2001/01/21 公開
2001/06/29 MIDI抹消
担当:カルネアデス
音楽:倫子


























雲の上まで遥か高く聳(そび)えるイルージアの山‥‥
その頂きには神殿があり、マナの樹が祭られている‥‥。

















































「そこを何とか頼む!」

「駄目だといったら駄目だ!」

「何故だ、お前達は闘いが見れれば‥‥なんだって良いんじゃないのか!?」

バン!

押し問答をしている片方が机に向かって拳を叩きつけた。

















































マナの樹は、宇宙の全ての力を感じ取り、
それをエネルギーにして自らを成長させるという。

















































「俺はそういうのはあまり好きじゃない‥‥だから何とかしてやりたい。」

「‥‥‥‥。」

「だが‥‥そういう決まりだ、すまん。」

「‥‥くそっ。」

















































マナの樹に纏(まつ)わる伝説には以下の事が言い伝えられている‥‥
その樹に触れた者は永遠の力を得る事が出来る‥‥と。

















































「なんだ? 騒々しいぞ。」

「‥‥‥‥!?」

罵声には罵声と言わんばかりの呼びかけに、その場に居た者の視線がその罵声に集中する。

















































殺戮(さつりく)と恐怖で世界の征服を企(たくら)む
グランス公国のシャドウナイトもマナの樹の力を狙っていた‥‥。

















































「シャドウナイトォォ!!」

ラジャはシャドウナイトを目前に確認した瞬間、全力で跳ねた。

ラジャの剣がシャドウナイトの頭部を捉えたかに見えたその刹那、
ラジャの身体にすざましい衝撃が走った。

「‥‥っ!?」

シャドウナイトに襲い掛かったはずの剣は見えない壁によってその往く手を阻まれた。

「‥‥はぁっ!」

シャドウナイトの横から飛び出してきた人影に吹っ飛ばされるラジャ。

















































「さあ闘え奴隷ども! シャドウナイト様に最高のショウを見せるのだ!」

















































「‥‥ぐっ!?」

ラジャは見えない力によってシャドウナイトから後退せざるをえなかった。

「ジュリアス‥‥?」

「シャドウナイト様に剣を向けるとは‥‥。」

ジュリアスが前に差し出す両手の掌に熱気が集まってくる‥‥。

















































ラジャはグランス公国の闘う奴隷として仕えていた。

















































「無礼者がぁぁぁ!!」

ジュリアスの魔術『ファイア』がラジャを襲う!!

ごおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉっ!!

「うおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

ラジャは楯でその炎から身を守る‥‥が、炎の勢いは凄まじく、
楯越しにラジャの身を焼かんばかりの威力を誇った。

ばしゃっ!

ラジャが炎に包まれるか否かの瞬間、ラジャに向けて水桶が投げ込まれた。
その水桶はジュリアスの炎を中和していく。

















































ラジャとその仲間達は、モンスターとの命懸けの闘いを毎日強(し)いられていた。

















































「‥‥こんな所で火遊びしないでくれないか?」

「‥‥う‥‥ウィリー‥‥。」

「ウィリー‥‥だったな、次で百連勝の。」

「誰かと思えばシャドウナイトさんにジュリアスさん‥‥こんなところに何の御用です?」

「‥‥ふ、通り掛ったらそやつが突っかかってきたのだよ。」

かちゃり‥‥。

ウィリーが腰の剣に手をかける。

「では俺の相手もして貰おう‥‥周りは雑魚ばかりでな‥‥
このままでは連勝街道をまっしぐらだ‥‥遊んでくれよ?」

「‥‥‥‥。」

ウィリーの一言によって、その空間は凍りついたと錯覚するような沈黙に支配された‥‥。

















































牢屋から出されては闘わされ、
勝つ事によって得られる僅(わず)かな食料でその日を生きる。

















































「‥‥よかろう、ジュリアス、手出しは無用!」

シャドウナイトがそう言って静寂を破った瞬間、無手でウィリーに向かって跳ねた。

ウィリーも剣は抜かずにシャドウナイトへ向かって一歩を踏み出す。

二人が交差する刹那、両手を組み合い、力比べを始めた。

「‥‥ぐっ。」

先に声を上げたのはウィリーだった、それも何か喉に詰まったような声を。

「‥‥どうした、その程度か?」

ソレに対してシャドウナイトは先ほどと変わらぬ口調で尋ねた。

「‥‥っ。」

その問いかけに答える余裕が無いと言わんばかりのウィリーは壁に向かって投げ飛ばされた。

どがっ!

