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いつだったかなぁ。
不意に電話が来たんですよ。
世界文化社のOさんから電話。
何だろう?
いつもは、世界文化社からは電話が来ることはほとんどないのに。
過去の6月頃に電話が来た記憶もないし、はてさて、いったい何だろうと思って話を聞いてみると……。
WPCに同行しませんか? という内容だった。
いやぁ、とうとう来たか。
海外参戦。
今年で 14回目となるこの大会。過去に行ってきた作家先生方も多い中、オレもその一員に加わることになるのか。
世界パズル選手権。
毎年行われるパズルの早解き大会。
略して「WPC」と呼ばれています(WPC=World Puzzle Championship)。
日本は毎年出場しています。8月初旬に行われる『全日本パズル選手権』での上位4名が選手となって。
その選手4人とスタッフ数人が開催地へ行くんですね。
年によって開催地が変わってて、今年はハンガリーのエゲル市が舞台。
その舞台で、選手達はしのぎを削る戦いをしてくるわけです。
そして、その選手団の中にパズル作家が1人加わる。
総勢8人くらいになるんですね。
同行する作家の決め方はどうなってるのかは知らないけれど、だいたい毎年違う人だし2回行った人はごく少ないから、まぁ持ち回りみたいなものなんだろうか。
もしそうだとすれば、そのうちいつかはオレもWPCを体験してくることになるのだろう。そうは思っていた。
ただ、オレとデビューの近いパズル作家さんに PUZZY・野島洋一・今井洋輔の3先生がいて、お三方ともWPCを経験済みということもあってか、オレも早く行きたいなぁという気持ちはあった。
そのチャンスが今年来た。
イギリスをはじめ、最近では世界で“SUDOKU”が流行っている。
たくさんのオリジナルパズルを考案し、それをインターネット上で披露しているサイト達。
定期的に問題を更新し、どれだけ解けたかを世界レベルでランキングをつくっているサイト達。
英語で書かれたパズル問題文を翻訳して日本人でも楽しめるようにお手伝いしている方達。
ペンシルパズルというものが世界に広まっている。
やっぱりパズル作家たるもの、世界というものをこの目で見てみたい。
世界の猛者どもを目の当たりにしてみたい。
それが今年かなうことになるんです。
SUDOKU とは、ナンバープレースのこと。
ペンシルパズルの老舗・ニコリではナンバープレースのことを“数独”と呼んでいるためか、その名前が海外に輸出された模様。
ちなみに、数独は「数字は独身に限る」の略で、ニコリが商標登録している名前です。
たしかに、1〜9の数字を入れるのだから、独身に限ってますね。
数日の間を置いて先方から電話がかかってくることにはなっていたけれど、お願いされた時点でオレの心はすでに決まってた。
開催までの4ヶ月間、心待ちの日々が続くのであった。
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上の方で「パズルが世界に広まっている」と書いたけれど、実は、日本が発祥だというわけではないんですね。
勉強がてら、チョロっと調べてみました。
ただ、パズル考古学なんてモノがあるわけもなし、文献は数多くありません。異説もあるようで、キッチリ正確には調べきれず。
ごめんなさいね。
間違いがあったら、適宜訂正していきます。
【クロスワード】
1913年12月21日にアメリカの新聞紙に掲載されたというのが始まりのようです。
イギリス人のアーサー・ウインという編集者が考案し、当時は「ワード・クロス」と呼ばれていた模様。
これには異説もあるらしいんだけれど、日本でも12月21日に「クロスワードの日」が制定されていることから、E坂的には上記が正しい起源かなと。
英語のクロスワードでは、タテのカギを“down”、ヨコのカギを“across”で表します。
【サムクロス】
アメリカのデル社刊の書物に掲載された「クロス・サム」をパズルの老舗・ニコリが紹介したというのが始まりのよう。
Cross Sum を意訳して「加算クロス」、略して「カックロ」になった。
他誌では「サム・クロス」と言葉順が逆になってるけれど、「日本人的な感覚として逆の方が言葉の座りがいい、ということでサムクロスにした」という話を聞いたことがあります。
たしかに、ナンバークロス、ツメクロスみたいに「なんとかクロス」って名前が多いですもんね。
【ジグソーパズル】
1760年頃にイギリスの地図職人・スピルズベリーが地理の教育目的として考案したのが始まりだと言われています。
国境で切断されたピースを組み合わせることによって、各国の位置などを手で覚えさせる。
jigsaw = のこぎり ということから、世界初のジグソーパズルは木でできていたのでしょうね。
【ナンバープレース】
起源は数学に通じています。
“ケーニヒスベルグの橋”で知られる数学者・オイラーが考案した「ラテン方陣」というモノがあって、それが始まりのようなんですね。
ちなみに、ラテン方陣とは、魔方陣の一種です。
図で言えばタテ・ヨコの各列に1〜9の数字が1個ずつ入っています。当然、タテ・ヨコ各列ともに合計は同じ。
こういうモノがラテン方陣です。
これに「3×3ブロックにも1〜9の数字が入る」というルールをつけ加えれば、ナンプレのできあがり。そんな感じ。
ラテン方陣は9×9に限りません。たとえば、7×7でもOK。その場合はタテ・ヨコ各列に1〜7の数字が入ることになります。
(本当は1から始まる数字でなくてもいいんだけど、話が長くなるので割愛)
もっと調べたら、いろんなパズルの起源が書けそうです。
つまり、もともと、パズルはワールドワイドだったというわけですね。
そういうパズルが日本にも伝わり、全国に広まり、日本からも「お絵かきロジック(イラストロジック)」などの新パズルを輸出したりして、お互いに同じパズルを共有している。
インターネット環境も全世界レベルで整っている今、パズルに国境はない。今はそういう時代なんですね。
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9月某日。
WPCまであと1ヵ月に迫った、ある日。
一通のメール。
世界文化社のMさんから。
WPC期間中のスケジュールが添付されてきた。
仕事の合間にチョロっと読んでみる。
とあることに気づく。
! !
ふ、2日半 !?
スケジュールは 10/7 から 10/14 まで。
10/7:ブダペストへ移動&宿泊。
10/8:エゲルへ移動。
10/9:開催前の全選手団が参加する合同観光ツアー。
10/10
10/11
10/12
10/13〜14:帰国。
……とまぁ、こうなっている。
そして、残りの 10/10〜12。
ぜ〜んぶ、パズル!
なんと、10日と 11日は朝から晩まで、12日は昼までパズルをやるのだそう!
毎年毎年、5年ほど日本のパズル選手権を見たせいか、「WPCは一日でやる」という先入観が少しあったのかもしれない。
「ずいぶんまた長ぇなぁ」と思ってしまって。
添付ファイルの文書には「朝から夕方はどっぷりパズルに挑戦していただきます」と書かれてあった。
朝から晩。8月の日本選手権よりも長い一日。
しかも、それの2倍半 ! !
ホントにどっぷりだ。
しかし、これだけではなかった。
自宅出発まで1週間にさし迫った、ある日。
もう一通のメールが。
開いてみる。
WPCにてUNチームでご参加いただけることとなりました。
直前のご連絡で、余裕がない・・・と思わ(以下略)
最初、メール文面の意味がまったくわからなかった。
何だ?
何だ、UNチームって。
E坂さん、見知らぬ言葉が文面に現れたとき、文脈などからなんとかその言葉の意味を模索・解釈しようとするクセがあるんですね。
このときも、頭をフル回転。
しかし、おバカなことに UN → ユナイテッド → United States → オレ、アメリカチームに入るのか? と凄まじいナナメ45度まっしぐら。
日本国籍の人間がアメリカチームに入れるわきゃねーだろ!!
