【解法】Forcing Chain(マス/列/ブロック)

 Forcing Chain はチェーンを利用した解法ですが、内容は多岐に渡ります。
 このページでは、マス・列・ブロックから始まる Forcing Chain を解説します。
 この解法を理解するためには、強いリンク/弱いリンクを理解している必要があります。
 もし Alternate Inference Chain を理解していれば、このページの理解は容易いでしょう。
 (難易度:★★★★★)

1.Forcing Chain とは何ぞや?

 Forcing Chain はチェーンをたどっていくことで結論を得る解法です。
 もう少し具体的に言うとこんな感じ。

複数あるチェーンをそれぞれたどると、結果が複数得られる。
それらを総合すると、とある結論に至った。

 結論のパターンが多岐に渡るので、ボリュームはたっぷり!
 ただ、チェーンが複数必要になるため、非常に面倒を強いられるという……。
 面白い解法なんだけれど、実戦ではまず使わない。
 ちょい悲しい🥺

 スタート地点に応じて Forcing Chain は何種類かに分かれます。
 当サイトでは、3種類を紹介します。

  1. 候補数字からスタートする Forcing Chain。
  2. マスからスタートする Forcing Chain。
  3. 列やブロックからスタートする Forcing Chain。

 このページでは、ii. と iii. を解説していきます。
 i. については、Forcing Chain(候補数字)をご覧ください。

 さて、ii. iii. の Forcing Chain ですが、こういう論理展開の仕方をします。

 やっぱり文字だけだとピンとこない😅
 そこで、いくつか例を挙げて解説していきます。
 ii. はセクションで、iii. はセクションで解説します。

2.マスから始まる Forcing Chain

 まずは、マスからスタートするパターンです。
 手順はこんな感じ。

  1. あるマスには候補数字が複数あり、そのすべてからチェーンが出ている。
  2. そのチェーンをそれぞれたどると複数の結果を得た。
  3. それらを総合すると1つの結論に至った。

 少し具体的な例をいくつか紹介しましょう。
 バリエーションが豊富だもんで、簡単な例だけ。
 図2-1・図2-2 で4つ紹介します。

図 2-1

 まずはパターン1。
 マスAには3と9しか候補数字がなく、両者ともマスBの候補数字4とチェーンで結ばれているとしましょう。
 A=3ならチェーンを伝ってマスBに4が入る。
 A=9でもチェーンを伝ってマスBに4が入る。
 マスAに入る数字にかからわず、マスBに数字4が確定するわけですね。

 次はパターン2。
 マスAには候補数字が3つ。そのどれもがマスBの候補数字5とチェーンで結ばれています。
 A=3ならチェーンを伝ってマスBには5は入らない。
 A=4でも同様に5は入らない。A=9でも同様。
 この場合、マスBから候補数字5を除去できます。

 パターン2のように、候補数字が3個以上あってもOKです。
 その場合でも原理はまったく変わりません。
 すべての候補数字からチェーンが出ていれば、同じ理屈が通用します。

 他にはこんなパターンもあったりします。

図 2-2

 パターン3。
 マスAには候補数字は3と9のみ。それぞれマスBの候補数字1, 7とチェーンで結ばれています。
 A=3ならマスBに1が入る、A=9ならマスBに7が入る。
 この場合、1, 7以外の候補数字をマスBから除去できます。

 最後、パターン4。
 マスAの候補数字2個から列Rへ向かうチェーンが2本。
 A=3ならマスBに4が入り、A=9ならマスCに4が入る。
 この場合、列RではB, C以外のマスに数字4は入りません。

 他にもバリエーションは山ほどありますが、全部挙げるのはやめておきます。
 全部挙げようもんなら私が発狂しちゃう😅
 このページでは、パターン1とパターン3を解説していこうと思います。

2-1.どっちでも同じさ!

