゃく発作や攻撃性など一連の非特異的な問題を呈することがしばしばある。(手首を咬むなどの)自傷はかなり一般的であり、とくに重度の精神遅滞が合併している場合にそうである。自閉症を持った多くの人が、余暇を過ごすさい、自発性、積極性、創造性を欠き、(課題自体は十分能力の範囲内のものでも)作業時に概念を操作して作業することが困難である。自閉症に特徴的な欠陥の特異的な徴候は成長するに従い変化するが、これらの欠陥は、社会性、コミュニケーション、興味の問題というパターンがほぼ同様のままで成人に達しても持続する。診断がなされるためには、発達の異常は生後3年以内に存在していなければならないが、この症候群はすべての年齢群で診断しうる。

自閉症にはすべての水準のIQが随伴するが、約4分の3の症例では、著しい精神遅延が認められる。
(含む) 自閉性障害 幼児自閉症infantile autism 小児精神病 カナー症候群 鑑別診断

広汎性発達障害の他の項は別にして、以下のものを考慮することが重要である:二次的な社会的―情緒的諸問題を伴った受容性言語障害の特異的発達障害(F80.2)、反復性愛着障害(F94.1)あるいは脱抑制性愛障害(F94.2)、何らかの情緒・行為障害を伴った精神遅滞(F70−79)、通常より早期発症の精神分裂病(F20,−)、
レット症候群(F84.2)。(除く)自閉性精神病質(F84.5)

F84.5 アスペルガー症候群 Asperger syndrome Asperger’s disorder(アスペルガー障害)    疾病分類学上の妥当性がまだ不明な障害であり、関心と活動の範囲が限局的で常同的反復的であると  ともに、自閉症と同様のタイプの相互的な社会的関係の質的障害によって特徴づけられる。この障害は言語あるいは認知的発達において遅延や遅滞が見られないという点で自閉症と異なる。多くのものは全体的知能は正常であるが、著しく不器用であることが普通である。;この病態は男児に多く出現する(約8:1の割合で男児に多い)。少なくとも一部の症例は自閉症の軽症例である可能性が高いと考えられるが、すべてがしうであるかは不明である。青年期から成人期へと異常が持続する傾向が強く、それは環境から大きく影響されない個人的な特性を示しているように思われる。精神病エピソードが成人期早期に時に出現することがある。診断ガイドライン 診断は、言語あるいは認知的発達において臨床的に明らかな全般的な遅延が見られないことと、自閉症の場合と同様に相互的な社会関係の質的障害と行動、関心、活動の、限局的で反復的常同的なパターンとの組み合わせに基づいて行なわれる。自閉症の場合と類似のコミュニケーションの問題は、あることもないこともあるが、明らかな言語遅滞が存在するときにはこの診断は除外される。(含)自閉症精神病質小児期の分裂病質(除)強迫性人格障害小児期の愛着性障害強迫性障害分裂病型障害単純型分裂病。


注意欠陥・多動性障害
昔、微細脳機能障害と呼ばれてきた。
DMS−Wに使われることばが、注意欠陥性多動性障害で、ICD−10では多動性障害(hyperkinetic disorder)
おおよそ小児の3%前後(2〜7%)3〜4:1の男女差 遺伝的素因に環境要因で病像が完成すると考えられている。

注意欠陥多動性障害、多動性障害
特徴:不注意・多動(過活動)・衝動性

注意の障害と多動が基本特徴。両者が診断に必要で、1つもしくはそれ以上の状況で両者を明らかにしなければならない。

生来的な脳機能障害が発現の主要因であるものを中核とする症候群であり、発達障害を構成する一疾患と理解しておく事が適当。


DMS−W 注意欠陥/多動性障害 (ADHD Attenntion-Deficit/Hyperactivity Disorder)

