この創作作品には

・ EVE burst error
・ DESIRE 背徳の螺旋
・ 不確定世界の探偵紳士
・ この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO

のゲーム、4作品のネタばれが含まれます。
各ハードに移植された同作品群も含まれると思われます。

警告はしましたからね。であ、お楽しみくださいまし。

 
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ルベキ
 
挿絵:天龍帝
 
 
★「ティーナ1」ティーナ
 
参考配役
ティーナ  / 川上とも子
 
 視界は暗い‥‥まぶた越しに太陽の光を感じる‥‥。
小鳥のさえずりが‥‥小鳥じゃないかもしれないけど、心地よく聴こえる。

 視界無き私の脳裏に流れ込んでくる太陽と小鳥と‥‥私はまぶたを押し上げた。

 晴れ渡る碧い空、所々にその存在感をしめす白き雲‥‥
良いお天気‥‥絶好の洗濯日和よね‥‥けど視界に飛び込む風景は、
大空だけじゃない。青々と生い茂る自然の真っ只中‥‥ここは‥‥。

 背中にはとても大きな樹が私を支えてくれている‥‥
判らない事ばかりだけど‥‥こうしていると、悪い気はしない‥‥。



 がさっ‥‥。



 何時までそうしていたのかしら‥‥不意に物音が聴こえた。
視線を物音の方へ向ける‥‥そして私は見たの、いとおしい人を‥‥その声を。



『ティィィナァァァ!!!』



ティーナ「あ‥‥アルーーーーっ!!」

 私は背中を預けていた樹から飛び跳ね、全速力でアルに向かって走り出した。
自分の行動が信じられない、こんなに素早く行動が出来たものなのかと。
けど、もうあえないと思ってたのに、アルに。



 ドスッ!
 

参考配役
有馬たくや / 檜山修之
ユーノ   / 古山きみこ

 
たくや「ぐっ‥‥」



 ぐいっ!



ティーナ「アルぅ‥‥え? え? ええええ!?」

 私はアルに抱きついた、だけど何か凄い力で後ろ襟を引っ張られ‥‥
アルから無理やり引き離されて、芝が生い茂る地面にお尻をついた。



 どさっ。



ティーナ「きゃぁ!?」



 がしっ!



ユーノ「パパは私のなんだからぁ‥‥貴女はそこ座ってなさいよ!」

たくや「おいおい、私のって‥‥」

 変な雰囲気がその二人には漂っていた‥‥いいえ、
私がいる事によってその雰囲気に違和感が混入したみたい‥‥私が‥‥。

ティーナ「‥‥アル‥‥‥‥じゃない‥‥‥‥」

挿絵:天龍帝

 私がそういうとアルと間違えられた男の人が後頭部をかきむしりながら、
腕にまとわりつく女の人と顔を見合わせ、そしてこう言った。

たくや「うーむ‥‥つまりアレだな、『アルさん』が誰の事かは判らないが」

ユーノ「パパが『たくや』なんだよね」

たくや「うむ、俺はたくやだ。そしてこっちの‥‥キミを投げ飛ばしたのが」

ユーノ「伴侶のユーノなの♪」

たくや「がくぅっ」

ユーノ「さっきは遅れをとったけど‥‥パパはあげないからね♪
    どうしたのパパ? 頭なんか抱えちゃって」

たくや「‥‥あのなぁ、ユーノぉ」



 
★「悪行双麻」悪行双麻

 
参考配役
悪行双麻   / 子安武人
ミント=御剣 / 桑島法子
海御寺涼子  / 佐久間レイ

 
双麻「‥‥なぁ」

ミント「はい?」

涼子「なに?」

双麻「あぁー‥‥なんでもない」

ミント「あ、見てください悪行様、涼子様」

涼子「きれいなお花‥‥」

 俺様のイメージが‥‥いわゆる少女二人に手を引かれて‥‥ガタガタだ。
ハードボイルドを気取っていたいのだが‥‥とほほ‥‥。

双麻「はぁ‥‥」

挿絵:天龍帝

 がさっ‥‥。



双麻「!? お前達はここに居るんだぞ!!」

ミント「あ‥‥悪行さまぁ!!」

涼子「ちょっ‥‥危ないわよ! ‥‥といって聴く人じゃないしねぇ」



 
双麻「‥‥女‥‥の子?」

 物音がした先では裸の女が倒れている。それも一糸纏わぬ姿で。
人の生き死ににウンザリな俺だからなのか? 女の前にしゃがみ込んでしまった。

 直接手を差し伸べるまでも無く、胸が上下しているのを確認した。
口元に耳を寄せると呼吸もしている、どうやら生きているらしいな。

 胸が上下しているってことは心臓が動いていて、
呼吸もしているってことだからな。倒れているからといって
勝手に殺すのもアレだったのだが‥‥。

 ‥‥はっ! もしかしてこれは‥‥この状況は。
また女の子の連れが増えちまったのか!? はぁ‥‥俺様のイメージが‥‥。



 
 がさっ‥‥がさっ。



双麻「おーいミント、育児のデータはあるか?」

ミント「‥‥ふふふふ‥‥え、あ、はい?」

 花飾り作りに夢中だったらしいミントは、妙な反応を見せた。
そのあとの反応も‥‥今から考えれば変な反応だったのかもしれないが。

ミント「育児‥‥‥‥子育て!?
    ‥‥そ、そんな‥‥悪行さまぁ‥‥(ぼそぼそ)」

双麻「おいおいぃ‥‥ミント? ‥‥涼子さん?」

涼子「仕方が無いわねぇ‥‥私でよければお役に立つわよ、双麻」

ミント「そんな‥‥駄目ですよ‥‥みんなが見ていますぅ‥‥」

 このまま見ているのも楽しかったのかもしれないが、今はそんな場合じゃない。
自らを抱き締め、身体をくねらせたり色々訳の判らん動きをしている
ミントをそのままに、俺は涼子を連れて先ほどの女の子のところへ向かった。

双麻「‥‥にしても、何時からあんなキャラになったんだ、ミントは?」

涼子「担当者が疲れているんでしょ?」

双麻「そうだな‥‥って、なぁ涼子、担当者って誰だ?」

涼子「‥‥さあ?」

挿絵:天龍帝

 
涼子「‥‥で、この人に向かって育児の知識をぶつければいいのね?
   どう見ても乳飲み子には見えないけど、それでもいいのね?」

双麻「色々疑問やら不満があるようだが、おおめにみてくれ。
   つまりは‥‥だな、そういうことだ‥‥から、よろしく頼むぞ、涼子」

涼子「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

涼子「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

涼子「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

涼子「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

涼子「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

涼子「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

涼子「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

涼子「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

涼子「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

涼子「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

涼子「はいはい、期待して良いわよ‥‥」

双麻「うむ、期待しているぞ」

涼子「どうやら双麻は私に上着だけじゃなくって
   下も付けさせようという魂胆のようね」

双麻「さすがはジャーナリスト、目の付け所が違うな」

涼子「場合が場合なんだから、自分がヤってしまっても良かったのに‥‥」

双麻「ふん、専門家がいるんだから、使うのがあたりまえだ」

涼子「はいはい‥‥」

 明らかにだるそうな、
悪行の言葉にあきれ果てたといった涼子の顔が引き締まる。

 少女だった涼子が見る見るうちに大人になっていく。
どういう原理かは知らんが服は破れていないぞ。

 破れていないというよりは、別物の服になっている。
白のワンピースだったはずなのに今見てみればスーツ姿だ。

 早着替えか?