それからずっと、UNチームの意味がわからない。
わからないままずっと日が過ぎていき、WPC関連のサイトを見て理解したのが出発前日。
そういや、なんで「ユナイテッド」を辞書で調べなかったんだろ?? 調べりゃ一発じゃん。
WPCに出場する選手達には、3つのタイプがあるんですね。
【Aチーム】 各国のメインの選手達。公式扱い。
【Bチーム】 選手人数の多い国におけるサブの選手達。非公式扱い。
【UNチーム】国で区別されない連合チーム。選手が4人に満たない国などで結集する。
この3タイプ。どれも4人一組です。
8月の日本パズル選手権での上位4名の方々は、日本のAチームとして参戦することになるわけですね。
WPCでは、個人戦のほかに国別チーム戦もある。
選手各自で高得点を目指すのはもちろん、国として好成績を収めるということも目標になってくるわけです。
なんか、オリンピックみたいやね。
んで、E坂さんは、このうちのUNチームに入ることになったという次第。
本来、作家は選手ではないため、WPC出場はできません。
でも、そこは世界文化社の編集の方々の計らいで、準選手みたいな形で参加OKにしてくれたわけですね。
“5人目の選手”としてE坂さんは戦うことになったんです。
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10月7日。
いよいよ出発当日。
期待と不安を胸に、E坂もるむが世界へはばたくのです!
ただし、1週間だけ(笑)
そういや、成田空港なんて何年ぶりだろう。
韓国へ行って以来だ。
成田空港が東京都ではなく千葉県にあることさえスッカリ忘れてた。
6年もの歳月のなせる技ですかなぁ。
E坂さん、海外は2度目。
そして、1週間の滞在は今回がはじめて。
そのため、一生かけても縁がないであろうスーツケースというモノをはじめて買った。まさか、空港や駅ホームでゴロゴロ転がして運ぶことになるとは思いもしなかった。
1週間。長い1週間。
集団での滞在とはいえ、英語も知らず世界をまたにかけることもないであろう人間が異国の地で1週間も暮らせるのかどうか。
チョットした買い物をするにも、日本語以外の語学が勝負となるのだ。
ハンガリー語はおろか、英語も満足にわからない人間で果たして勝負になるのか。
不安にさらに追い打ちをかけられる。
朝9時半。成田空港。
重い荷物をガラガラ携えて、E坂登場。
とりあえず、この日は移動日。
飛行機内の 12時間のヒマつぶしはドえらいキツかった。
一応、機内にはテレビとイヤホンはあったけど、洋画に洋楽。
映画も音楽も嗜まないE坂さんにとっては娯楽にならない。
持参の文庫本でなんとか時間をつぶしてました。
あ、機内食は結構ウマかった。
あと、トイレのドアの“VACANT”と“OCCUPIED”の意味がわかった(しょーもなっ)。
ハンガリー、ブダペスト。
今、飛行機のタラップを降り、異国のアスファルトを踏む。
E坂もるむ、2度目の海外の地。
空港ターミナル。入国審査。
現地の審査官の「アリガト。サヨナラ」という言葉に不意を突かれて戸惑いながら入国を終える。
両替所で未知の紙幣と硬貨を手にし、空港の外。
そして、ガタガタ揺れるバスに乗る。
右側通行。アルファベットで書かれた看板。電柱ひとつない街並み。日本の無機質なのとは違い、趣のある建物。
バス内の窓を通して、次から次へと未視の世界が目に飛び込んでくる。
もぅここは外国なんだ。
これから1週間、オレはこの世界の中で過ごすんだ。
次に来る機会はないかもしれない。まるで水を吸収するスポンジであるかのように、自分の目は夜の街に注ぎ、異国の風景を脳裏に植えつけていた。
現地時間、夜11時半。
ブダペストのホテルで体を休める。
ハンガリーと日本の時差は7時間だから、日本時間では朝の6時半に着いたことになるのかな。(通常の時差は8時間。サマータイムだったので7時間)
昼12時から翌朝6時半。
短針が 540°も回るほどの長い長い空の移動がようやく終わった。
明日も移動。バスで目的地のエゲルへ向かう。
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10月8日。朝。
ブダペストからバスで東へ2時間半、WPCの開催地であるエゲル市へ移動する日。
エゲルへは夕方に出発するということで、それまで“王宮の丘”という観光地を見て回ってきました。
泊まったホテルは川沿いで、王宮の丘はその川を挟んで向かい側。
“くさり橋”と呼ばれる橋を渡って、目指す丘へ。
丘。
やはり、“西洋”だった。
ヨーロッパといえば、たとえばルネサンス。
ゴシック。
バロック。
ロココ。
世界史の教科書を開けば必ず目にするこれらのカタカナ。
「西洋」と聞けば日本人が誰しも思い浮かぶであろう諸々の芸術や建築物。
道は石畳。壁は石壁。
王宮の丘に立った今、日本では見られない西洋文化の切れ端が 360°に渡ってE坂さんの周りを包んでました。
王宮の丘を後にし、ヴェレシュマルティ広場でランチ。
そのあと 30〜40分ほどの自由時間を経て、いよいよエゲルへ動く。
広場をブラッと歩いたあとホテルに戻り、エゲル行きのバスを待った。
バス到着。
十数人程度が乗れる小型のバス。
座席に座って窓を見た瞬間、驚いた。
うおっ、窓が曇っとる!
最初は結露かと思ったんですね。
ところが、拭いても曇りが取れない。ていうか、汚れが外側についてる。さながら理科室の古いビーカーのように白い汚れがこびりついてしまってるんです。
日本では見たことのない この状況。バスの窓ガラスひとつで「あぁ、やっぱりここは外国なんだ」と実感するハメになろうとは!
実は、エゲルに行く前にE坂さんは難事業をやってきました。
それは、……英語使って買い物をしたこと。
お土産に買いたいモノがあったんですね。
ところが、それはショーケースに入ってたため、どうしても店員さんに購買意思表示をする必要があった。
しかし、英語がダメなことはおろか、日本語でさえしゃべりに自信のないE坂さん。ショーケースをジッと見続けつつ買うか買うまいか迷っているフリをすること数十分。
何度“Can I help you ?”と言ってほしいと思ったか。
なんとかアイコンタクトという形で店員さんを呼ぶのに成功して、指差して「ジス」の一言で目的ブツを買ってきました。
ショーケースを見ている最中、他の客の口から平気で英語が流れてくるのを聞いて「オレも英語がしゃべれたらなぁ」なんて思ってた。
ブダペストを離れて3時間。
エゲル。
着いた場所は“ホテル・エゲル&パーク”。
入口の上に第14回WPCのシンボルマークが掲げられている。
つまり、ここが開催場所となり、ここで世界の猛者達が集まり、寝泊まりし、しのぎを削る戦いをする。
ホテルに着いた日本選手団。
2階の受付らしきところへ行ってきました。
そこでもらったのがシャツ2枚とWPCシンボルマークのついた肩掛けバッグ。
中を見ると、なんだか いろいろ入ってる。
日程表、インストラクションブック(出題パズルの内容や例題が載っている冊子)、タントリックス、そして首かけ型の名札、去年のWPCパンフレット、エゲル市内の観光マップ。
シャツのサイズを訊かれたときにどう答えたらいいかわからんもんで、右へならえで“same size”と答えたら ちょっぴりデカいシャツが来てしもぅた。
これって、「エス」とか「エム」って言っても相手に通じたんだろうか??