A 、下記の(1)か(2)のどちらか
(1) 以下の不注意の症状のうち6つ(またはそれ以上)が少なくとも6ヶ月以上続いたことあり、その程度は不適応的で、発達の水準に相応しないもの:不注意
a 学業、仕事、またはその他の活動において、しばしば綿密に注意することが出来ない、不注意な過ちを犯す。
b 課題または遊びの活動で注意を持続することがしばしば困難である。
c 直接話しかけられた時にしばしば聞いていないように見える。
d しばしば指示に従えず、学業、用事、または職場での義務をやり遂げることが出来ない。
(反抗的な行動または指示を理解できないためではなく)
e 課題や活動を順序立てることがしばしば困難である。
f 学業や宿題のような、精神的努力の持続を要する課題に従事することをしばしば避ける、嫌う、またはいやいや行う。
g 例えばおもちゃ、学校の宿題、鉛筆、本、道具などの課題や活動に必要なものをしばしばなくす。
h しばしば外からの刺激によって容易に注意をそらされる。
i しばしば毎日の活動を忘れてしまう。
(2) 以下の多動性―衝動性の症状のうち6つ(またはそれ以上)が少なくとも6ヶ月以上持続したことがあり、その程度は不適応的で、発達水準に相応しない:多動性
a しばしば手足をそわそわと動かし、またはいすの上でもじもじする。
b しばしば教室や、その他、座っていることを要求される状況で席を離れる。
c しばしば、不適切な状況で、余計に走り回ったり高いところへ上ったりする。
(青年または成人では落ち着かない感じの自覚のみに限られるかも知れない。)
d しばしば静かに遊んだり余暇活動をすることができない。
e しばしば “じっとしていない” またはまるで “エンジンで動かされるように” 行動する。
f しばしばしゃべりすぎる。衝動性。
g しばしば質問が終わる前に出し抜けに答えてしまう。
h しばしば順番を待つことが困難である。
i しばしば他人を妨害し、邪魔する。(たとえば、会話やゲームに干渉する)
、多動性―衝動性または不注意の症状のいくつかが7歳未満に存在し、障害を引き起こしている。
、これらの症状による障害が2つ以上の状況において(例えば学校または仕事と家庭)存在する。
、社会的、学業的または職業的機能において、臨床的に著しい障害が存在するという明確な証
  拠が存在しなければならない。
、その症状は広汎性発達障害、精神分裂病、またはその他の疾患(例えば、気分障害、不安障
  害、解離性障害、または人格障害)ではうまく説明されない。

ADHDと診断する際は、多動症候群の診断基準DSM-W(アメリカ精神医学会作成)と子供の様子を照らし合わせ、
A (1)(2)ともに6項目以上あてはまる場合:注意欠陥/多動性障害 混合型、
A (1)のみ6項目以上あてはまる場合:注意欠陥/多動性障害 不注意優勢型
A (2)のみ6項目以上あてはまる場合:注意欠陥/多動性障害 多動性-衝動性優勢型

と診断します。
この診断基準にもとづく調査では、ADHDは小学校に入るくらいの子供たちの少なくとも3%程度存在すること、男女比は6対1と圧倒的に男児に多いことが分かっています。

ICD−10 F90 多動性障害 Hyperkinetic Disorders

この一群の障害は早期の発症、著しい不注意と持続した課題の遂行が出来ないことを伴った調節不良な多動、そしてこのような行動特徴がさまざまな状況でも、いつまでも持続していることによって特徴づけられる。

 体質的異常がこのような障害の正因として重要な役割をになうと一般的に考えられているが、現時点では特異的病因は不明である。近年、このような症候群に「注意欠陥障害」という診断名の使用が推奨されている。ここでそれを用いない理由は、まだ受け入れられていない心理学的過程の知識を含んでいること、そしてさまざまな問題によって不安になったり、没頭していたり、あるいは「夢想的」で無感情な小児を含むということを示唆するからである。しかしながら、不注意という問題は、行動という見地から、これらの多動症候群の中心的な特徴を構成することは明らかである。

多動性障害の早期(通常生後5年以内)に生じる。その主な特徴は、認知の関与が必要とされる活動を持続できず、どれも完結することなく1つの活動から次の活動へと移る傾向であり、そしてそれに体制化されない調節不良の過度の運動をともなう。このような問題は通常、学齢期を通じて持続し、時に成人期まで持続するが、しかし多くの例で通常、次第に行動や注意の改善が見られる。