双麻「‥‥見ている前でそれをされるのは初めてだな」

涼子「ふふ、今のアナタの顔。なかなか良かったわよ」

双麻「意地悪ばあさんみたいな発想だな」

涼子「あまり無茶ばっかり言わないでよね。
   あなたのそんな顔でも見ないとやっていられないわ。
   それに、どんな顔をするのかも見てみたかったし」

双麻「‥‥むぅ」

 そうこう会話をやり取りしている合間に、
テキパキと涼子は動き続け、作業を完了させた。

涼子「はいはい‥‥はいっ! 出来たわよ」

双麻「そうか、すまんな。俺達と同じく行き倒れなんだろうな。無論‥‥」

涼子「連れて行くんでしょ?」

双麻「さすが上質の観察眼いいめをしているな」

涼子「あなたが良い人過ぎるのよ、双麻」

双麻「むぅ‥‥俺様は運が悪いのだが、よって悪人だぞ」

涼子「じゃあその悪運の巻き添えを食わさない為に置いていく?」

双麻「‥‥冗談を言うなよ、俺の悪運は他人に伝染うつるんだ。
   だから置いていくのは逆に危険なのさ」

涼子「結局は良い人なんじゃないの?」

双麻「まさか、俺が居なくなれば‥‥」

涼子「その場所が平穏無事であるのよね?」



 
双麻「おい、ミント、しっかりしろ!」

 用事が済んでミントのもとに戻ると‥‥案の定というかやっぱりというか
あの状態のままのミントが、花で編んだ花の冠を頭に載せて‥‥あのままだ。

 さっきは気付かなかったんだよ、花の冠をかぶっているなんて。
涼子の観察眼にも遅れを取ってしまうぞ、このままでは。
‥‥などと、いらん事を思ってしまったりして。

ミント「悪行さまぁ‥‥は?」

 どうやら元に戻ったらしい。念のため確認しておくかい?

双麻「ミント、俺が誰だか解るか?」

ミント「悪行様です」

双麻「じゃあこっちは?」

ミント「涼子様です」

双麻「ならばこっちは?」

ミント「悪行様の上着とシャツを身に付けた女の方です」

双麻「うむ、見事なお手伝いぶり。
   担当者の説明を割愛するその気の回り様、お前はミントだ」

ミント「悪行様の仰る事が理解できかねます‥‥」

双麻「安心しろ、俺様も理解できていない」

涼子「‥‥本当に理解に苦しむ会話よね」



 
ミント「つまり‥‥
    お花畑の近くの茂みに、女性が一糸纏わずこの世に生を受けた‥‥
    生まれたままの姿で倒れている所を悪行様が発見されたのです。
    そして涼子様の手によって悪行様の上着を彼女に着せた、
    そういう状況、これでよろしかったでしょうか。悪行様、涼子様」

双麻「うむ、いい子だ。ミント」

ミント「‥‥‥‥(ポッ)」

涼子「‥‥‥‥」

双麻「どうした、涼子」

涼子「担当者の手抜きいいように使われているだけじゃないの?」

双麻「俺もそう思うが楽なものは楽なんだ、俺がその立場でもそう思うだろう」

涼子「思うのと許すのは別じゃないの?」

双麻「俺はあく‥‥」

涼子「‥‥もう良いわよ、疲れるから」

双麻「うむ、俺も疲れる」

ミント「何か聴こえませんか‥‥せせらぎ?」

双麻「あん、河があるのか?」

涼子「‥‥丁度良いわ、どのくらい先?」

ミント「すぐそばのようです」

双麻「そうか、それは気付かなかったな」

涼子「私は喉‥‥渇いたわよ、双麻」

双麻「奇遇だな、俺様もだ」

ミント「こちらです」

双麻「あ‥‥ああ」

涼子「双麻、この娘。どうするの?」

双麻「‥‥すぐ戻ってくる。だからここに寝させておこう」

涼子「‥‥‥‥」

双麻「すまんな、水を飲んだらすぐに帰ってくる」

ミント「悪行様、涼子様ぁぁ」

双麻「ああ、すぐ行く」

涼子「運べるだけの余裕が無いのね」

双麻「‥‥はっきり言わんでくれ」

 悪行は帽子を目深に被り直した。



 
★「ティーナ2」ティーナ

 自然に溢れている‥‥あの孤島とは大違いだ。

 時より顔を覗かせる、研究所の百科事典でしか見たことの
無かった動物が首を傾げたような仕草をしている。

 これが大自然‥‥鳥のさえずりが、心を静めて行くのを感じた。

ユーノ「はい、ティーナちゃん」

 そんな私にユーノが食べ物を差し出した。
串に刺さっている、魚なのかな。でもこんなものは見たことが無かった。

ティーナ「‥‥‥‥」

ユーノ「‥‥‥‥」

ティーナ「‥‥‥‥」

ユーノ「‥‥‥‥」

ティーナ「‥‥‥‥」

ユーノ「‥‥‥‥」

 しばらく硬直していたユーノはその食べ物を自分の口に運んだ。
口にほおばり咀嚼する表情は、本当に幸せそうだった。

 表情がだいぶ崩れてしまったユーノが私のほうに視線を返した。
私の事を忘れてしまっていたと言うようなバツの悪そうな仕草だった。
その事をごまかすかのように、ユーノは弁解をはじめたように‥‥見えた。

ユーノ「ほら、こんなに美味しいし‥‥毒なんて入っていないよ」

ティーナ「べ‥‥別に毒の心配なんて‥‥」

ユーノ「え、そういう心配していたんじゃ無いんだ」

 ユーノは瞬きをした。感情が豊かな娘だ。そう感じた。

ティーナ「ただ‥‥それが何なのか判らなかったの。魚じゃないでしょ?」

ユーノ「うん、これは鳥さんだよ。
    お魚さんはね、今パパが獲りに行っているんだよ。
    お魚さんの方がティーナちゃん良かった?
    ごめんね、お魚さんは一昨日食べちゃったから、
    昨日は鳥さんの日だったんです。

    けど、パパが頑張ってお魚さん採って来るから。
    今はこれで我慢してくれると、ユーノ嬉しいな」

ティーナ「違うの。私‥‥鳥って食べた覚えが無いの‥‥」

ユーノ「ふぅ〜ん、そうだったんだ。けど美味しいよ」

 私はユーノから鳥を受け取った。
ユーノがかじってしまったので半分以上は無くなっていた。

 ユーノが私の顔をまじまじと見つめている。思いっきり期待されている。
他人が美味しい美味しくないかを言うのとは関係ないと思う。
私が鳥を食べる。その事にだけ興味を示しているように感じた。