通じるんならMって答えときゃよかった。
夜、開会式。
ハンガリーの舞踊(らしきもの)、2人の女性歌手による歌。
ハンガリーの食を堪能しつつ、2日後に迫る本番への期待をふくらませていく。
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10月9日。
今日は全選手団による合同観光の日。
大型バスに揺られ揺られて出発。
ちなみに、窓は無事に曇ってませんでした(笑)
写真撮影のあと、ホース・ショーと呼ばれるショーを観賞。
文字通り、馬を使った曲芸です。
数種類の芸を見たんだけれど、一番面白かったのは子供達との芸。
まるでレミングのように並んでポーズをとったりするのがかわいくて。
馬に3人も乗って逆立ちしたり、さまざまな芸を披露してくれました。
そういや、2頭立ての馬車でドリフトかましたりもしてた!
さながらラリー車のよう。
ホース・ショーが終わったあとは、これ →
列車ですね。
これに乗って、とある草原へ行くんです。
何? 座席が無いじゃんって??
← これ。
全員が荷物扱い(笑)
トラックの荷台をつなげたみたいな車輌に全員乗って、緑に囲まれつつ颯爽と駆け抜けたんです。
青空列車。ハンガリーの風が顔中に当たる。
気持ちエェですなぁ〜。
こういった列車なんて、おそらく日本にはないんじゃないかなぁ。屋根なし列車のある観光地なんてあったっけか。
草原。
ここでは何をしたかというと、棒を2本渡されました。
一方には魚。もう一方には豚の脂肪が刺さっている。
なんですか? コレ。
話を聞くと、どうやら、自分で魚を焼けという。
熱した炭が敷いてある上で魚を温めつつ、脂肪を熱であぶる。
すると、脂肪から熱い油が滴ってくる。それを魚にかける。
これを延々繰り返す。
傍らにはサンプルであるかのように魚を焼いてるガイジンさんがいて、その人を見よう見まねで魚あぶりにチャレンジしたわけです。
棒を片手ずつ持たんとならんので、棒を右手に左手にと最初は持ち方に悪戦苦闘。
しかも、火を魚につけるなという。あくまで熱した油をかけるんだと。
ドえらい時間かかんねか??
魚に滴らせ滴らせて 30分。
しかも、魚がこれまたデカくて重くってねぇ〜〜〜。
ハンガリーに来てわざわざテコの原理を実感してきましたよ。腕が疲れてもぅた。
焼いたあとは、皿にのせられサラダもついて、おいしくいただきました。
ただ、日本人に魚ときたら、やっぱり箸がほしい……。
フォークだと食べづらいね。骨もロクに取れんし。
そういや、その食事の最中、不思議な光景が。
ピュッ!
ピュッ!
ピュッ!
男の人が細くて長いモノを持って、なんか液体を出してるんです。
先っちょを握りしめて指で触っている。
しかも、モノのデカさがデカさなだけに、非常に気になるわけです。
根元にはボール状のモノまであるし。
なんと、やたらデカいピペットみたいなモノを持ってる人がウロウロしてるんですね。
そして、そのピペットには色つきの液体が入っている。
んで、近くのテーブルを見てみると、驚くような出来事が。
なんと、テーブルの上の ちっちゃいグラスに向かって、うま〜い角度でワインが勢いよくピューッと出てるんです。
先端を塞いでいた指をチョットずらしてワインを流す。
すると、グラスめがけて液体が半放物線を描き出す。
おぉ、すげぇ!
最初は遠くのテーブルで繰り広げられた光景がE坂さんたちのテーブルにもやってきて、そのピュー芸を間近で見たときは さらに感服してしまった。
さらに、ワイングラスでは飽きたらず、口に直接! なんていう始末。
口に向かってキレイに走る放物線。
口に入れられた本人は どんな心境なんだろう?? 液体が直接口にやってくるんだもんな。
オレも口に入れてもらいたかったけれど、ワインが好きじゃないので断念。
あぁオレも酒好きだったらなぁなんて、チョットだけ思った。
誰かジュースで やってくんねぇかな。
草原から帰ると、今度はガイドさんが付いての観光。
大聖堂に始まり、そこからドボー・イシュトバーン広場、エゲル城までの街並み。そしてエゲル城内。
写真はエゲル大聖堂です。
要所要所でガイドさんが説明をしながら回ってきました。
ただ……。
ガイドがすべて英語。
何言ってるか全っ然わがりゃしねぇ!!
まぁ、でもいいさ。耳ではわからんでも目があるさ。ブダペストと同じで石壁に石畳の外観に“西洋”を感じました。
ホント、360°グルッとこんな雰囲気なの! ↓
日本でいえば、時代劇に出てくる城下町のような雰囲気に相当するのかもしれないですね。
ホテル近辺の街並みはこんな感じ ↓
画像だとつぶれちゃってるけど、道路はレンガ敷きのような形です。
日本ではアスファルトや鉄筋コンクリが当たり前だけど、今はその当たり前じゃない光景ばかりが目に入ってくる。
立ちっぱなし+歩きっぱなしで足が痛くなったけど、新鮮な光景というモノはいいですね。
遠出が好きなE坂さんだし、身近にない刺激というのはイイもんです。
もっと時間があれば、もっと街に出向いてみたいのぅ〜。
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パズルというモノは、やっぱりワールドワイドですね。
日本には世界文化社をはじめとする数々の出版社からパズル雑誌が出ているけれど、当然、それは日本だけに限らない。
数年前に韓国へ行ったときにパズル雑誌を見つけたんだけれど、同様に世界のあちこちでパズル雑誌というモノが出回っているわけです。
WPCという場において、どうやら各国の選手団が自国のパズル雑誌を持ってきてたみたいなんですね。
どうです! これだけの数!
大会期間中、いろんな国からひとまとまりのパズル雑誌が提供されたんですね。
もちろん何百冊も持ってくるわけにゃぁイカンから、数十冊ほど。
しかし、パズル好きな面々が 150人もいる。
当然、みんな欲しがる。
バーゲン会場と化すんです。
WPC会場前のロビーが戦場になる!
大のオトナが押し合いへし合い。飢えたハイエナのようにパズル雑誌に向かってのびてくる何本もの腕。
落ち着けお前らッ!
お前ら、知的なパズラーだろッ!!(笑)
撒かれた雑誌が数秒で消え去る。
撒かれては消え、撒かれては消え。
E坂さんもその戦場にチョイ巻き込まれながら、パズルとは別の闘いをしてきました。
戦利品の数々が上の写真です。
実は、ハンガリーへ行く前「ハンガリーのパズル雑誌を何冊か買っていきたいなぁ」とは思っていたんです。
やっぱりアタシゃぁ作家だもんで。
頻繁に外国へ行くわけではない人間にとって、海外のパズル雑誌はなんせ貴重なシロモノ。
しかし、ハンガリーどころか世界各国のパズル雑誌を手に入れてしまうことになろうとは。
思わぬ収穫でした。
← 収穫した雑誌の中には、こんなモノも。
パズル雑誌のハズなのに、なぜ色っぺぇオネーチャンが!?
しかもハ○カ!?