「うおっ!?」

壁に叩き付けられたウィリーはそのまま壁にもたれかかってシャドウナイトを一瞥する‥‥が、
その目前にシャドウナイトの纏う兜から覗く瞳に見つめられていた。

そしてウィリーの視線は天井へと強引に移動させられる‥‥
シャドウナイトが左手でウィリーの首を押し上げる形になっているからだ、
ウィリーの足は地面を掴んでいないほど持ち上げられていた。

















































しかし‥‥

















































「これで終わりにしてやる‥‥。」

シャドウナイトがその一言を放った刹那、
時間が凍ったような感覚をこの闘いを見ていたものは感じたと言う。

シャドウナイトの右手が左腰に納められている剣の柄を握った刹那、
ウィリーの身体には無数の傷が浮かび、その傷からは赤い血潮が
重力に引かれ‥‥地面に真っ赤な花を開かせていた。

「遊びは終わり‥‥そういうことだ。」

シャドウナイトはウィリーを解放した。

ウィリーは足の裏、膝と順に付き、
前のめりに自らの血で染めあがった地面と接吻(せっぷん)を交わした。

















































しかし‥‥奴隷達は度(たび)重なる負傷と疲れの為、次々と倒れていった‥‥。

















































ファイナルファンタジー外伝

聖剣伝説

ジェマとマナと‥‥
















































to be continued ...


あとがき

こんにちは、カルネアデスです。

えー、なんか思っていたより長くなってしまいました、
プロローグに本編を混ぜると言うのが無理すぎたようです(冷汗)
これでも当初予定していたのより短くしてあるのですが‥‥ (^^;

丁度今年でGB版聖剣伝説(1)が発売されてから10年目と言う‥‥
全然気付かなかったのですが、どうやら小説とか出ていないらしいので
‥‥と言うよりそんな頃はゲームを小説にするなんて酔狂な事は、
何処もしていませんでした、あったと言えばゲームブック止まりでした。
魔界塔士 Sa・Ga のゲームブックは買いましたけど(笑)
‥‥閑話休題、そんなこんなで小説のほうを書こうかなと思った次第です。

攻略本も出ているらしいですが確か三冊ほどあった記憶が‥‥
別段興味は無かったので買っていませんでした、そんなこんなで
資料といえばゲーム本体のみと言う状態で書いています(笑)

かろうじて音楽CDは一枚だけ売っていたので
今年に入って買ったと言うところでしょうか‥‥久しぶりに
聖剣伝説をしたのは去年の12月‥‥9年間ほったらかしでした(笑)

お約束事項として、タイトルと主役の名前‥‥苦労しています、未だに考え中です(冷汗)
本当にこれでいいのか?‥‥と、これがあるから作品が進まないのですけど(笑)
タイトルの外伝がつくのは 「聖剣伝説 ファイナル〜」 なのか良く判らないのですが、
現在は上記の通りになっています。とりあえず主役の名前は‥‥なんでしたっけ?
ラジャ‥‥ですね、まあそんな所です。

あと倫子さんから御貸し頂いたMIDIを使用させていただきました。
ナデシコの方で使ってその余韻が残っているせいでしょうか、
MIDI付けたら次回はどうしようかなと言う思いに駆られてしまうのですが、
多分次回は無いでしょう、と言うか次回続くのでしょうか(冷汗)



Rising Sun

作曲:伊藤賢治

NTT出版/ポリスター - PSCN-5029_08
ファイナルファンタジー外伝 聖剣伝説 SOUND COLLECTIONS に収録されています。


MIDI 作成 倫子さん


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