 
★「有馬たくや」有馬たくや

 さて、昨日は鳥を捕ったからな。今日は魚なんだよな。
仕掛けに掛かっているかな。ダメだったらどうするかな。
仕掛けの改良か‥‥それとも、自力で追い掛け回さんとダメかな。

 そう何度も手抜きで魚が捕れるとも限らんし。
捕れていたら捕れていたで生活に刺激と言うものが無いし。
どうしたものかなぁ‥‥。



 今日は客人が居るからな。

 俺たちと同じ様に、どっかから紛れ込んだ口だろうが。
どうするべきかな‥‥まぁ、ゆっくり様子を見るしかないか。

 その為にはご馳走が必要だ。俺も魚が食いたかったところだ。
‥‥なんだ、結局俺がそうしたいだけか。迷惑な話だな。
あの客人‥‥確か、ティーナと言ったか。

 俺の事を『アルバート=マクドガル』と呼びやがった。
よっぽどの孤独だったのだろうか。孤独だったんだろうな。
孤独だったに決まっているぢゃないか。

 こんなわけの分からない世界にきちまったんだからな。



 ‥‥なんだ、この感じ。



 妙だな。



 違和感‥‥だな。



 こっちか‥‥。



 ‥‥人。



 ‥‥‥‥。



 ‥‥人か。人が寝ているぞ。



 ティーナのお蔭であまり驚かなかったぞ。
‥‥にしても妙だな、この着こなし方。まるで他人がやったような感じだ。

 死んでいるのか、気になるな。
こういうイベントはめったに訪れないからな。
生きるために狩をするぐらいだからな、ここでは。

 ぜひとも、調べてさせてもらおうか。



 かちゃり‥‥。



双麻「その娘から離れてもらおうか?」

 女の子に近寄ろうとしたら背後から撃鉄を起こす音がした。

 ぬかったぜ!

 ‥‥くそっ! あせってはダメだ。冷静に行くべきだぞ。
有馬たくや。よし、心が落ち着いたぞ。行くぜ!

たくや「嫌だ‥‥と言ったら?」

 俺は男に向き返った。目前に銃口が在った。
撃鉄の音から想像はしていたが、実際銃口を見てしまうと
流石にあせった‥‥が、しかし表情には出なかったはずだぜ。

挿絵:天龍帝

 銃を持つ男は帽子を目深にかぶっていて片目が見えない。
嫌な視線を放っていやがるぜ。目で殺すってヤツか‥‥。

双麻「愛銃がお前を撃ち抜くだけだ」

たくや「それでも嫌だ‥‥と言ったらどうする?」

双麻「更に銃弾が貴様を撃ち抜きまくるだけだ‥‥」

たくや「‥‥撃たれすぎたら死しんじまうよな、そうなったら?」

双麻「なら楽にしてやるだけさ‥‥解っているんだろ?」

たくや「引金に指を掛けない奴が言う科白じゃないぜ?」

双麻「‥‥‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

たくや「まぁ‥‥どの道、俺が抜刀ぬくほうが早いがな」

 俺は腰を微妙に振り、腰に携えてある剣を主張して見せた。

双麻「‥‥その距離でか?」

たくや「無論」

双麻「その剣、柄だけだろ?」

たくや「なんのことだか」

双麻「目釘が無いぞ」

たくや「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

双麻「はっはっはっ‥‥‥‥」

たくや「はっはっはっ‥‥‥‥」

 今日は妙な日だな。やけに人に会う日だ。
これで魚が捕れていなかったら冷汗モノだぞ‥‥。



 
★「宴」

双麻「にしても、ここはどこなんだ」

たくや「さぁな」

ユーノ「どこだっていいよ」

双麻「なにぃ?」

ユーノ「パパと一緒だったら、どこだってイィの!」

たくや「どわぁ! おいおい、人前で勘弁してくれよ」

 たくやに覆い被さるユーノ。

註:人前じゃなきゃイィのか? ‥‥という当たり前の質問は無視しよう。
  人前じゃなければイィに決まっている!!

 悪行の袖を引っ張るミント。

双麻「あん‥‥なんだ、どうした?」

ミント「あの‥‥悪行様‥‥」

涼子「じれったいわね!!」



 どん!



ミント「あっ‥‥」

 悪行の耳元に消え入りそうなミントの囁きが‥‥

双麻「ぐえぇぇぇ!!」

 悪行ガエルが潰された効果音的絶叫に掻き消された。

涼子「‥‥ラブコメでも、こんなの無いわよ」

註:ラブコメがどの範囲なのかが、担当者は曖昧である。
  そこんとこヨロシク!

 涼子はたくやに近付き、助けを求めた。

 たくやも助けを求めていた。二人の利害は一致した。
ただ、ユーノの想いだけが宙ぶらりんになった。



 
双麻「す‥‥すまんな」

たくや「なぁに‥‥強制労働に比べれば『へ』だよ‥‥『へ』!」

と言うわりに肩で息をしているたくやであった。

 問題のミントは上の空で『悪行様‥‥』と時より呟いていた。

 ミントは人間とはちょっとばかり違うので、
すっごく重たいと言う事を補足しておきます。



 
★「ティーナ3」ティーナ

 綺麗な人に遇った。飾って言うのなら‥‥そう、人魚姫。
川の近くに倒れていたらしい。裸でね。
連想するには結構いい線だとは思わない?