なんだかもぅ、E坂さん、ビックリしましてね。
あくまで期待しないで(?)中身をパラパラッと見たけど、ごくごく普通のクロスワード誌でした。
なぁんだ、つまんねぇ。(つまんねぇじゃねぇだろ)
あ、そうそう。
一応言っておきますが、E坂さんはオネーチャンにつられて この雑誌を取ったわけじゃぁありません。
断言しておきます。
だって、日本人の女の子じゃなきゃヤだ!(ヤだじゃねぇだろ!)
なにやら、以前、日本からもパズル雑誌を持っていったところ、大盛況だったらしいとか。
毎年毎年、即席バーゲンは繰り広げられてきたのかもしれないなぁ。
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10月10日。
WPC・1日目。
いよいよ、本番の始まりです。
その前に、ホテルの入口で写真撮影。
まずは、各国の選手団の写真を撮る。
朝の8時9時、朝日がまぶしい中で選手達は肩を組み合ったりしていた。
参加国が多いから全チームの写真を撮るのに時間はかかってたけど、あらためて各国の選手達を見てると面白かった。
なんせ、何十ヵ国もの人々が一堂に会している。
日本以外の人種をナマで見た経験なんて皆無に等しいE坂さん。顔も肌も髪も違う人種が同じ地球上に住んでいるのかと思うと不思議な気持ちになる。
各国の写真のあと、最後に全選手の集合写真を撮った。
「日本は背低いから前へ来い!」と主催にドヤされながらも(笑)、だいたい上の画像のような感じで全員が並んで何枚か撮影。
もちろん、撮影の最中は誰もああなるとは思わなかったに違いない。
この集合写真、実は、後で驚くことに使われたんです……。
それはさておき。
E坂さん、WPC参加をする際、ひとつ決めていたことがありました。
それは、
何も予習をしない、ということ。
つまり、初見でどこまでいけるかガンバってみようと。
パズルというモノに関して、E坂さん自身は「紅茶やコーヒー片手にのんびり解くのがいい」という気持ちがあるんですね。
趣味や遊びは楽しんでナンボ。
それをWPCの場で自ら実践してきたいなとは思ってた。
もちろん、大会なのだから優勝を取りにいく姿勢も大事ではある。前日の合同観光の最中にもパズル誌を手放さないほど、選手の方々は真剣だったしね。
ただ、オレはひとり、自分の気持ちを初心者に戻すことに決めていた。
インストラクションブックをチョロっと覗いて各パズルの内容を確認しただけで、大会前はペンを一切持ちませんでした。
WPCという大きな場で、趣味のごとく のんびり解く。
WPCの広く大きな会場が、まるでオレの自室になる。
なんともスケールでけぇなぁ。
さぁ、いよいよ会場入り。
世界のパズルに触れる2日間が始まる。
見よ。この並みいる猛者達を!
世界各国からやってきた、総勢約 153人。
これだけいたら、オレは何位くらいになるんだろうなぁ。
上位に行ければ嬉しいけれど、百ナンボだったら……いや、予習はしないって決めたんだもんな。
さて、これから始まるという そのとき、E坂さん、ある重大なことに気がついた。
なんと、消しゴムを忘れた。
E坂さん、道具をキッチリ準備するという習慣がありません。
当然、筆記用具入れなんていうモノは持ってないんですね。普段使わんから。
一応「書くモンだけは忘れずに!」とシャープペンシルとサインペンをハダカで持ってきてたんです。
しかし、ツメが甘かった。
そうだ。パズルっちゅうのは書いて消して解くものなんだ。
いやはや、出かけるときは決まって何かひとつ忘れる。どこへ行ってもE坂さんはワキが甘いらしい。
幸い、持参のシャープペンシルの頭に ちっちゃい消しゴムがついてたので、それでなんとかしました。
PART 1。
WPCの幕開け。
エゲル市開催ということからか、PART 1 は題して“エゲル・グランプリ”。
“EGER”を使ったパズルが 10種類ほど出題されました。
E→G→E→R と文字をたどってゴールに行くパズル。
“EGER”の4文字を含むように4つの同形同大のブロックに分割するパズル。
戦艦の代わりに“EGER”を並べるバトルシップ。
割と簡単めの問題が多かったけれど、やっぱり 10種類 16問を 30分で解くのはムリ! 絶対ムリ!!
できるところをできるだけ、という精神で解いてました。
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PART 4。
スケジュール変更のため、PART 3 と 4 を入れ替えて PART 4 を先に行うことになった。
“エヴァー・グリーン”と名づけられたこのラウンドは、パズル5問を 30分で解くというもの。
ボンバーパズル、ウォールロジック、ぬりかべ。
あと、ループをつくるパズルとテント設営パズル。
前者3つは、まぁよく知られているパズルですね。
ループパズルは難しいモノではないし、テントは『ナンプレファン』に載ってたかな。
つまり、まぁなんてことないパズルのラウンドなわけです。
インストラクションブックを見ても、右の画像のような簡単な例題しか載ってない。
ところが!
実際、そのラウンドが始まる前。
各席に渡されたのは、ふくらみのある1枚のA4封筒だった。
最初は何だろなこれと思った。でも、ちょっとピンときてた。
でまぁ、主催による多少の問題説明のあと、いざ開始時間になって封筒からブツを出したんです。
そしたら……、
← こんなん出てきよった。
やっぱりか!
6面に描かれ、キューブ型につくられたパズル達。
封筒のふくらみから薄々予想はついていたけど、あらためて これには驚いた。そして、同時に感心したんです。
そうか、3次元という手があったのか!!
チョット数学の話になるんだけれど、2次元から3次元になると話が複雑になるんです。
たとえば、2次元(=平面)上の2直線の位置関係は「平行」「交差」の2種類しかないけれど、3次元(=立体空間)になると平行でも交差でもない「ねじれの位置」なんて新しい位置関係が生まれてくる。
ほかには、立体図形や体積の概念が3次元で新たに定義される。
正多面体の話も3次元ではじめてなされますね。
さらに言うと、4次元の世界では“クラインの壺”が存在するし、アインシュタインで有名な“一般相対性理論”も4次元世界で繰り広げられる。
我々の棲む3次元にはあり得ない世界が4次元にはある。
一般に、次元が増えると話が複雑になっていき、考察量や勉強量も増えてくる。
でも、裏を返せば、それだけ面白さが増えてくるとも言える。
実際、キューブパズルは面白かったんです。
ひとつの面だけを見ても絶対に解けない。隣の面との兼ね合いに注意しながらキューブをあっちこっち回して線を引いたりしなきゃいけない。
ウォールロジックでは、面の端を越えて線が途中で折れ曲がるために、ひとつの数字から出た2本の線が途中で平行になったりした。
2次元では起こり得ないことが3次元では平気で起こる。
今までにはない解き方の感覚。これが体験できたのは、E坂的には大きな収穫でした。
これ、いろんなパズルに応用できる!