 では、解説していきましょう!
 以降、図の中には赤い矢印青い矢印がありますが、それぞれ 強いリンク弱いリンク を表します。

図 2-3

 図2-3、マスAを見てみましょう。
 マスAには候補数字が2個ありますが、両者からチェーンが出ていますね。
 候補数字1からのチェーンは、左にフェイントしてからの「¬」。
 候補数字7からのチェーンは「レ」。

 この2本のチェーン、どちらもマスBの候補数字6が終点です。
 つまり、マスAの候補数字1, 7はマスBの候補数字6とチェーンで結ばれています。

 マスAに入り得る数字は1と7だけですが、チェーンを伝ってそれぞれどういう結果が待っているのか。
 図2-4〜図2-5 で個別に見ていくことにしましょう。

図 2-4

 まず、マスAに数字1が入る場合。
 A=1だと仮定して、フェイントかまされるチェーンをたどってみましょう。

  1. (仮定)マスAに1が入る。
  2. 弱いリンク により、マスPに1は入らない。
  3. 強いリンク により、マスPに6が入る。
  4. 弱いリンク により、マスQに6は入らない。
  5. 強いリンク により、マスBに6が入る。

 マスBに数字6が入る。
 まずはこういう結果になりましたね。

図 2-5

 次は、マスAに数字7が入る場合。
 A=7だと仮定して、「レ」の通りチェーンを歩いてみましょう。

  1. (仮定)マスAに7が入る。
  2. 弱いリンク により、マスPに7は入らない。
  3. 強いリンク により、マスQに7が入る。
  4. 弱いリンク により、マスQに6は入らない。
  5. 強いリンク により、マスBに6が入る。

 マスBに数字6が入る。
 あら、同じ結果だ!
 この場合もマスBに数字6が入るんですね。

図 2-6

 マスAに1が入るか7が入るか、どちらかが成り立ちますね。
 1が入る場合、必ずマスBに6が入る。
 7が入る場合、必ずマスBに6が入る。
 なんと、どっちにしてもマスBに6が入っちゃう!

 というわけで、結論はこうなりました。

  • マスBに数字6が確定する。

2-2.候補数字が一気に消える!

図 2-7

 図2-7 を見てみましょう。
 マスAには候補数字が2個だけありますが、その両方からチェーンがのびています。
 右方向へ向かうチェーン、下から回り込むチェーン。

 このチェーン、2本ともマスBにたどり着きます。
 一方はマスBの候補数字6とつながり、もう一方は候補数字7とつながっていますね。
 2マスA, Bはチェーンで二重につながっている状態です。

 マスAに数字2, 4のどちらかが必ず入ることを踏まえて、この2本のチェーンをたどってみましょう。
 それぞれどういう結果になるんだろうか。
 図2-8〜図2-9 で探ってみましょう。

図 2-8

 まず、マスAに数字2が入る場合。
 A=2だと仮定して、クイックイッと直角に歩いていきます。

  1. (仮定)マスAに2が入る。
  2. 弱いリンク により、マスPに2は入らない。
  3. 強いリンク により、マスQに2が入る。
  4. 弱いリンク により、マスQに7は入らない。
  5. 強いリンク により、マスBに7が入る。

 マスBに数字7が入る。
 1つめの結果はこうなりました。

図 2-9

 次は、マスAに数字4が入る場合。
 A=4だと仮定して、クイッと直角にステップ踏んでみます。

  1. (仮定)マスAに4が入る。
  2. 弱いリンク により、マスPに4は入らない。
  3. 強いリンク により、マスPに6が入る。
  4. 弱いリンク により、マスQに6は入らない。
  5. 強いリンク により、マスBに6が入る。

 マスBに数字6が入る。
 これが2つめの結果です。

図 2-10

 マスAに2が入るか4が入るか、どちらかが成り立ちます。
 2が入る場合、必ずマスBに7が入る。
 4が入る場合、必ずマスBに6が入る。
 なんと、数字6, 7しかマスBに入る可能性がなくなってしまった!