 ‥‥‥‥。

 他のみんなは知り合いと一緒。
私たち二人は知り合い無し、一人ぼっち同士。

 そういう意味で惹かれたんだろうか。いや‥‥何かが違う。
違う何かで惹かれた気がする。

挿絵:天龍帝

 規則正しく上下する‥‥あれ?
何か違う、深い呼吸にしては‥‥おかしい気がする。



 触れてみた。



 覚えがある。



 幾年をも超えた私の知識がそれに応える。
人工皮膚‥‥極めて精巧だけど天然のモノじゃないわ。

 培養された人工皮膚だわ。
一握りの違和感はこれだったのだろうか。

 見た目は一緒だけど、さわり心地に微妙な誤差が生じる。
肌が荒れているとか、老化から生じる‥‥という誤差の問題ではない。

 ここまで来てしまえば職人技だ。

 ‥‥驚いた。全身人工皮膚。
これはもしかして『人』じゃ無いかも。



 ‥‥‥‥。



 ‥‥ふふ、私だって同じかもね。同じ時間をグルグルと‥‥
悠久の螺旋に囚われた哀れな‥‥。

 ふぅ、他者を見下したいほど、精神的に余裕が無いのかな、
私って‥‥。

 ここ‥‥どこなんだろうねぇ‥‥。



 
★「時は流れ」

 アレからどれだけの時間が過ぎたんだろうか。
人々は何時の間にか打ち解け合っていた。

 男たちは肉体労働に励み、女たちは調理に勤しみ、
そして‥‥人魚姫は未だに目覚めない。

挿絵:天龍帝

 その状況を打破したのは自称『悪運の持ち主』を名乗る探偵だった。



 
双麻「おい、お前たち。俺のせいだ、すまん」

といきなり謝罪をした。

たくや「‥‥おいユーノ。変なきのこ入れたんぢゃ無いだろうな」

ユ−ノ「う‥‥ご、ごめんなさい」

涼子「ミントがさ、可愛い可愛いって言うもんで‥‥」

ティーナ「つい‥‥入れちゃいました」

ミント「かわいいでしょ、これ」

 箸でその問題のきのこを取り出すミント。

双麻「ぢゃない!」

たくや「悪行、誰もお前のせいだって思っちゃいないぜ。
    先に言っておくが『しかし』は無しだ」

双麻「かかし、悪運を持っているのは俺だけだぞ」

たくや「『かかし』も無しだ。んなこと考えても仕方がねぇよ」

双麻「‥‥‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

双麻「くそ、このきのこのせいで変な事を言ってしまったぞ」

たくや「まったくだ、今度からは変なきのこは入れないでくれよ」

ティーナ「は〜い」

双麻「まったくきのこのせいだからな‥‥」

涼子「ねぇ‥‥双麻の探偵術で解決したらいいんじゃないの」

たくや「探偵? そうか、ぢゃあその探偵術でなんとかしてみな」

 たくやが箸で悪行の帽子をはね上げた。

双麻「おっと、そんな事はすっかりわすれていたぞ。任せろ!」



 
双麻「わからん」

たくや「そうか」

双麻「あっさりしているな」

たくや「俺も昔そうやった事がある」

双麻「‥‥なに?」

たくや「だから昔、探索したってことさ。
    ずぅぅぅぅぅぅ‥‥‥‥‥‥っと樹海で何ともならんかった」

双麻「むぅ‥‥」

たくや「解っただろう。誰にも、どうにも出来ない事ってあるのさ」

双麻「例えそれが‥‥」

たくや「探偵であってもさ」

双麻「‥‥‥‥」

たくや「不満そうだな、悪運ってやつを纏ってないと気分が優れないのか?」

双麻「‥‥かもしれん」

たくや「まあいいじゃないか。
    女の子の為に狩りをして、生活する。今はそれだけで」

双麻「良く解らんが、喰っていくのには苦労しないんだな」

たくや「そうだな、ここがどこかはしらんが食には困らん。イィ事だ」

双麻「仕方が無い、今は食いつなぐ事が必要だからな」

たくや「そういうことだ、これで俺も楽が出来る訳だ」

双麻「なんだと?」

たくや「心此処に非ず状態で狩りされていたら、収穫高に関わるからな」

双麻「むぅ‥‥」

たくや「弓矢、悪行の方は減りが凄いだろう。それが証拠って訳さ。
    もうちょっと集中してくれ。弓矢作るのも楽じゃないんだ」

双麻「‥‥それは気付かなかった」

たくや「今気付いたからイィぢゃないか」



 
★「人魚姫」御堂真弥子

 
参考配役
御堂真弥子 / 岡本麻弥

 
 ちょろちょろ‥‥。



 私の意識に広がって行く‥‥澄み渡る水の足音‥‥水の大行進。
いつも悪夢で見た深海の‥‥暗く‥‥重々しい水流みずたちの足音じゃない
‥‥とても優しい‥‥水の音色‥‥。



 ぱちぱちぱち‥‥。



 何かが爆ぜる音‥‥芳ばしく香る‥‥焚火の音だ。
覚醒の一歩前はこんな状況に包まれているのね‥‥。

 いつもは、すぐに目を開けてしまうから‥‥
こんな世界が有る事に、全く気付かなかった‥‥。



 
『真弥子ちゃん!』

『真弥子!?』

『真弥子さん‥‥!』



 
 懐かしい人たちの声がする。
人魚姫の夢なんかを見ていたわけじゃないんだ。



 
『真弥子ちゃん‥‥起きて‥‥』

『真弥子‥‥‥‥』

『真弥子さん‥‥起きる時間です‥‥』



 
 ゆっくりとまぶたを押し上げていく。苦しみから逃げ出す為じゃない。

 自ら望んで、心から清々しい気持ちで
目覚める事が出来る日が来るなんて思いもしなかった。



 ぱちり。



 まだ、視界がはっきりしない‥‥。



 プリシアが二人?



 誰かの‥‥確かに三人分の私を呼ぶ声が聴こえたはずなのに。
あと一人は‥‥どこ?

 いや、プリシアじゃないわ。
金髪の少女が二人‥‥私を覗き込んでいる。

 二人の表情は固まっていた。二人は互いに顔を見合わせた。
二人はお互いの手を握り合った。そして‥‥



「「人魚姫が目覚めたぁ♪」」



‥‥人魚姫って、だれなのよ。



 
★「御堂真弥子」御堂真弥子

 私の名前は御堂真弥子。
覚えている限り、私は船と共に深海に落ちたはずだった。

 この大自然は何なんだろうか。夢にしては心地が良いし、
頬をつねってみたけど‥‥‥‥痛い。現実だ。

 何がどうなったのだろうか。まったく判らない。
判っている事は、私は介抱された。それだけだった。



 
ティーナ「‥‥‥‥」

ユーノ「すッごく眠っていたんだよ」

ティーナ「‥‥‥‥」

真弥子「そうなんだ」

ティーナ「‥‥‥‥」

真弥子「どうかしましたか?」

ティーナ「‥‥‥‥」

真弥子「ティーナさん?」

ティーナ「‥‥‥‥」

ユーノ「ティーナちゃん!」

 ユーノさんがティーナさんに覆い被さった。

ティーナ「‥‥‥‥。 きゃぁ!! 何々?!」

真弥子「ティーナさん、どうかなさいましたか?」

ティーナ「え、いや‥‥別に‥‥‥‥」

 明らかにティーナさんの視線だけユーノさんとは違った。
何が違うのかは判らなかったけど‥‥そう感じた。



 
双麻「おう、こいつは美味い」

たくや「おお、本当だな!」

 私の作った料理は大好評だった。
女性陣からは妙な視線を感じた‥‥嫉妬かな (^^;

挿絵:天龍帝 挿絵:天龍帝

 たくやさんにはユーノさんが、
悪行さんにはミントさんが張り付きだした。

 涼子さんの方を見ると肩をすくめていた。
ティーナさんは‥‥私の視線に気付いていなかった。

 私の心に異質な予感が過ぎ去った。
刹那、涼子さんが私に寄って来た。

涼子「ティーナ‥‥貴女の事、気になっているみたいね」

真弥子「‥‥‥‥」

涼子「大丈夫よ、ああなったティーナは聴く耳持っていないわ」

真弥子「‥‥‥‥」

涼子「他はラブラブモードでこっちに余裕はなさそうだしね」

真弥子「‥‥‥‥」

涼子「まぁ、今度お話でもしましょう」

真弥子「‥‥すみません」

涼子「ふふ‥‥困った時は、お互い様よ。本当に美味しいわね、これ♪」

真弥子「そうですか、これのコツはですねぇ♪」

 私は涼子さんと料理の話に華を咲かせた。
そうする事で、不安を吹き飛ばしたかっただけかもしれないけど‥‥。



 
★「狩」

たくや「ちぃ、しくじった。悪行!!」

双麻「まかせろ!」

 四速歩行のなんだか良く解からない獣に斬りかかった
たくやはあっさりと抜かれた。そこに弓で狙いをつける悪行。



 ぴゅっ!



