正十二角形はこんな性質を持っている

 正十二角形について、面積などを計算してみました。

1.面積は……

 中心から頂点までの距離が \(1\) である正十二角形。
 その面積や如何に?

 求め方は簡単です。
 ピザのように12等分する方法がわかりやすい!
 ピース1個の面積を求めてしまえば、あとは12倍するだけです。

 ピースは三角形だから、\((底辺) \times (高さ) \div 2\) で求めてみましょう。
 まず、12等分のおかげで、各ピースの先端は \(30^{\circ}\) だとわかります。
 そこで、ピースを1枚抜き出して \(\triangle\text{ABC}\) として、\(\text{A}\) から辺 \(\text{BC}\) へ垂線 \(\text{AH}\) を引いてみる。

 すると、\(\triangle\text{ABH}\) はいわゆる「\(1:2:\sqrt{3}\)」の直角三角形になる!
 だから、\(\text{AH}\) の長さは斜辺 \(\text{AB}\) の半分ですね。つまり、\(\text{AH}=\dfrac{1}{2}\) です。

 もぅこれで面積はわかります! \begin{align} (\triangle\text{ABC の面積}) &= \text{BC} \times \text{AH} \div 2 \\ &= 1 \times \dfrac{1}{2} \div 2 = \dfrac{1}{4} \end{align}

 というわけで、正十二角形の面積は \[ (正十二角形の面積) = \dfrac{1}{4} \times 12 = 3 \]

 三角関数(三角比)をご存じの方々は、面積公式 \(S = \dfrac{1}{2}ca\sin{B}\) でピースの面積を計算できますね!

\[ (\triangle\text{ABC の面積}) = \dfrac{1}{2} \cdot 1 \cdot 1 \cdot \sin{30^{\circ}} = \dfrac{1}{4} \]

2.サヤエンドウのサイズは……

 中心から頂点までの距離が \(1\) である正十二角形。
 その裁ち合わせで4個現れたサヤエンドウの莢のような細長いピースについて。
 先端角とサイズを求めます。
 円周角を利用した、少しトリッキーな手法で迫ってみます。

 正十二角形には外接円が存在します。
 12個の頂点はすべてその外接円の周上にあるわけですね。
 ということは、下図のように3つの頂点 \(\text{A}\), \(\text{B}\), \(\text{P}\) を線で結んで角 \(\angle\text{APB}\) を作ると、それは円周角とまったく同じ性質を持ちます。
 そこで、ここでは、正十二角形に対しても \(\angle\text{APB}\) を 円周角 と簡単に言うことにしましょう。

 円において中心角は弧の長さに比例するため、円周角も弧の長さに比例します。
 これは正十二角形でも同様に成り立ち、円周角は辺の数に比例します。
 具体的には下図の通り。
 1辺だと \(15^{\circ}\)、2辺だと \(30^{\circ}\)、以下、\(45^{\circ}\), \(60^{\circ}\), \(\cdots\) と \(15^{\circ}\) ずつ増加します。
 正確に言うと、「辺の数が \(n\) である時、円周角は \(15n^{\circ}\) となる」です。

 それを踏まえてサヤエンドウの莢を見ると、先端角は \(45^{\circ}\) だと簡単にわかるんです。
 下図の通り、3辺に対応する円周角 \(\angle\text{APB}\) と同じですもんね。

 また、正十二角形の12辺を 2, 4, 6 に分けて下図のようにそれぞれ円周角を作ると、\(\triangle\text{ABC}\) ができあがります。
 その3つの内角は \(30^{\circ}\), \(60^{\circ}\), \(90^{\circ}\) です。
 これはまさに「\(1:2:\sqrt{3}\)」の直角三角形!
 そして、正十二角形の中心と頂点の距離は \(1\) だから、斜辺 \(\text{AB}\) の長さは \(2\) です。
 よって、サヤエンドウの莢のサイズ \(\text{BC}\) は \(\sqrt{3}\) になるわけですね。