ただ、字を書くパズルには向かないのが難点かなぁ。「6」と「9」が区別つかんようになるし。
上の画像からもわかるように、ボンバーパズルとウォールロジック内のヒント数字はドミノの目で書かれてます。
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E坂さん、WPCの最中、ひとつ不安がありました。
前に、E坂さんはUNチームとして参加すると書きました。
そのUNとは“United Nation”のこと。連合国という意味なんですね。
つまり、E坂さんは日本以外の選手達とチームを組んで戦うことになる。
しかし、どうも見ていると、他の国の人たちは英語が達者なんですね。
アメリカやヨーロッパなどにとどまらず、どこにあるかも知らん国の人々まで流暢に英語をしゃべる。
そういや、前日の合同観光のとき、インドの選手たちに英語で話しかけられたときはビックリした。
やはり“世界の公用語”たる英語。皆さんキッチリ対応できているんですなぁ。
逆に言えば、英語力に関して日本はひどく遅れている。
当然、E坂さんも その例外にあらず。
さらにいうと、英検3級を平気で落とせるほど しゃべりがダメなんです。試験官が何を言ってるのかサッパリわがんねぇわがんねぇ。
WPCは PART 1〜12 もある。
となれば、当然、チーム戦方式のラウンドもあるわけで。
実際、PART 3 がもぅチーム戦なんです。
午後1発目で、UNチームのE坂さんは外国人3人の中に放り込まれるわけです。
オレと同じ組になった人の国は、エストニア、エストニア、ベラルーシ。
その3人が仲良く話せている中で、E坂さんはまるでカヤの外。
E坂さんはただただ黙っておりました。
そらそうだ。日本語がダメならオレに何語をしゃべれというんだ!!
軽くアイサツを交わして(いくらオレでも“Hello”くらいは言えるからなーッ!)何回かは話しかけてくれたものの、ホント、何言ってるのかわかりゃしないので話が通じない。
いやもぅホント、オレも英語が話せたらなぁって心底思った。
このときほど日本の英語教育のレベルを恨んだことはなかった(笑)。
PART 3 はタントリックスを使ったパズル。
タントリックスとは何かというと、六角形のピースをうまく並べて同色のループやラインをつくって遊ぶオモチャです。
10枚一組の“パズル用”と 56枚一組の“ゲーム用”の2種類があって、1人でも多人数でも遊べるスグレモノ。
いろんな国で数々の賞賛を受けているそうで、昔のルービックキューブみたいに超有名な知的オモチャになっているようですね。
オフィシャルサイトも存在するので、興味があれば行ってみるもよし。
左の画像は、WPCで使用するためのタントリックス。
ラインの色が赤・白・緑なのは……もしかしてハンガリーの国旗っちゅうことか !?
PART 3 では、そのタントリックス本来の遊び方を使ったパズルでした。
一部の空欄を手持ちのピースで埋めて、違う色のラインがつながらない図にする。
完成したら、配置されたピースの番号を書く。
各ピースの裏側に番号が書いてあって、使うピースは番号1から順に枚数分。
4枚使う易問から始まって、9枚の難問まで全8問。
これを4人が分担して解いていくんです。
会話はダメなE坂さんだけど、パズル自体はくっちゃべりながら解くわけじゃない。
開始時間がきてからは普通にやれました。
ただ、E坂さん、試行錯誤型のパズルというのは実は苦手なんです。
なんせ、直観がちっとも働かん!
しかも、数学好きだけあって、理詰めのパズルの方が好き。
だもんで、チームにたいした貢献ができなかった……。
易問2問を解いて終わってしもぅた。
チーム戦は3回あったんだけれど、ベラルーシの人がチョイ気さくな感じの人で。
オレがうまいこと解けたときに“Good Job!”と言わんばかりに親指を立ててくれたのが救いだったかなぁ。
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PART 6。
1日目、最後のラウンド。
“スパイダーウェブ”と名づけられたこのパズル。
円を等分割した扇形のピースを円形に並べて、線がグルグル巻きになるようにするというモノです。
名前の通り、クモの巣を連想させますよね。
例題では、6等分されたピースが並んで2重のグルグル巻きをつくっている。
例題を見ると、どうも簡単そうに見えるでしょ?
← ところが、実際に出てきたのはコレ。
多すぎだッ!!
出てきたのは中心角 22.5°という、なんとも細いピース。
16枚!
そして、各ピースからわかるように、スパイダーウェブは7重ものグルグル巻きの様子。
しかも、赤色と緑色の2色ある(画像ではチョットわかりにくいかな)。
これ、各番号の表と裏に違う柄が描かれているんです。表は緑色、裏は赤色で。
表と裏のうち、片方は実はフェイク。なので、各ピースのフェイクじゃない方をうまくつなぎ合わせてスパイダーウェブをつくらなきゃいけない。
んもぅ、あまりにもピースの数が多いので、「これ、裏表も含めて並べ方は何通りあるんだろう?」と思って あらためてチョロっと計算してみたんですね。
そしたら、なんと、85699747381248000 通り(15!×216通り)なんてバケモノみたいな数が出やがった!
チョットわかりにくいから、4ケタごとに区切ってみますよ。
8,5699,7473,8124,8000 通り。
8京超えとるぞオイ!!
つまり、やみくもに並べたら8京5700兆分の1の確率で正解にたどりつくわけです。
これ、ジャンボ宝くじの1等を2回連続で当てる確率の方が 857倍も高い!
もちろん、実際には線のつなぎ具合も考えなきゃいけないから、8京5700兆よりもグッと少なくなります。でも、それでも気の遠くなる数に違いない。
仮に、少なく少なく少なく超絶少なく見積もって 1000通りまでに減ったとしても、制限時間 30分で答えが見つかる方がおかしいわいッ!
一応、申し出ることでヒントをもらえたようなんだけれど、ヒントをもらった人でも解けたのは たったの4人。
日本選手は誰も申し出なかったせいもあって、そろって0点。
ムズいって。
後になって解答を見たんだけれど、結構キレイな形してました。裏表裏表……って並ぶ感じで。
聞くところによると、「答えはキレイな形になりますよ」みたいなのがヒントだったらしい。
画像からわかる通り、両端の8個の点のうち線が描かれていないのは1個だけ。
なので、各ピースごとに その端点の位置を数値化して同じ数字同士をつなぎ合わせる、という方法に帰着させることができる。
他の選手は当然それをやってましたね。E坂さんも同じことを考えたけど、メンドウだからやめた。
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さて、1日目も終わり。
部屋でのんびりくつろぐとき。
生まれてこのかた 32年、海外の食というものをロクに体験したことのないE坂さん。
そんな人間でもハンガリー食に慣れちゃうもんなんですなぁ。
やっぱり日本産とハンガリー産では質が違うんだけど、でも、米は米だし、パンはパン、野菜は野菜。
どこぞの料理みたいにバッタやイナゴは出てこないのです。
だから、異国の食といえど味が多少違うだけ。
日本のホテルのビュッフェなんかでも同じのが出てそうな食事ばかりなんです。
よく、外国に長く滞在すると日本食が恋しくなるなんて話をよく聞くけれど、ことE坂さんにいたっては まったくそれを感じなかった。
少食だけど、何の苦もなく食ってたなぁ。
ただ、何を食うにもナイフとフォークだから食べづらい。
だから、アタシゃぁ日本食じゃなくて“箸”が恋しかった(笑)
そういや、ブダペストのホテルの朝食にミソ汁が出てきたときはビックリしましたよ。
部屋のテレビをつけると、サッカーやら何やら映ってた。
あらま、ビリヤードの試合中継なんてのもやってるんですか!
日本ではまず中継されないビリヤード。ちょいと見ることにしましてね。
何をやってるのかな。なんか球が多いな。ナインボールじゃぁないな。
エイトボール? いや、それにしちゃぁ同じ色がやたら多いな。
ブレイクショットがやけに静かだぞ??