 ひらりん!



 悪行の弓矢はかわされた。獣はたくやに体当たりをかました。

たくや「うぉう!?」

 たくやは倒れた。たくやの上に乗りかかる獣。
鋭利な爪がたくやに襲い掛かる。

たくや「アホか、状況を考えろ!!」

 たくやは爪を刀で受け止めながら吼えた。
刹那、獣の眉間を弓矢が貫通した。

たくや「なかなか強かったが、こっちはふたりがかりなんだよ。
    容易に動きを止めるんじゃない!!」

 絶命した獣の体重がたくやに掛かる。
暖かい獣が急速に冷たくなっていく。

 生きる為に狩をする。その犠牲の為に自分が立っている。
この世界に来てから、その事は毎日毎度、再確認している。

 それを忘れない為に、極力、接近戦をかけるたくやであった。



 
双麻「ミント‥‥」

ミント「悪行様、なんでしょうか」

双麻「こんな時間にすまんな」

ミント「かまいませんが」

双麻「こいつの解析を頼みたい」

ミント「了解しました」

涼子「双麻、それってまさか結婚指輪?」

双麻「違う!!」

涼子「怒鳴らないでよね」

双麻「あぁ‥‥もういいから。おまえはあっちへ行っていろ!」

涼子「ごめんってば、もう冷やかさないし」

双麻「好きにしろ」

 涼子は小声で『今日の所は』と付け加えた。
悪行の耳にも届いていたが、聴いていないふりをしていた。

涼子「で、どうしたのよ。それ」

双麻「今日の狩で、たくやが落としたものだ」

涼子「‥‥‥‥」

双麻「涼子の意見を聴きたい」

涼子「なんでよ」

双麻「俺様が訊きたいからだ」

涼子「自分勝手ね‥‥」

双麻「良く言われるさ」

涼子「まぁいいわ、双麻だし。そうね、何か隠しているわね」

双麻「ふむ」

涼子「たくやが、何か隠しているわ」

双麻「ふむ」

涼子「ティーナは別件で何かを隠しているわ」

双麻「ふむ?」

涼子「真弥子を見る目が普通じゃないわ」

双麻「そうか、涼子も気付いていたわけだ」

涼子「ティーナの視線にだけ‥‥ね」

双麻「ああ、微妙なところだがな」

涼子「ユーノは天然ね」

双麻「‥‥‥‥」

涼子「そこ、沈黙しない」

双麻「す‥‥すまん」

 悪行の袖が引っ張られた。
ミントが頬を膨らませてブスっとしていた。

 解析中に涼子と仲良くしていた事でご機嫌斜めになっている模様だ。

ミント「悪行様‥‥」

双麻「ミント、解析は終わったのか?」

ミント「悪行様‥‥」

涼子「双麻‥‥」

双麻「ええい、解かっている!」

ミント「‥‥‥‥」

双麻「ミント、後で耳掃除をしてくれ」

ミント「‥‥‥‥」

双麻「ち‥‥違ったか (^^;」

涼子「そうまぁ‥‥」

双麻「うぉっほん‥‥ミントは優秀だと噂していたところだ」

ミント「‥‥本当‥‥‥‥‥‥‥‥ですか?」

双麻「当たり前だ、なぁ。涼子」

涼子「双麻の言う通りよ」

双麻「‥‥‥‥」

ミント「そう‥‥ですか。解析終了しました」

双麻「結論から頼む」

涼子「そうね、結論だけの方が理解しやすいかもね」

ミント「結論から述べます。時空転移装置です」

双麻「‥‥‥‥」

涼子「‥‥‥‥」

ミント「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

涼子「‥‥‥‥」

ミント「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

涼子「‥‥‥‥」

ミント「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

涼子「‥‥‥‥」

ミント「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

涼子「‥‥‥‥」

ミント「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

涼子「‥‥‥‥」

ミント「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

涼子「‥‥‥‥」

ミント「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

涼子「‥‥‥‥」

ミント「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

涼子「‥‥‥‥」

ミント「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

涼子「‥‥‥‥」

ミント「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

涼子「‥‥‥‥」

ミント「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

涼子「‥‥‥‥」

ミント「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

涼子「‥‥‥‥」

ミント「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

涼子「‥‥‥‥」

ミント「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

涼子「‥‥‥‥」

ミント「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

涼子「‥‥‥‥」

ミント「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

涼子「‥‥‥‥」

ミント「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

涼子「‥‥‥‥」

ミント「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

涼子「‥‥‥‥」

ミント「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

涼子「‥‥‥‥」

ミント「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

涼子「‥‥‥‥」

ミント「‥‥理解できませんでしたか?」

双麻「あー‥‥‥‥‥‥‥‥どう思う、涼子」

涼子「双麻こそ、どう思うのよ」

双麻「さっぱり解からん」

涼子「私もよ。ミント、悪いけど説明お願いね」

ミント「了解致しました、涼子様。
    この理論は龍蔵寺幸三、今川由利香、有馬広大。
    以上三名の共同研究から弾き出された構想です」

双麻「ちょっとまてよ、ミント。有馬広大だと?
   たくやの名字も有馬だったような。まさかな‥‥」

涼子「双麻‥‥」

 涼子の視線に悪行は頷いた。

涼子「ミント、それの使い方解かる?」

ミント「はい、解かります」

双麻「何でもいい、どうなってもかまわんから使ってみろ」

ミント「曖昧ですね。けど、了解です」

 時空転移装置から光が溢れて来る‥‥。



 
ユーノ「ねぇ‥‥パパぁ‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

ユーノ「ねぇ‥‥」

たくや「ええい、猫なで声を出すな」

ユーノ「アレ‥‥見たいなぁ‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

ユーノ「ねぇ‥‥ったらぁ」

たくや「仕方が無いな」



 ごそごそ‥‥。



たくや「あれ、おかしいな」

ユーノ「どうしたの?」

たくや「無い」

ユーノ「え?」

たくや「どっかに落としたかな」

ユーノ「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ‥‥」

たくや「明日探してくるよ」

ユーノ「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

ユーノ「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

ユーノ「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

ユーノ「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

ユーノ「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

ユーノ「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

ユーノ「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

ユーノ「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