 というわけで、結論はこうなりました。

  • 6, 7以外の候補数字をマスBから除去できる。

3.列やブロックから始まる Forcing Chain

 次は、列やブロックからスタートするパターンです。
 手順はこんな感じ。

  1. ある列やブロックには同じ候補数字を持つマスが複数あり、その候補数字すべてからチェーンが出ている。
  2. そのチェーンをそれぞれたどると複数の結果を得た。
  3. それらを総合すると1つの結論に至った。

 具体的なパターンをいくつか紹介しましょう。
 バリエーションがあまりに豊富なので、簡単なパターンだけ。
 図3-1・図3-2 で4つ紹介します。

図 3-1

 まずはパターン1。
 列RではマスA, Bにしか候補数字5がなく、両者ともマスCの候補数字4とチェーンで結ばれているとしましょう。
 A=5なら、チェーンを伝ってマスCに4が入る。
 B=5でも、チェーンを伝ってマスCに4が入る。
 どちらにしても、マスCに数字4が確定します。

 パターン2。
 列RではマスA, Bにのみ候補数字8があり、両者ともマスCの候補数字4とチェーンでつながっています。
 A=8なら、マスCに4は入らない。
 B=8でも、マスCに4は入らない。
 この場合、マスCから候補数字4を除去できます。

 この2つは最も基本的な形。
 他にはこんなパターンもあったりします。

図 3-2

 パターン3。
 列Rでは2マスA, Bにのみ候補数字8があり、それぞれマスCの候補数字2, 7とチェーンで結ばれています。
 A=8ならマスCに2が入る、B=8ならマスCに7が入る。
 この場合、2, 7以外の候補数字をマスCから除去できます。

 最後はパターン4。
 ブロックXからYへ向けてチェーンが3本。
 ブロックXでは3マスA〜Cにしか候補数字6はなく、その3マスからそれぞれマスD〜Fへ向かってチェーンが出ています。
 A=6なら、マスDに4が入る。
 B=6なら、マスEに4が入る。
 C=6なら、マスFに4が入る。
 この場合、ブロックYではD〜F以外のマスに数字4は入りません。

 パターン4のように、候補数字が3個以上あってもOKです。
 その場合でも原理はまったく変わりません。
 すべての候補数字からチェーンが出ていれば、同じ理屈が通用します。

 いや〜、バリエーションが豊富!
 他にもまだまだありますが省略します。マジで山ほどあるんで、さすがに勘弁してください😅
 このページでは、パターン2とパターン4を解説していきます。

3-1.どっちでも同じさ!・パート2

図 3-3

 図3-1、まずは青色タテ列を見てみましょう。
 数字6は2マスA, Bにしか入りません。
 そして、その2マスの候補数字6からチェーンがのびていますね。

 2本ともマスCの候補数字6が終点です。
 2マスA, BはどちらもマスCとチェーンでつながっている状態です。

 チェーンは2本とも弱いリンクで始まっていますね。
 「マスA, Bに6が入る」と仮定して話を進め、それぞれ結果を導いてみましょう。

図 3-4

 まず、マスAに数字6が入る場合。
 A=6だと仮定して、「√」みたいなチェーンをたどってみます。

  1. (仮定)マスAに6が入る。
  2. 弱いリンク により、マスPに6は入らない。
  3. 強いリンク により、マスQに6が入る。
  4. 弱いリンク により、マスCに6は入らない。

 マスCに数字6は入らない。
 この結果をちょっと覚えておきましょう。

図 3-5

 次は、マスBに数字6が入る場合。
 B=6だと仮定して、カクカクッとチェーンをたどってみます。

  1. (仮定)マスBに6が入る。
  2. 弱いリンク により、マスPに6は入らない。
  3. 強いリンク により、マスPに7が入る。
  4. 弱いリンク により、マスQに7は入らない。
  5. 強いリンク により、マスCに7が入る。
  6. 弱いリンク により、マスCに6は入らない。

 マスCに数字6は入らない。
 おおっと、同じ結果だ!
 この場合もC≠6なんですね。

図 3-6

 2マスA, Bのどちらかに必ず数字6が入ります。
 しかし、どちらであろうとも「マスCに数字6は入らない」という結果になった。

 というわけで、次の結論が得られるんです。

  • マスCから候補数字6を除去できる。

3-2.列やブロックに影響が!