どうも見てると、日本で一般的なゲームをやっているようではないんですね。球には番号が書いてないし、なんだか台上に 20個くらい球があってにぎやかなんです。
んで、ゲームを見てると、赤いのを入れては他の色を入れてというふうに交互に球を入れてるような感じ。
そして、その都度、ある決まった得点が入っている。
もちろん、日本語で放送されているわけじゃないので、画面からしか情報は伝わらない。でも、中継やCMを見ているうちに「これ、Snooker というゲームで、ルールはこんな感じなのかな?」と推測できたので、自宅へ帰ってからネット検索してみたんです。
名前もスヌーカーで正解、ルールもだいたい正解でした。
パズルに関して、特に外国語で書かれた数理系パズルに関して、もうひとつの隠れた面白さがあるんです。
それは、ルール当て。
例題と答えだけを見て、何をするパズルなのかを推測する。
普通はルールを読んで例題を見て納得する。だけど、逆に例題を見てルールを推測してみようというわけです。
これがまた、地味に面白いんですね。
例題の図からどれだけの情報が読み取れるか。そして、それらの情報からどういう法則性を見出せるか。
目と頭を存分に働かせて探っていく。
そこにパズル的要素がある。
といっても、あんまりルールがややこしいパズルはそうそうないので、簡単に推測できる場合が多いです。
だから、What's Next パズルや あるなしクイズみたいな軽いパズルと言えそうですね。
もし、外国産の未知のパズルを見かけたなら、ルール当てをやってみることもオススメします。
いつもの 1.2倍くらい楽しめます。
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10月11日。
WPC・2日目。
いよいよ後半戦。
PART 7。
だいたいのラウンドは制限時間 30分なんだけれど、このラウンドは制限時間 60分だったんです。
朝イチから ちょいヘヴィなラウンドなんですね。
ただ、“クラシックス”というタイトルで、アルコネやらマジックスクエアなど定番系のパズルも多かった。
慣れがある分、気楽に解けた。
このラウンドでは、気に入ったパズルがありました。
“サーモメーター”というパズル。
まんま「温度計」ですね。
ルールは見て推測できると思います。外周の数字は各列の塗るマス数を表す。そして、温度計らしく塗りは必ず根元から始まる。
この「根元から塗る」というのが面白い要素ですね。
お絵かきロジックみたいに各マスの塗る/塗らないを確定させていく方針でいくんだけど、ひとつのマスが決まると それが温度計の根元か先端にまで影響していくのが面白い。
根元が塗られないとわかったら、その温度計自体が塗られないことが確定するしね。
理系人間だということもあってか、温度計パズルに妙に親近感を覚えてしまって。
このパズルは小問2問あったんだけれど、制限時間ギリギリで2問とも完答できたときはちょいと爽快感があった。
E坂さんも1問つくってみました。
よければどうぞ〜。
温度計の性質をふんだんに使うような問題じゃなくて、あんまり良問になってないけれど。
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PART 9 と PART 10 の間の休憩時間。
日本選手の人たちと話をしていたところ、急にガイジンさんがやってきた。
誰かと思ったら……あらま、オレと同じチームのエストニアの人ではないですか!
彼は名刺を差し出して何やらオレに話しかけてくる。
もちろん、オレは何を言われているのかサッパリわからない。
でも、なにやら渡し物をしようとしていることは読み取れた。
なので、ありがたくいただいてきました。
ただ、拙さ満点の「サンキュー」と声をかけるのが精一杯だった。
やっぱり、こういうのって嬉しくなるもんなんですなぁ。
でも、逆に英語ができない身分で申し訳なくも感じてくる。
チョロっとお礼やら気の利いた一言でも言って、自然に握手でもできたら相手にとっても自分にとってもイイ思い出になってただろうなぁ。
エストニアの彼からもらった物は、名刺、パズル誌、そして赤いTシャツ。
実を言うと、E坂さんという人は「金で買えない稀少なモノ」に大きな価値を置く人間なんですね。
特に、「オレひとりしか持っていない」という事実に莫大な価値を置く。
値段はどうでもいい。
どんなに高価であっても、買えてしまうモノには さほど価値を見いださない。
逆に、そこらへんにあるモノであっても、手作りだったり人からもらったモノには価値を置いてしまうんです。
この名刺とパズル誌と赤シャツ、日本では ただオレひとりしか持っていないと思う。
もちろん、これらは世界に1つしかないってぇわけじゃない。彼の周りにはゴマンとあるハズ。
でも、オレにとっては気軽に手に入れられるシロモノではないんです。
そういうモノを手にできた。この事実だけでお腹イッパイになれる。
実は、PART 10 はチーム戦のラウンド。
だから、そのシャツを着てビックリさせてやれという話になった。
んで、実際、トイレで赤シャツに着替えたんです。
ところが、PART 10 はチーム戦でありながら4人が別々に離れてパズルを解くという形式だった。
もちろん、エストニアの彼はオレの姿を知らんだろう。
なんだもぅ。おもっきし空振ったじゃねーか〜〜〜ッ!!
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PART 10。
チーム戦のラウンド。
上でも書いたように、もらった赤シャツを着て驚かせようとしたらチームの各人が別々に座らされた。
イキな計らいのつもりが、おもっきしスカされてもぅた。
あああ。
で、このラウンドはというと、2段階あるんですね。
まずは“ダーツ”、次に“迷路”。
最初にダーツパズルを解いて、解けた人が迷路パズルに進んで解く。そういう方式でした。
んで、開始時間になって各人がダーツパズルを始めたわけです。
問題用紙を見てビックリした。
3問あったんだけど、3問目を見てウヘェ〜となってしまった。
ダーツパズルとは、「枠内の数字をいくつか合計して規定の数値にしなさい」というパズルです。
数字をダーツ的の形に配置して、足す数字の個数を矢の本数に見立てているわけですね。
ちなみに、右図は「数字を2つ選んで合計 100にしてね」というダーツパズル。答えは「85+15=100」です。
一応、ダーツパズルでは「同じ数字に2回以上刺さらない」「矢は必ず数字に刺さる」の2つを前提とすることが多いようです。
んで、通常は矢は2〜3本です。多くて4本。
このパズルって、要はただの“数探しパズル”なんです。攻略法というモノがない。そのため、矢数が多いとただ計算がメンドウなだけのパズルになってしまうんですね。
ところが。
WPCでは、そのメンドウなのが出やがった。
なんと、矢5本で合計 555にしろという。
先に書いたウヘェ〜な3問目というのがこれなんです。
ただ、その前の2問は「矢3本で合計 333」「矢4本で合計 444」という問題だったから、キレイっちゃぁキレイだったんだけれど。
一応、先のスパイダーウェブみたいに何通りかを数えてみたんです。
選択肢 17個のうち5個を選ぶ方法は何通りあるのか。
17C5 = |
17・16・15・14・13 5・4・3・2・1 |
= 6188 |
うはぁ〜〜〜、6188通りかい!
先の8京5700兆からすればショボい数だけど、これだってなかなかのもんだ。
だって、ひとつひとつ計算確認するのに30秒かかるとしたら、最高で 3094分。約 51時間半。
2日ちょいかかるんだもん! WPC終わっちゃうよぅ!
まぁ、この 6188通りの中には明らかに合計 555を超えるものもあるから実際にはもっと少なく見積もっていいけれど、それでもシラミ潰しをするには多すぎる数になるだろう。
ホント、ダーツって「ひたすら探す」しか攻略法がないんです。
せいぜい、アタリをつけるくらいしかアタシゃぁ知りません。
たとえば、上の 555問題だと、「400みたいなデカい数は使わんだろ」とハナから除外しておく、みたいな。
とはいっても、配置する数字なんて出題者がいかようにも決められるから、そのアタリの裏をかいているのかもしれない。
アタリは所詮アタリ。
結局は、着実にシラミ潰しをするか、運を天にまかせてテキトーに数字5つ選ぶか、どうしても試行錯誤を延々とやることになる。
そんなの楽しいと思う人っているのかなぁ。
あんまり数字や矢を多くしてもしょうがないように思うけど、どうなんでしょうね。
さすがに、数字17個に矢5本は多すぎ。ナンボ筆算やったかわからんもん。
えっ?