ユーノ「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

ユーノ「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

ユーノ「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

ユーノ「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

ユーノ「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ‥‥」

たくや「ごめん」

ユーノ「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

ユーノ「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

ユーノ「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

ユーノ「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

ユーノ「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

ユーノ「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

ユーノ「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

ユーノ「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

ユーノ「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ‥‥」

たくや「‥‥‥‥ごめんってば」



 
双麻「心臓に悪い」

涼子「そうね」

ミント「原子炉に悪いです」

双麻「‥‥‥‥」

涼子「‥‥‥‥」

ミント「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

涼子「‥‥‥‥」

ミント「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

涼子「‥‥‥‥」

ミント「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

涼子「‥‥‥‥」

ミント「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

涼子「‥‥‥‥」

ミント「‥‥‥‥」

双麻「(汗)」

涼子「(汗)」

ミント「?」

双麻「たくやの野郎‥‥状況を打破する術を持っているんじゃ無いか」

涼子「けど、こんなのいきなり使われたって理解出来ないわよ」

双麻「そうだな、俺達はどうやってここへ来たのかも覚えていないからな。
   そのカギがこれなのかもしれんが」

涼子「たくやが一概に悪いとは言い難いわよ」

双麻「むぅ‥‥」

涼子「明日、話し合いの場を持つべきね」

双麻「‥‥そうかもな」



 
★「理屈ぢゃ無い」

たくや「なんだ悪行、今日はやけに早いな」

双麻「そうだな」

たくや「俺は捜し物があるんでな、じゃあな」

双麻「有馬よ‥‥捜し物とはこれの事か」

たくや「悪行‥‥」

双麻「リフレクターデバイス、有馬広大作‥‥誤りは無いな」

たくや「‥‥何が望みだ」

双麻「全てだ」

たくや「‥‥‥‥」



 かちゃり。



双麻「抜け、たくや。今日の獲物は本物の様だからな。本気で行かせてもらう!」

たくや「悪行、貴様の方こそ装填しやがって‥‥」



 きらぁぁん。



たくや「今宵の刀は、血を求めておる。後悔するなよ、悪行!!」

双麻「俺はいつも後悔している、悪運の持ち主だからな」



 
 ぱぁぁん!



ティーナ「な、銃声?!」

涼子「あーあ、始めちゃったわね」

ティーナ「涼子さん!」

涼子「心配要らないわよ、男共が遊んでいるだけだから」

ティーナ「遊んでいるって‥‥どう考えても実弾でしょ?!」

涼子「そうね」

ティーナ「そうね‥‥って」

涼子「頭では解かっていても身体では解からないのよ、あの馬鹿共は‥‥」

ティーナ「‥‥そう言う言われ方をすると、なんか理解出来るかも」

涼子「馬鹿は放ぉって置いて‥‥ね、そういえば真弥子ちゃん見てないわね」

ティーナ「真弥子さんですか、今日はまだ見てないですね」

涼子「寝床には居なかったのよね。何処行ったのかしらね」

ティーナ「散歩でしょうか?」

涼子「さあ、どうかしらね。それは置いておいて、準備しましょうか」

ティーナ「そうですね、何作りましょうか、お魚? 鳥さん?」



 
★「悪行双麻2」悪行双麻

 ち、剣のクセになんて奴だ。公安のアイツ見たいな動きをしやがって。
リーチの差、関係無しかよ。残りは一発か。仕方が無いな。勝負を付けるか。



 
★「有馬たくや2」有馬たくや

 流石に飛道具が相手だと苦戦するな。
‥‥やけに休憩時間が長いな。もしかして残り弾数が底ついたか?



 
たくや「おい、悪行。そろそろ終わりにするか」

双麻「そうだな‥‥奇遇だな。俺様も丁度そう言おうと思っていた所だ」

たくや「そろそろメシの時間だしな」

双麻「ふ、メシの時間‥‥ねぇ。お前らしい発想だ。
   そういうのはキライじゃないぜ。



   たくやぁ、勝負だ!!」



 悪行が木陰から飛び出した。たくやを瞬時に射線におさめる。
その射線を微妙に逸らしならが猛スピードで接近するたくや。

 猛スピードで移動するたくやを、慎重に照準を合わせ続ける悪行。

 その的確な悪行の銃口から逃れつつも、速度を落とす事無く、
バランスも崩す事無く接近しつづけるたくや。

 互いが互い、互いの視線を感じ続けている。
一撃を加える好機を逃さない為に。

 たくやが悪行のゼロ距離まで迫った。
振り下ろされる斬撃。紙一重で避ける悪行。

 両刃ながらも使用不可能にする為に剣を踏みつける悪行。
悪行の靴に両刃の剣が食い込み、鮮血が刃を曇らせた。

 たくやと悪行、互いの視線は交錯する。

 刹那、たくやの眉間に銃口が押し付けられ、
引鉄に添えてあった指に力が込められる。



 
 ぱぁぁん!!



 乾いた銃声が、樹海に響いた。







 
ミント「‥‥おはよう、ございます」

涼子「おはよう」

ティーナ「おはよう」

ミント「悪行さま‥‥ご存知ありませんか?」

ティーナ「うーん」

涼子「食前の運動しているわよ」

ティーナ「涼子さん、うまい事言われますね」

 朝露に濡れる草木。

 朝露が朝日にほのかな朱を映した。
紅い朝露だった、奇妙な事が起きていた。



 
 たくやと悪行の間に割って入った金髪の少女。

 悪行の銃は天を仰ぎ、
たくやの剣は先程よりも地面に刺さっていた。

 少女の靴からも血が滲んでいた。
たくやと悪行の首筋からも、血が滲んでいた。

 金髪の少女――真弥子の両手――ナイフが二人の首筋に当てられていた。



挿絵:天龍帝

 
 悪行が引鉄を引く時、
たくやは渾身の力で剣を大地から引き抜こうとした。

 そこに真弥子が飛び込んできた。

 悪行の体重だけでは支えきれなくなった剣は
悪行目掛けて大地を蹴ろうとしていた。

 その剣を真弥子は抑え付け、
同時に悪行の腕を天へ向かって押し上げた。
とても少女の力とは、行動とは思えない所業だった。

 ‥‥それ以前の問題だった。



 
たくや「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

真弥子「‥‥‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

真弥子「‥‥‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

真弥子「‥‥‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

真弥子「‥‥‥‥」

たくや「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

真弥子「いい加減に‥‥なさい」

 有馬たくやと悪行双麻両名の食前運動は終わった。
金髪の御堂真弥子の静止をもってして‥‥。



 
 朝食、その前に一波乱があった。
たくや、悪行、真弥子の状態を見たユーノとミントが大騒ぎをした。

 涼子はやれやれ‥‥と言った感じだった。

 ティーナは驚きはしたが、涼子になだめられていたので
平常通り、食事の準備に勤しんだ。



 
ミント「どういう事なのか‥‥」

ユーノ「説明してもらうからね!」

 目を吊り上げた二人を前にして、たくやと悪行は正座だった。
首に包帯を巻いている。説教の前に応急処置はしてもらった。
半ば強引に応急処置をされたと言っても過言では無かった。

