2000/06/11 公開
2000/06/28 修正
担当:カルネアデス


「‥‥行きます。」

「ああ、慎重にな‥‥。」

「はい。」

「‥‥‥‥。」

「‥‥‥‥。」

「‥‥‥‥。」

「あっ‥‥。」

「!?」

「だ、だめっ‥‥‥‥。」

「ちぃぃ、Spideer−α起動!!」





























A・Iが止まらない!


Spideer篇































「‥‥ぃ‥‥ぃ‥‥ぃ!」

「あ‥‥わたし‥‥。」

「おい、みぃ!」

「は、はいぃぃ!」

「‥‥よかった無事だな。」

「ビリーさん‥‥。」

「そのなんだ、もう今日は休むか?」

「‥‥はい。おやすみなさい‥‥。」



今日の実験‥‥失敗、流石にプログラムの実体化はうまく行ってくれない。

プログラムの実体化自身は出来たものの不安定だ、危険すぎる。

この問題を解消しない限り、成功とは言い難い。

僕の名は「ビリー・G」、まぁハンドルネームなのだが気にしないでくれ、
結構気に入ってるんだよ、これが。

経緯はいろいろあったものの、実体化モジュールの実験を行っている者だ。

先ほど僕が ”みぃ”と呼んだもの‥‥これは正真正銘プログラムだ。

ただ‥‥実体化できるという事実を除いては‥‥。



「じゃあ‥‥行きます。」

みぃが意を決したように、僕に向かって静かに言う。

「ああ、慎重にな‥‥。」

僕はそんなみぃに、僕なりの激励を送る。

「はい。」

モニタ内のみぃは、目を閉じ、両手を胸の前で組み、
その両手から溢れ出す光に包まれていく‥‥。

「‥‥‥‥。」

よりいっそうモニタからは光が溢れ出し、
その輝きの中からみぃがパソコンから出てくる‥‥。

「‥‥‥‥。」

静かに‥‥そして確かに両足で地面に降りたつ、みぃ。
閉じていた瞳が開かれ、僕を凝視する。

「‥‥‥‥。」

突如、みぃの体が揺れ自らの両手で両肩を抱え込み、そのまま地面に倒れる。

「あっ‥‥。」

「!?」

そのまま更に身体を押え込むように両足をも抱え込む。

「だ、だめっ‥‥‥‥。」

みぃの限界を感じた僕はすかさず実行プログラムを走らせる。

「ちぃぃ、Spideer−α起動!!」

再びモニタから光が溢れ出し、昆虫の足が這い出てくる。

その足はみぃをめがけて伸び目標を捕縛、その刹那モニタへと帰っていった。



プログラム ”Spideer−α”、僕が創った試作ウイルスだ、内訳は蜘蛛(くも)。

このウイルスの作用は対象プログラムの制御プログラム‥‥早い話が乗っ取りだ。

対象プログラムがどんな状態であろうとも、制御がかけられるというものだ。

かつて実体化モジュールを使用して、
実体化したプログラムの制御を失敗した経験を元に、
僕が開発したウイルス、それが ”Spideer−α”さ。

そう、これは純粋なプログラムとして製作したわけじゃない。
僕の趣味はウイルス創りなんでね‥‥。

もちろん僕のウイルスに共通する「アレ」が組み込まれているんだけどね。

Hahaha...
When there was a fellow whom was possibly made here, eliminate it...
Begin, the strange person of some countries.
Thank you for being stuck to new-model Virus which I made this time.
Only the person who gave the body of Virus damage admirably can listen to this message.
... You are excellent Program.
It is surely together I network world ruler how.
This Virus stops here if it becomes my company.
If it is not, it is decided that you will lost all the very important data.
Well answer for only 180 seconds. YES... or NO.