ダーツの次の迷路は、って??
ダーツが解けなかったので知りまへ〜ん(泣)
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PART 11。
制限時間 100分という、一番ヘヴィなラウンド。
当然、本格的なパズルが目白押しというわけで、一番楽しめるラウンドであります。
なんせ、パズルの種類が 19もある!
どこから解き始めればいいんだか、迷ってしまう。
このラウンドでは、気に入ったパズルがひとつありました。
これ。
日本語では“倍数サムクロス”とでも訳せばいいんだろうか。倍数というものを扱った数字クロスです。
ルールは難しくありません。
倍数になるようにすればいいんです。
たとえば、26の右に書いてあるのは「52」ですよね。
そして、19の下に書いてあるのは「57」。
つまり、ヒント数字の右や下に書かれる ひとつながりの数値は、そのヒント数字の倍数になっているんです。
倍数関係を満たすようにマスに1文字を入れ、最上位ケタに0を置かないようにマスを埋めていく。
このパズル、実はかなり本格的です。
倍数がヒントになるだけあって、倍数に関する知識がないとドえらい手こずるんです。
たとえば、「ある整数が4の倍数であるかどうかの真偽は、下2ケタだけを見ればわかる」というのは知ってますか?(下2ケタが4の倍数であれば、その整数は4の倍数になる)
あるいは、「ある整数が9の倍数であるかどうかの真偽は、各ケタの数字を合計すればわかる」というのはどうですか?(合計が9の倍数であれば、その整数は9の倍数になる)
一応、2の倍数〜12の倍数であるかどうかの判定法はすでに発見されています。
ただ、数学好きでない限り、全部覚えている人なんて そうそういないでしょうね。
このパズル、そういう知識がないと実に解きにくいんです。
だからこそ、E坂さんの数学魂に火がついてしまったのかもしれない。
E坂さん、パズル面を見たときに やる気が湧いてきちゃいましてね。
小問3問あって、まぁ3問目まではいかないにしても2問は解きたいなと思った。
その2問とは右の画像です。
5ケタもある時点で萎えかけもしたけど、根性で完答!
点数をしっかりいただきました。
しかしねぇ……。
5ケタあって 11111の倍数ってぇのはまだ許す。
候補は9つしかない。
でも、5ケタで 18の倍数って何じゃ!
3ケタで2の倍数って何じゃー!!
んなもん、いくつあると思ってんだーッ!(笑)
んもぅ、E坂さん、小学生の算数ドリルばりに筆算をやりまくってましたよ。
「2468」や「95」なんて何回書いたかわからんッ。
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さて、2日目最後。
PART 12。
なんと、チーム戦。ガイジンの中に放り込まれるのだ。
はぁぁ〜〜〜、気が重い。
PART 12 はジグソーパズル。
与えられたピースを使って1枚の写真をつくる、というモノ。
ただ、要らないピースも混ざっているらしい。
ふくらんだ袋が各テーブルに渡される。
パズル開始。一斉に袋から全ピースをバラバラ出す。
と、そのとき。
E坂さんは驚いた。
何に驚いたのか。それは、ジグソーの絵柄にだった。
まぁ、選手権のジグソーパズルとして使うのだから、結構ゴチャゴチャした写真なんだろうとは思ってた。
しかし、まさかそうくるとは思わなかった!
前日、PART 1 が始まる前の朝に写真を撮った。
日本選手は最前列に来させられ、朝日がまぶしい中で3〜4枚ほど撮られた選手達。
E坂さん、おそらくハンガリーの新聞あたりに記事として写真が載るんだろうなぁ〜くらいにしか思ってなかった。
まさか、自分達の顔や体が写ったジグソーを自分達で並べることになろうとは!
しかしまぁ、よく考えると、写真を撮ったそのあとすぐ裏方さん達はジグソー用に加工していたということだよなぁ。
しかも、何十セットも。
外注なんだろうけれど、急ぎでこういったモノをこしらえるとは恐れ入りました。
さて、ジグソー本体の方はというと……。
ピースがやたら多い。
まぁ、最後のラウンドなんだ。きっとデカいジグソーなんだろう。
ところが。
いろいろ組み立てていくうちに、なんだかおかしいことに気づく。
四隅にしても辺にしても、似たようなピースが必ず何枚かある。
そして、ピースを接合していくと、どうもジグソー自体がデカくないように見えるんです。
袋がふくらむほどピースが多いのに、なぜか 100〜150ピース程度の小さな絵柄になる。
なんだか不可解に思いながら進めていくと、だんだん真実がわかってくるようになった。
このジグソー、実は用意されたピースの量が3セット分もあったんです。
少し絵柄のずれた3セット分のジグソーのうち、2セット分がフェイクとして仕込まれていた。
そして、その2セットはピース各1枚ずつ欠けているというシロモノ。
インストラクションブックには“But beware: some pieces may not be needed.”なんて注意書きしてあったから、てっきり 20枚ほど余るのかと思ったら……。
フェイクの量はホンモノの2倍。
もはや“some”じゃねぇ〜〜〜だろッ!!
右の画像は、我らUNチームの勇姿。
ちなみに、UNチームは5チームありました。
E坂さん達は UN−2 チーム。
左から、エストニア、日本、ベラルーシ、エストニア。
(1人だけ)言葉は通じないが、今やるべきことは皆わかっている。
黙々とピースをつかみ、入れては抜いて、入れては抜いて、4人で歩を進めていきました。
ピースがピースだけに、3つのジグソーパズルをやっている感覚。ある意味、3倍楽しめた。
ちなみに、パズル誌と赤シャツをくれたエストニア人は右端の人です。
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10月12日。
WPC・3日目。
前日までの2日間の結果による上位 10名でプレーオフが行われる。
10×10の形に並んで席が用意され、各席にはパズル問題が。スタート地点は最後尾。
10人が各コースに位置して問題を解く。1問解き終えれば前の席に進める。それを繰り返してゴールを目指す。
いわば“障害物競走”みたいな感じ。
10個のハードルをクリアしたらゴール、というわけですね。
ただ、前日までの得点差によってスタート時間に差がつけられます。
ノルディック複合みたいな感じですね。
あれは、スキージャンプでの得点差をタイム差に置き換えて、次のクロスカントリーで2位以降が遅れてスタートさせられる。
一応、解けた時点で前へ進めるんだけれど、誤答だった場合はペナルティとして5分間待たされます。
あと、解けそうにないときも5分間ペナルティを犠牲にして前に進める。
そういうルールのもとで1〜3着が決まるまで、レースが行われたんです。
前日までの成績で、日本勢は有松さん2位、山本さん5位。
なんと、2人がエントリー!