 それを尻目に、真弥子は涼子とティーナに足の治療をしてもらっていた。
一部の好奇と共に‥‥。

ミント「悪行様っ!」

ユーノ「パぁぁパぁぁぁ!」

たくや「‥‥‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

 悪行は涼子に視線をやった。涼子はその視線に気付いたが
無視を決め込んだ。がっかりした。そこをミントに勘付かれた。

ミント「あぁぁぁぁぎょぉぉさまぁぁ!!」

双麻「‥‥っ」

 悪行は帽子を目深に被り直した。
それを見たミントは更に頬を膨らませた。

 そうなる事を知っていながら帽子を取り上げない所に
ミントの思い遣りがあった。

 条件反射的にそうしてしまう自分が嫌になった。
どうにもならない自分が居た。それが悪行双麻なのだと
自分自身が一番解かっていた。

 微妙に帽子をずらし、ミントの顔を覗き見る。
その視線が心に突き刺さる。哀しい視線だった。

 そして、悪行はいつもこう言ってしまうのだった。

双麻「‥‥すまん」

 そのやり取りには、必ず続きがあった。

ミント「‥‥はい、わかりました」

と――。



 
 たくやとユーノの問題も終止符を打つときが来た。
いつもの通り、たくやがおれるのだ。

たくや「ごめんなさい」

ユーノ「もう、パパったらぁ‥‥」

涼子「どうやら決着がついたようね」

ユーノ「うん♪」

ティーナ「丁度、準備が終わったところです、どうぞ」

涼子「らしいわね」

 最後の晩餐、もとい最後の朝食が始まる。



 
★「最後の晩餐、もとい最後の朝食」

 食事が終わり、たくやが真剣な面持ちで話し始めた。

たくや「あぁ‥‥今日は朝っぱらからな色々あった」

 悪行が帽子を目深に押さえつけた。

たくや「食事の間、その事に誰も突っ込まなかった事に感謝している」

 ユーノが楽にしていた足を正座に直した。

たくや「迷惑を掛けた、すまない」

 たくやは胡座をかいていた足を正座にただし、土下座をした。
一陣の風が地面に寄り添うたくやの髪を撫ぜた。

 頭を上げたたくやは、皆の顔を見た。
今までの中で一番の、真剣な眼差しだった。

たくや「もうみんな知らない仲ではないと思う。
    これを機に、昔話でもしてみないか」

 たくやは、皆の前にある物を差し出した。

たくや「今回のいざこざは、実はそれが原因だった」

 ティーナと涼子の視線が厳しくなる。
科学者としての、ジャーナリストとしての勘がそうさせた。

たくや「信用されていない内から、全てを語るのはどうかと思っていたからだ」

 悪行をみるたくや。

たくや「だが、悪行の探偵術の前では無力だったがな」

 悪行は軽く『ふん』と言った。

 
たくや「これはリフレクターデバイス。要は時空転移装置だ。

    物事には事象と言う物がある。
    過去に行ったらその事象が変わるのか。

    それを追い求めた男が居た。
    俺の親父、有馬広大だ。

    親父は‥‥別世界の人間と結婚して。俺が生まれた。
    そして、その女性は死んだ。

    親父は‥‥その女性と、再び巡り合う為だけに
    これを開発したと言っても過言ではない。
    過去に跳んで、歴史を変えたからと言って未来が変わるわけじゃない。
    未来を変えたと言う歴史が増えるだけだ。

    ここは、その歴史から外れた場所だと。俺は思っている。

    俺が前居た場所に戻るのは容易いものだ。
    だが、本当にそこが俺の場所なのか自信が無い。
    先ほど言った通り、俺が居たその場所なのか不明だからだ。

    前に居た場所だと思い込んだ歴史かもしれないからな。

    俺の居た場所はわけあって蒸発してしまっている。
    だから俺はココに居る。娘のユーノと共に」



 
ティーナ「私は‥‥ティーナ、記憶喪失で孤島に流れ着いた。

     私を助けてくれた人は『アルバート=マクドガル』
     父親みたいな‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥恋人みたいな、大切な人。

     実験炉の暴走に捲きこまれてアルと二人っきりの世界に住んでいた。
     そして、凍り付いた刻が動き出した時、私はココに居た。

     私は、同じ時間をグルグルと回り続けている。そう言う人間らしい。
     大それた実験を行い、世界の摂理を歪めた罰を受けているように」



 
真弥子「私は人間では無いらしいんです、ヒューマノイド、μ−101。

    エルディア共和国国王、
    彼に永遠の権力を獲得させる為に創られた存在らしい‥‥と。

    私はその個体を安定させるの為に創られた意識。
    今となっては国王の意識は希薄になっていますが。

    この髪が金色になった時、力が解放された証拠となります。
    後はたくやさんと双麻さんが知っての通りの、いわゆる馬鹿力が出ます。

    私は‥‥沈んでいく船と運命を共にしたはずだったのですが。

    今、ココに居ます」



 
双麻「二人とも、この女の子達こたちだって人間じゃないぞ。些細な事だ」

涼子「あのね‥‥」

ミント「私はメイ・ドロイドです」

双麻「こっちは幽霊だぞ」

涼子「双麻‥‥」

双麻「‥‥‥‥」

 悪行は帽子を目深に被り直した。

双麻「俺はしがない探偵だった、悪運を持っている事を除けば‥‥な。

   その悪運が俺をどんどんと悪の巣窟へと引き込んでいった。
   当然、虎穴に入らずんば虎子を得ずの通り。俺はただではすまなかった。

   悪の巣窟は潰したがその後はどうなったのか知らん。

   ただ、死ぬ前に吸わないと誓っていた煙草を咥えた記憶がある。
   ジャケットに忍ばせてあるお守り代わりだったタバコも消えている。

   目が覚めたら、ミントと涼子が俺にもたれかかって寝ていただけだ。
   俺がココに居る経緯はそんなところだ」



 
たくや「俺が住んでいた世界は、蒸発してしまったのでどうにもならん」



 そう語るたくやの瞳は哀しみに暮れ続けるだけの人間のソレではなかった。
優しさ‥‥決意、前向きな何かを連想させる視線を放っている。



たくや「だが、みんなの世界はまだそこにある、
    なんだかんだで世界から阻害されそうな連中だがな。
    それでも帰る場所がある、それは正直にうらやましい。



