2001/12/07 公開
担当:カルネアデス

EからAへの物語

#02 「心躍る不謹慎」


 砂漠‥‥といえば何を連想するだろうか。

 見渡す限りの砂の大地、照付ける太陽、枯果てた湖、河、
湧き出す黒々とした石油、褐色の肌を持つ人種。

 ここに一つの国がある、名前をエルディア共和国と言う。
現女王‥‥今となっては前女王だが志半ばで倒れた。
そのまた前々国王は殺し屋に暗殺され、さらに前々々国王は‥‥。

 砂漠の代名詞足る石油は発掘されず、資源と言えば鉱物。
何かにつけて曰く付きな国であった。

 その前女王の恩恵を受けた少女、
マイナはエルディアの大地を走っていた、全力で。



 大変よ大変よ、プリシア様が‥‥プリシア様が‥‥。

 運動不足な両の足に鞭を打ち、大地を蹴り続ける。

 留学、勉強だからと言って運動は疎かにするべきではなかった。
‥‥ううん、今更悔やんだって仕方が無い。



 私に課せられた任務、彼女を呼び起こす事には成功した、
それで気が緩んだのか疲れがどっと出てきた。

 プリシア様には留学の疲れを癒す為に労いの言葉を頂いた。
それも束の間、謎の意識不明患者が出始めた。

 ‥‥何かの病じゃないかと私は思う。
さらにプリシア様の訃報が‥‥半端な状態での実験ほど危険な事は無い。

 私は安息の地を求めた。
王宮からホテルではなく、今は誰も居ない自分の家に向かった。

 久しぶりに視界一杯に広がる砂漠見たくなった。

 そして自分の生家へと足を向けた。

 何もかも懐かしい‥‥私は寝床に向かって身を投げ出した。

ごんっ!

「いったぁぁい‥‥」

 そこには何かがあった、シーツに包まる何かがあった。
プリシア様だった。ちゃんと生きているプリシア様‥‥だった。

 プリシア様の胸に抱きついて心の鼓動を確認した。
くすっ‥‥今となってはとんでもない事をしでかしたものね。



 けど‥‥これで覚悟は決まった。

 中途半端な状態での実験ほど危険な事は無い‥‥けど。
今やらなければ後は無い気がする‥‥私がそう感じたの。

 プリシア様が生きていたんだから、私は‥‥私にしかできない事を‥‥
留学の成果をプリシア様に献上しなければいけないのよ。

 なんだかとんでもない事になりそうだけど、心が躍っている。
不謹慎すぎるわ‥‥けど、自分自身で制御できる不謹慎なら
最大限まで利用してみせるんだから、先に進めないと駄目なのよ。

 王宮が見えてきた、私のいるべき場所はあそこなんだからね。
もう少し頑張ってよ、私の身体‥‥両足ちゃん。


to be continued ...


あとがき

 家を出たマイナは見城と出会う。が今回はそんなのいらんわ(笑)
と言う事で、こんにちは。カルネアデスです。

 最近マイナをやけに書いているような気がする、
書きやすいのか‥‥?


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