他のいくつかの異常が合併することがある。他動児はしばしば向こう見ずで、衝動的で、事故を起こしやすく、熟慮の末の反抗というよりは軽率な規則違反を犯すため、しつけの問題とされることになる。彼らの大人との関係では、しばしば社会的な抑制が欠如し、ふつうにみられるはずの注意や遠慮がない。他の子どもとの関係では人気がなく、孤立しがちで、認知の障害が通常みられ、運動発達や言語発達の特異的な遅れが不相応に頻繁にみられる。

反社会的行動と低い自己評価が二次的に合併することがある。したがって、しばしば他動と「社会化されない行為障害」などのような、周囲に迷惑を及ぼすような他の行動パターンと重複する。しかしながら、現在における知見では、他動が主な問題となる一群を分離することを推奨する。

多動性障害は男児に女児の数倍多く出現する。読みの困難(および/又は他の学業上の問題)を随伴するのが普通である。

診断ガイドライン

注意の障害と他動が基本的特徴である。両者が診断に必要であり、1つもしくはそれ以上の状況で両者を明らかにしなければならない(たとえば家庭、教室、病院など)。

注意の障害は、課題を未完成で中止したり、活動が終わらないうちに離れてしまったりすることで明らかになる。こういった子どもたちはしばしば1つの活動から次の活動へ移るが、おそらく他のことに気が散り、1つの課題に注意を集中できないためと思われる(しかし臨床検査では通常、異常な程度の知覚や認知の転導性を示さない)。持続性と注意の欠陥は、その子どもの年齢とIQから考えて過度な場合にのみ診断されるべきである。

多動は、とくにおとなしくしていなくてはならない状況において、過度に落ち着きがないことを意味する。状況によって、走り回り跳ね回る、あるいは座ったままでいるべきときに席から立ち上がる、あるいは過度にしゃべり騒ぐ、あるいはもじもじそわそわしていることが含まれる。判定の基準は、状況から予想される程度より活動が過度でかつ、同じ年齢とIQの他の小児と比較して活動が過度であることが必要である。この行動特徴が最も顕著となるのは、行動の自己統制が高度に必要とされる、構造化され組織化された状況である。

以下の随伴する特徴は診断に必ずしも必要でもないが、診断の確認に役立つ。社会的関係での抑制欠如、多少危険な状況でも向こうみずであること、社会的規則に対する衝動的な軽視(他人の活動に干渉したり妨げたり、他人が質問を終わらないうちに答えたり、順番を待つのが困難であったりすること)などである。

学習の障害と運動の不器用さはきわめてしばしばみられ、これらが存在するときは個別に(F80-F89)に記載されるべきであり、これらはこの他動性障害を実際診断するさいの基準の一部にしてはならない。

行為障害の症状は主診断の基準でも包含基準でもない。しかしその症状が存在するかしないかは、この障害の主な下位分類の基準となる(以下参照せよ)

特徴的な問題行動は早期に発現(6歳以前)し、長く持続するものである。しかしながら、入学前には正常範囲の幅が大きいので、他動と認定するのは困難である。学齢以前の幼児では程度が極度の場合のみ診断がなされる。

多動性障害と診断することは成人期でも可能である。基本的には小児期と同様であるが、注意と行動に関しては発達に見合った基準を考慮して診断しなければならない。多動が小児期に存在し、しかし現在はなく反社会的人格障害や物質乱用などの他の状態になっている場合には、以前の状態ではなく現在の状態でコード化する。

{鑑別診断}

障害が混合していることが普通であり、そして広汎性発達障害PDDがある場合には、それが優先する。診断で主に問題となるのは行為障害との鑑別である。他動性障害はその診断基準が満たされれば、行為障害に優先して診断される。しかしながら、軽度の過動と不注意は行為障害でも一般にみられる。他動と行為障害の特徴がいずれも存在し、しかも他動が広汎で重篤な場合には、「多動性行為障害」(F90.1)と診断されるべきである。

さらに問題は、多動性障害に特徴的なものとはいくぶん異なる種類の過動と不注意が、不安あるいはうつ病性障害の症状として起こることがあるという事実である。したがって激越うつ病性障害の典型的な症状である落ち着きのなさから、多動性障害の診断を導きだしてはならない。同様に、しばしば重篤な不安の症状としての落ち着きのなさから他動性障害の診断を導き出してはならない。もし不安定性障害の1つの基準(F40-,F41-,F43-あるいはF93-)が満たされるならば、不安と結びついた落ち着きのなさとは別に他動性障害の随伴が明らかでない限り、それが多動性障害に優先する。同様に、気分障害(F30-F39)の診断基準が満たされるならば、単に注意集中が障害され、精神運動性激越があるという理由で多動性障害を付加して診断してはならない。二重診断は、気分障害の単なる部分症状ではないことが明確に示される他動性障害が存在する場合にのみなされるべきである。

