……。 …………。 ………………。 ……………………。 懐かしい夢を見た、私が今ここに在る要因を。 私の背中には「裁きの門」がある、あの頃の尊厳はもう無いように見える、 だってぼろぼろになって今にも崩れ落ちてしまいそうなんですもの。 私はセレスティンに協力した、セレスティンとはかつて神に逆らった男性神族。 その罰を月面に投獄される事によって全(まっと)うしていたのだけれど、 私がその封印を解いて彼を解放したの……そして私は彼に協力した。 セレスティンのクーデターは特記事項に掛かっていたのだけど、 私はセレスティンと出逢った。 ふふふ……何故その特記事項であるセレスティンの事件を 私が知っていたのか……教えてあげるわ。 それはセレスティンが投獄される前に「特殊法術」を蒔(ま)いていたかららしいわよ。 同じくして神の意思に反する者の心に響く法術……あとはその法術が 最も色濃く蒔かれている場所――投獄される直前にも蒔き続けていたであろう月へ、 私は導かれて行った。 そして「裁きの門」をくぐり抜けた二人を見た。 女性の方はかつてセレスティンがクーデターの巻き添えにしてしまった神族。 男性は……私の愛した人と同じ人間種族……。 あの二人には正直言ってむっムッと来たわ。 私たちに無かった……いえ、私にはあるように思えて本当は無かった 「信じる心」が、傍(はた)からも感じてしまったから。 「お互いを信じあった二人」は手をつないだまま無事に「裁きの門」をくぐり抜けた。 そして私は何時の日にか、「裁きの門」に試される二人に、 あの二人がくぐった事実を語り継ごうと心に誓った。 何故そう思ったのか……それは、親族の驕(おご)りの象徴という噂が 噂でしかなかったから……いいえ、違うわね。 本当に信じあったあの二人に感動してしまったから……からかもしれない。 私とあの人と同じような道を進んで欲しくないからだったのかもしれない。 少なくとも私の目前で「くぐり抜ける事ができた二人」が存在(い)たと 言う事実を他の誰にも知らないままで居て欲しくなかった……からかもしれない。 私は一人でも大丈夫……「裁きの門」の前で誰かを待ちつづける。 例え悠久の時が過ぎ去ろうとしても私は……あの事を伝えたい。 それをあの人への謝罪の気持ち……と思っているのかもしれないけどね。 私は「裁きの門」に背中を預けている。 人間界に迷い込む前の様に何も無い刻(とき)が過ぎていくわ。 あの頃は本当に退屈だったけど……今は退屈とは思わないけど。 こうして時の流れに身を任せ、のんびりしているのも悪くない……とも思うわよ。 ……そして、私が待ちつづけた者達がやってくる時が来たわ。 |
あとがき こんにちは、カルネアデスです。 今回は早かったですねぇ……公開が(笑) 一応一通り出来上がりましたので今年中に行けそうです、 何でこんなに物語が広がってしまったのか未だに不明ですけど (^^; |
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