だもんで、日本人の金メダルに期待がかかります。
2人とも時間ハンデがついちゃうけど、なんとか逆転をと密かに思っとりました。
結果は、有松さん6位、山本さん10位。
健闘むなしく。
でも、プレーオフに進めるってぇだけで素晴らしいモンです。
← そういや、こんなのが。
E坂さんの左後ろで何やら紙を持ってゴソゴソしている人がいたんです。
選手が席移動するたびにメモ書き。
何をやってるのかといえば、各選手の正解状況を書いてたんですね。
また奇特な人がいたもんだと思ったけど、こうして画像を見ると面白いもんですね。
状況がよくわかる。
上位3着の人はもぅ文句ナシの成績。有松さん(上から2行目)はキチッと解いてから前に進んでいたことがわかるし、山本さん(上から5行目)は苦労の跡が見える。
ただ、腑に落ちないことも。
プレーオフともなれば、各問題はそれなりに難しいんですね。
しかし、ペナルティは必ず5分。
となると、「5分以上かかって問題を解くより、問題を捨てて5分間ペナルティ食らった方がいいじゃん!」という指摘は当然のように出てきた。
しかも、優勝の人が 54分強でゴールしたもんだから、極端な話、問題を全部キャンセルして50分でゴールすれば優勝できたという……。
まぁ、でも、それを言うのはヤボなのかもしれんなぁ。
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さて、プレーオフも終わりを告げ、午後からは自由時間。
通訳を務めてくれた女性の案内で、日本選手団全員でワイン会社を見学です。
ホテルから車で 30分ほど。市郊外と思われる閑静な場所。
そこに、一軒の建物。
これがまた風変わりな外観。やっぱり、どこへ行っても石壁なのか。
E坂さん、ワインを嗜まない人間なので、ワイン倉庫というところには入ったことがないんです。
北海道東部の池田町には“ワイン城”と呼ばれるワイン工場があって、そこには行ったことがあるんだけれど、窓越しで1Fの倉庫を見ただけで。
ワインの貯蔵現場を間近で見たことがない。
「とりあえず長く寝かせときゃうまくなる」ぐらいしか知識がなく、後々、驚く光景を見ることになるとは思いもしなかったですよ。
いやいやいやいや、カビですか。
カビの巣窟だったんですか。
自然の倉庫な風貌なだけに壁も天井もガタボコで風情が出てるなぁと思ったら、これすべてカビなんだって!
倉庫でワインを長く貯蔵しておくと、ワイン樽から出る湿気が倉庫内に漂ってくる。
当然、湿気あるところにカビは出る。
そして、それが積もり積もって壁やら天井がカビで埋まっていく。
しかも、カビは最初は白いけれど月日が経つにつれて黒くなるのだそう。そういうことも知って、E坂さん、ひとつ賢くなりました。
天井がミニ鍾乳洞みたいだけど、これらは全部カビ。
いやぁ、すげぇ。
ここまですごいと「カビがワイン倉庫の年季を語る」なんて言い回しができそうですね。
そういや、カビだらけなのに全然臭くなかった。
生ゴミなどのカビとは また違うモノなんだろうか。
倉庫見学のあとは、一室でワインの試飲。
メモ用紙を渡されて、ビン7本を味わってきました。
白ワイン3本、赤ワイン3本。
銘柄を書き、色を見て、香りを嗅ぎ、味をみる。
白と赤じゃぁもちろん違うけど、同じ白ワインでも味や色は結構違うもんなんですね。赤ワインはどれも黒っぽくしか見えんかったけど。
んで、ワインを試飲したE坂さん。味の感想メモは……
すっぱい。
辛い。
辛い。
辛い。
甘い。
小学生の感想か!(笑)
一番好きだったのは、7番目に試飲した“マスト”という ぶどうジュースでした。
なにやら今年から造り始めたらしい。新規開拓なのかな。
ちょい甘さがキツい感じでもあったけれど、大の甘党・E坂さんの味覚にピッタリと合ったシロモノ。
お土産用と自分用にビン4本も買ってしもぅた!
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ワイン見学も終わり。
夜。閉会式。
2日半の祭典も終わりがやってきた。
まずは、PART 1 の表彰式。
PART 1 はエゲル・グランプリということで、成績上位にはメダルとトロフィーが贈られることになっているそうです。
でまぁ、3位、2位、と発表され、残る1位は……
なんと、山本さんだった。
おおお! なんと、1位ですか!!
並みいる強豪を押しのけて最も高い壇に立つ日本人。
驚きとともに、同じ日本人として嬉しい気持ちになった。
日本チームは3位でした。
毎年毎年、日本は上位の成績を収めているけれど、やっぱり表彰台に立っている姿を見ると嬉しくなるもんです。
プレーオフで少し落としたとはいえ、得点的には有松さん2位、山本さん5位と大健闘。
楠井さんも坂田さんも上位に食い込んでいたし、銅メダルは立派なものでした。
トロフィー近影。
左の小さいのがエゲル・グランプリ優勝。山本さんの。
右の大きいのは3位入賞。選手のみなさんが勝ち取ったモノ。
トロフィーなりメダルなり、形に残ればスバラシイ思い出になる。
しかも、ほんの数人にしかもらえないから価値がある。
うおお〜〜! うらやましいぜ!!
でまぁ、閉会式も終わり、夕食タイム。
もう食えなくなるであろうハンガリーの食を楽しみつつ、祭りのあとを楽しむひととき。
んで、その最中のこと。会場の隅でなにやら人だかりができてるんですね。
床を見ると、デカいシートが敷いてあって、こぞって床を向いて写真を撮っている。
E坂さんもそこに行ってみたんです。
驚いた。
シートの正体はスリザーリンクだった。
だけど、新聞紙サイズほどの大きさだから、パズル自体のサイズがハンパじゃない!
100×150くらいはあったろうか。観音サイズもハダシで逃げ出すほどのビッグさで。
しかも、ヒント数字の配置があまりにもキレイだった。こりゃぁ誰しも魅了されるわけだ。
さらにいうと、数字フォントなんかを見て「もしかしたらニコリのかな?」と思った。
いやぁ、誰がつくったんだろう?
作者名を見てくればよかったなぁ。
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WPCが終わってしまえば、あとは日本に帰るだけ。
バスでブダペスト、飛行機で成田、そこで解散となったのでした。
WPC体験記、終わり。
最後に。
こんな画像も撮ってみました。
WPCが終わって採点結果が一部だけ返ってきたんですね。
表紙に書かれた得点に一喜一憂。
一問一問の結果にも一喜一憂。
マルがつけば喜び、バツがつけば悔しがり。
8月の全日本パズル選手権でのみなさんの気持ちがよくわかりました。
E坂さんの表紙もチョット公開。
PART 7 の表紙をスキャンしてみました。
あっ。点数は絶対見るなッ!
絶対見るなよッ!!(笑)
だいたいどのラウンドもE坂さんはこんな感じでした。
だもんで、153人中 80位という成績で終わり。
点数も中途半端なら順位も中途半端。
あああ〜〜〜。
いやもぅ、パズルの量に対して時間が少なくて、手をつけていないパズルも多くて多くて。
これだけの量があれば、当分はパズルに飽きない日々を過ごせます。
現に、帰りの飛行機では ずっと解いてました。
12時間があっという間に過ぎてった。
行きはヒマでヒマでつらかったのに。
WPCの問題を見て思ったのは「まだまだパズルのアイデアはゴロゴロころがっている」ということ。
日本ではワード系パズル誌が大半を占めているためにWPCのような問題をつくる機会がないけれど、なんとかワード系への応用を考えてみたいなぁ。
そんなことを考えておりました。
またそのうち、WPCへ行く機会があるかもしれません。
そのときもたぶんUNチームで参加、英語に苦しんでくるのかも(笑)。
ただ、オレより後発のパズル作家さんも居てWPC未経験の作家が増えたりしてるから、果たして次は何年先になるのやら。
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EPSILON ★ DELTA
管理人:E坂もるむ
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