図 3-7

 図3-7、まずは青色ヨコ列を見てみましょう。
 数字3は3マスA〜Cにしか入りません。
 そして、3マスとも候補数字3からチェーンが出ています。

 3本のチェーンはピンク色ブロックに向かってのびています。
 そして、どれも候補数字9が終点です。
 青色列の候補数字3はどれもピンク色ブロックの候補数字9とつながっている状態です。

 チェーンは3本とも弱いリンクで始まっていますね。
 「マスA〜Cに候補数字3が入る」と仮定して話を進めていきます。結果をそれぞれ洗い出してみましょう。
 図3-8〜図3-10 で個別に見ていきます。

 ……なんだかもぅ、リンクだらけでゴッチャゴチャ😅
 わけわかんない図でホントごめんなさ〜い😅

図 3-8

 まずは、マスAから。

  1. (仮定)マスAに3が入る。
  2. 弱いリンク により、マスAに4は入らない。
  3. 強いリンク により、マスPに4が入る。
  4. 弱いリンク により、マスPに9は入らない。
  5. 強いリンク により、マスEに9が入る。

 マスEに数字9が入る。
 まずは1つめの結果が出ましたね。

図 3-9

 次は、マスBです。

  1. (仮定)マスBに3が入る。
  2. 弱いリンク により、マスPに3は入らない。
  3. 強いリンク により、マスQに3が入る。
  4. 弱いリンク により、マスQに9は入らない。
  5. 強いリンク により、マスEに9が入る。

 マスEに数字9が入る。
 あら、同じ結果だ。
 この場合も「マスEに数字9が入る」でした。

図 3-10

 最後に、マスCはどうでしょう?

  1. (仮定)マスCに3が入る。
  2. 弱いリンク により、マスCに1は入らない。
  3. 強いリンク により、マスPに1が入る。
  4. 弱いリンク により、マスDに1は入らない。
  5. 強いリンク により、マスDに9が入る。

 マスDに数字9が入る。
 今度はこういう結果になりました。

図 3-11

 3マスA〜Cのどれかに必ず数字3が入ります。
 A=3なら、マスEに9が入る。
 B=3なら、マスEに9が入る。
 C=3なら、マスDに9が入る。
 ということは、2マスD, Eのどちらかに必ず数字9が入ることが言えるわけですね。

 しかも、DもEもピンク色ブロックに属してましたっけ。
 じゃぁ、こういう結論になる!

  • ピンク色ブロックにおいて、D, E以外のマスから候補数字9を除去できる。

 この解説を読んで「すっげぇメンドくせぇ」と思った方々、間違いなく正常です。
 チェーンは何本も作らなきゃならず、どのチェーンも必ず弱いリンクで始めて強いリンクで終わらせないといけない。さらに、チェーンの始点も終点も1列や1ブロックに収めなきゃいけません。
 それでいて、そんな膨大な労力に見合った効果は……スズメの涙🥺

 Webページ Unit Forcing Chains によると、管理人さんは解法 Dual Unit Forcing Chain を使ったナンプレを何問か知っているらしく、こんな表現をしてました。

I do know of some Dual Unit Forcing Chains but they are part of such nightmarish puzzles I don't want to use them for examples.(出典:『Unit Forcing Chains』)

 「悪夢のようなパズル」ですって!
 同感です😅

 でも、そんな nightmare を一度は打ち破ってみたいもんです。
 ラスボスを倒した勇者のような達成感があるかもね!

参考・参照

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