    望むのならば、元の世界へ送ってやるが‥‥どうする?」







 
たくや「みんな、行っちまったな」

ユーノ「淋しいね」

たくや「‥‥俺が居たら、俺だけが居たら幸せだったんじゃないのかい?」

ユーノ「もう、パパの意地悪ぅう」

たくや「すまんすまん」

ユーノ「‥‥また、逢えるかな」

たくや「‥‥会いに行くかい?」

ユーノ「今は‥‥いいの‥‥‥‥」

たくや「‥‥そうだな。それじゃぁ‥‥」

ユーノ「それじゃあ、なぁに?」

たくや「おやじ‥‥親父に会いに行くか?」

ユーノ「おや‥‥じ。それって、パパのパパ?」

たくや「‥‥ああ」

ユーノ「うん、行こう!」



 たくやはユーノを見つめた。



 ユーノもたくやを見つめた。



 事象から外れた場所。
俺の居場所はココだ、多分、死ぬまで‥‥。

 だが、ユーノの居場所はココじゃない。
ココには居てほしくない。孫の顔が見れないからな。

 今回みたいに、誰かが紛れ込んでくるのを待つしかないか。
それとも‥‥いろんな事象に関わるしかないのか。

 ‥‥まぁいい、とりあえず親父を捕まえてみよう。
いまだに一回も捕まえたこと無いんだがな。



たくや「ブリンダーの樹よ。俺の親父、有馬広大の居場所を示せ!!」

ユーノ「示せぇ!!」



 たくやとユーノの呼びかけにブリンダーの樹が、枝が、葉がザワメク。
たくやとユーノは樹の幹に融けた。



 
 全ての事象を記録‥‥記憶すると言われるブリンダーの樹。
今は主が無く、お留守番状態だ。



 辺りには何時もの雑音が無く、静寂に包まれていた。

 その留守番が終わる時、束の間の沈黙は破られる。
それはとても想像に易しい事だった。

 物言わぬブリンダーの樹は、
対象外の事象も見つめ続けている。

 そこに、有馬たくやが居るから、ユーノが居るから。

 
 暫しの休息。
 
 ブリンダーの樹は、一陣の突風に揺れた。
 
挿絵:天龍帝

 
錯綜事象の在るべき処
(順不同・敬称略)
 
描いて下さった人
    天龍帝
    http://la-lune.wk2.jp/


書いた人
    カルネアデス
    http://www20.big.or.jp/~karune/gate.htm
 
初版校正
    glock22
    http://www.geocities.co.jp/Playtown-Domino/9869/glock22/indexvg2.html


弐版校正
    nik
    http://www8.ocn.ne.jp/~n-g-v/
 
原作
    elf
    http://www.elf-game.co.jp/
      この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO

    C's ware
    http://www.csware.co.jp/
      DESIRE 背徳の螺旋
      EVE burst error

    dig ANIME
    http://www.digianime.co.jp/
      不確定世界の探偵紳士
 
参考配役
    この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO
      有馬たくや  / 檜山修之
      ユーノ    / 古山きみこ

    DESIRE 背徳の螺旋
      ティーナ   / 川上とも子

    EVE burst error
      御堂真弥子  / 岡本麻弥

    不確定世界の探偵紳士
      悪行双麻   / 子安武人
      ミント=御剣 / 桑島法子
      海御寺涼子  / 佐久間レイ
 
参考配役(特殊)
    DESIRE 背徳の螺旋
      アルバート=マクドガル  / 津久井教生

    EVE burst error
      天城小次郎        / 子安武人
      法条まりな        / 岩男潤子
                     三石琴乃
      プリシア=レム=クライム / 水谷優子
 
読んでくださった方々に、

世界の果てから、巫女の歌声が届きます様に。

 


あとがき

 はじめまして、こんばんは。カルネアデスです。

 この作品は何だか良く判りません。
書いた本人が言うのも何ですけどねぇ。

 書き始めは反応装置に捲きこまれたティーナが
事情は違いますけど、たくやとユーノが飛ばされた
世界の果てに行っていたらどうなるかと言うものでした。

 実際、デザイアの刻が止まった時から
現実に出てくるのに寄り道をしていたらと言う感じですし、
デザイアの完全版を遊んでしまったものとしましては、
書かなくては、避けては通れないものだと感じていました。

 内容的には良く判りませんねぇ。
ネタ的には良かったかもしれませんが
まとまっていないと思います。



 題名の方ですが見ての通りの漢文です。

 白文の方があっさりしていて良かったかなとも思わなくも無いですけど。
返り点つけましたし送り仮名もつけました。



 ティーナは反応炉に捲きこまれ、
時間が止まったデザイアで暮らした後。

 御堂真弥子はトリスタン号が沈んでから。

 悪行双麻はまぁ、ラストのあの後どうなったかと言う。
こいつの比率が一番でかいと思いますね。

 この世界に来た後、どうなるかは新作のお楽しみと言うことで。
卑怯ですけど。前者二人の例に習って‥‥と言うのが私の希望ですけどね。

 結局探偵紳士を遊んでしまったがために、
悪行双麻と御堂真弥子も巻き込んでしまったと言うところなのです。

 大元の脚本家が同じだから、
世界の理屈は同じと言うのも語弊ですけど、
4つの作品を混ぜてしまいました。

 意識だけになったらその場所だけが居場所では無いと思います。
どうなったのか分からない、行方不明の間何をしていたのか分からない。
それが今作の基盤になっていると思います。

 ‥‥うだうだ言ったら余計に何が言いたいのか判りませんが。



 御堂真弥子は深海に沈むときに、たくやが事象移動をした影響が海底に現れた。

 同じくして、悪行双麻の方は旧市街にその影響が出たために
海御寺涼子が出現したり奇跡を起こして誰かを救ったり、
不確定探偵の御三方をここへ呼び込んでしまった。

 とか言う理由付けも出来ますが意味をなさない事のように思いますね。



 初期プロットを見て頂きましたglock22さんには
『ぜひともエクソダスギルティーも!』 と言われてしまっていたのですが、
その当時はまだ遊んでいませんでしたので割愛させていただきました。

 今思えば、そう言われてしまうだけの構想だっただけに、
惜しい事をしたなぁと思うと同時に、もう一人(?)増えたら
キャラを動かしきれないという弊害も起こっていた事でしょう。
今の時点でも限界超えて書いているような気がしています。



 この時点でも構想を起てた時以上の事はしていません。
しない事を誇りとしていますので。

 このことを逸脱するときは追加ディスクと言う事で。



 後期プロットを見て頂きましたnikさんには
端から端までの穴を洗いざらい上げていただき大変感謝しております。

 まるで、うち自身が校正をかけた時のような結果が出てきて、
浮かれまくっていました。解っているのなら自分でやれという感じですけど、
今はもう、そんな実力が備わっていないのを痛感しておりますので。

 他人を知るには己を知ることです。
悔しいですけど、退く所は退かなければなりません。

 妙に読みやすくなっているところはご指摘を受けた所であります。多分。
また、馬鹿な企画を立てました暁にはよろしくおねがいいたします。



 最後に天龍帝様。

 投稿作品を誤送してしまってすみませんでした。
誤送分を本送分にしましたのでお納めください。

 この事象がこの作品が出来あがった根本でした。
誤りを、誤送投稿作品を事実にしたかっただけかもしれませんけどね。

 帝さんの描かれるものには何かしらの透明感を感じてしまいますので、
ユーノ、ティーナ、真弥子、ミント、涼子。

 彼女達の透明感を表現する事の出来る最適な人だと感じたはずなので、
たくや、ユーノ、ティーナの三人だけで完結するような
文章は書きたくないと思ったのです。纏め切れなかったようですけど。

 ありがとうございました。