僕はキーボードに「YES」と打ち込み入力する。

モニタには『プログラム ”Spideer−α”は終了しました。』と表示されている。

まぁ、試作段階なので表示メッセージを確認のために表示させているわけさ。

もちろん今の段階では何もおきないけどね。
まあこれ以外にも僕のとっておきが搭載されているんだけど‥‥。





そう言えば、一番はじめにこれを起動させた時には‥‥。

「な‥‥。」

「‥‥な?」

「なんなんですかこれは!?」

「なにって‥‥見ての通り。」

「‥‥むっ虫じゃないですか!?」

「ああ、捕獲用のな。」

かたかた‥‥。

「‥‥ん?」

「いやいやいやぁぁぁ!!」

ひゅん!

「どわぁ!?」

端末の上に置いてあったハサミが僕をかすめて跳んでいった!?

「いやいやいやぁぁぁ!!」

そのままハサミは壁に突き刺さった‥‥が、まだ微かに震えている。

「もしかして‥‥Spideer−αよ、出ろ!」



やはりか、現在 ”Spideer−α”によって機能を停止したみぃを
解析している所なのだが、いつのまにやら電磁波関係の能力が追加されている。

さっきのは電磁波を利用した ”フレミングの左手の法則”によって引き起こされたのか?

確か ”ヴァン・エッグ”とかいう無線環境でのハッキングのが可能な技術の応用だろう。

まぁ、フィードバック機能――プログラムを勝手に書き換えてしまう
機能付きだから知らないところで性能が変わっていても不思議じゃない。

実体化できないが故に、これが身に付いてしまったんだろうな。



「Spideer−α、ごくろうさん。」

みぃを捕獲している、”Spideer−α”が消えていく。

これでみぃが再起動するはずだが‥‥。

「いやいやいやぁぁぁ!!」

‥‥いきなりこれか。

「おーい、元気か?」

ぽたっ。

あん? なんだこの赤いモノは‥‥?
どうやら左頬を切ったらしいなさっきのハサミが‥‥。

「なんだ、血か。」

そういえば、みぃが騒がなくなっているな。ふとモニタに目をやる。

‥‥後々考えたら見なかった方が良かった、と思ってしまうこともあった。

「ごめんなさい‥‥。」

なんと、みぃが泣いてた。

「あ、泣いて‥‥ああ、こんなの唾(つば)つけとけば治るさ。」

「ごめんなさい‥‥。」

その日、みぃからはその言葉しか聴くことが出来なかった‥‥。



自分で創るわけじゃなく、成長するプログラム。

色々驚かされることがある。

こういうのも良いかなと思ってしまうとはな‥‥。

あれ以降、少しずつだが実体化の時間は長くなってきている。

別に構わないのだが‥‥そんなこと。

昔に比べると生活を楽しんでいると実感できるから。

この僕が‥‥ね。

to be continued ... ?


あとがき

こんにちは、カルネアデスです。

前回の続きです、まだあと一回分書くつもりですが (^^;
元々最終回周辺を書きたかったのですが‥‥まだそこまで行ってませんね、
近くまではきてますけど(苦笑)

どうやら新装版の最終巻8巻は、
2000/06中旬らしのでその時にでも‥‥間に合えば(冷汗)

思ったより余計なことを書いてしまったのでこんなんになってしまいました (^^;
今回は科白の前の名前付けてません、何ででしょうね‥‥。
ついでに英文がまざってます(冷汗)
まぁ、ヴァンエッグというハッキング方法は〜まあアレですが (^^;
参考にしただけで、できないと思いますがご愛敬ということで‥‥。

因みに ”α”は某ロボット大戦の真似でもなんでもないです。
今公開中の自作MIDIの名前の時に、なんでβ版というのか?
というのを調べて、結局βは2番目、αは1番目だったということで‥‥。



ではでは。次回 ”0”− Spideer篇 にご期待ください‥‥。

私が題名付きの予告したのって希(まれ)なのですが (^^;
題名が変わりませんように‥‥。というか書けますように‥‥。



2000/06/28 改行タグ変更
簡易公開するために<PRE>を使っていたのですが、<BR>に変更しました。


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