白鳥ユキナ「のど乾いちゃった、なんか買ってくるね。」 そらきた。 この科白は「2人っきりにして」というものだ。 僕が買い物に行くついでにハーリー君を連れ出さなくては。 こういう場合、そういうのが基本(?)なんだ。 アオイ・ジュン「僕が行くよ。」 それとなくハーリー君に目配せする。 ハーリー君はボーっと僕を見つめていたが、閃(ひらめ)いたように立ち上がった。 マキビ・ハリ「それじゃあ、僕も行ってきます。」 ジュンとハーリーは飲み物を買いに行った。 ルリとユキナはベンチに腰をかける。 白鳥ユキナ「楽しい?」 ホシノ・ルリ「ええ、とっても。誘ってくださって、ありがとうございます。 でも……よかったんですか? 私達がいて?」 白鳥ユキナ「そんなの気にしなくていいわよ。」 ホシノ・ルリ「……でも、さっきのジュンさん。」 白鳥ユキナ「ねぇ、やっぱり待っているの?」 その質問をかき消すように、いきなりきりだすユキナ。 ホシノ・ルリ「いきなり何ですか? ユキナさん。」 白鳥ユキナ「いきなりとか、そういうのはどーでもいの。 で、どうなの?」 ――――――――――――――沈黙 『やっぱり艦長になったからかな?』 こんな時に嫌なことを思い出してしまった。 でも……後には引けない!! ダメよユキナ。そんなに弱気じゃ…………。 私は木連の白鳥九十九の妹、一度 『こうなの!』 と決めたことは、 必ず成し遂げるのよ! お兄ちゃんだって絶対にそう思うハズよ!! 中途半端が一番いけないんだから!!! 現在、彼女は自己暗示(?)をかけている。 ある意味、木連の人は自己暗示が特技だと思われるがちなのは、 これのためだろう。 (木連では 『ゲキ・ガンガー』 というアニメが聖典になっているため) 白鳥ユキナ「…………。」 ホシノ・ルリ「え?」 ユキナの方に向きなおすルリ。 白鳥ユキナ「もう一回言うわ。ハーリー君のこと、どう思ってるの?」 ホシノ・ルリ「……私と同じような境遇だからでしょうか……弟みたいなものです……ハーリー君は……。」 『やっぱりね』 というような表情(かお)をするユキナ。 ベンチにおもいっきりもたれて、伸びをするユキナ。 白鳥ユキナ「ほんっと、ナデシコクルーって 『バカ』 ばっかりよねぇ……。」 ハルカ・ミナト「はいは〜い、そこまでそこまで……あんたも 『バカ』 の一人でしょ?」 声は正面から聞こえた。 ユキナがベンチにもたれかかっていた隙に接近したようだ。 ホシノ・ルリ「ミナトさん……。」 白鳥ユキナ「みっ、ミナトお姉ちゃん!?」 いきなり、ユキナの右手をつかむミナト。 ハルカ・ミナト「悪いわね、ルリルリ。 ちょっとこの娘(こ)借りるわ!」 白鳥ユキナ「いや! はなしてよ!」 強制連行(?)されるユキナ。 白鳥ユキナ「何でこんなところにいるのよ!」 ハルカ・ミナト「あんたが変な事しないように見張ってたのよ!」 じと目になるユキナ 。 白鳥ユキナ「ミナトさんに、のぞき趣味あったなんて……うるうる……。」 呆気(あっけ)にとられたルリ。 その前に作業服を来た男がやってくる。 その容姿からしてこの遊園地の従業員らしい。 帽子を深くかぶっているうえにサングラスまでしているので、顔は識別でき無い。 従業員「すいません。 ここ空いてますか?」 ホシノ・ルリ「え? あっ……はいどうぞ……。」 従業員「これはすいません。 よいしょっと……。」 ホシノ・ルリ「…………。」 従業員「…………。」 不意に従業員がルリに話し掛ける。 従業員「今日は楽しいですか?」 帽子を脱ぐ従業員。 ホシノ・ルリ「え!? あっ……貴方は……。」 従業員「お久しぶり、ルリちゃん。」 そこには、記憶喪失の姿があった。 |
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