小児の多動行動が学齢期に急激に発症する場合には、あるタイプの反応性障害(心因性かあるいは器質性)、躁状態、分裂病あるいは神経学的疾患(たとえば、リュウマチ熱)によるものが多い。

(除く) 不安障害(F41.-あるいはF93.0) 気分(感情)障害(F30-F39) 広汎性発達障害(F84.-)
    精神分裂病(F20.-)

DMS−W

広汎性発達障害PDD -自閉症のDSM-Wによる診断基準-
(1) 対人的相互反応における質的な障害で以下の少なくとも2つによって明らかになる:
a 目と目で見つめ合う、顔の表情、体の姿勢、身振りなど、対人的相互反応を調節する多彩な非言語性行動の使用の著名な障害。
b 発達水準に相応した仲間関係を作ることの失敗。
c 楽しみ、興味、成し遂げたものを他人と共有することを自発的に求めることの欠如。
d 他人への関心が乏しい(特に、同世代の子と一緒に遊べない)、関心はあっても関わり方が一方的
(2) 以下のうち少なくとも1つによって示される意思伝達の質的な障害:
a 話し言葉の発達の遅れまたは完全な欠如。
b 十分会話のある者では、他人と会話を開始し継続する能力の著名な障害。
c 常同的で反復的な言語の使用または独特な言語。
d 発達水準に相応した、変化にとんだ自発的なごっこ遊びや社会性を持った物まね遊びの欠如。
(3) 行動、興味および活動の制限され、反復的で常同的な様式で、以下の少なくとも1つによって明らかになる。
a 強度または対象において異常なほど、常同的で限定された型の1つまたはいくつかの興味だけに熱中すること。
b 特定の機能的でない習慣や儀式にかたくなにこだわるのが明らかである。
c 常同的で反復的な衒奇的運動。
d 物体の一部に持続的に熱中する。

上記(1)、(2)、(3)、から合計6つ(またはそれ以上)、うち少なくとも(1)から2つ、(2)と(3)から1つずつの項目を含む。

広汎性発達障害 -アスペルガー障害のDMS−Wによる診断基準-
(1) 以下のうち少なくとも2つにより示される対人的相互反応における質的な障害:
a 目と目で見つめ合う、顔の表情、体の姿勢、身振りなど、対人的相互反応を調整する多彩な非言語性行動の使用の著明な障害。
b 発達の水準に相応した仲間関係を作ることの失敗。
c 楽しみ、興味、成し遂げたものを他人と共有することを自発的に求めることの欠如。
d 対人的または情緒的相互性の欠如。
(2) 行動、興味、および活動の制限され、反復的で常同的な様式で、以下の少なくとも1つによって明らかになる:
a 強度または対象において異常なほど、常同的で限定された型の1つまたはいくつかの興味だけに熱中すること。
b 特定の機能的でない習慣や儀式にかたくなにこだわるのがあきらかである。
c 常同的で反復的な衒奇的運動。
d 物体の一部に持続的に熱中する。

運動能力障害 -Motor Skills Disorders-
発達性協調運動障害
A. 運動の協調が必要な日常の活動における行為が、その人の暦年齢や測定された知能に応じて
   期待されるものより十分に下手である。これは運動発達の里程標の著名な遅れ(例:歩くこと、
   はうこと、座ること)、物を落とすこと、” 不器用”、スポーツが下手、書字が下手などで明らかに
   なるかもしれない。
B. 基準Aの障害が学業成績や日常の活動を著名に妨害している。
C. この障害は一般身体疾患(例:脳性まひ,片まひ,筋ジストロフィー)によるものではなく、広汎性
   発達障害の基準を満たすものでもない。
D. 発達遅滞が存在する場合、運動の困難は通常それに伴うものより過剰である。



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