なぜ任意の整数が作れるのか?

 4個の4を使って 1〜10 を作るパズル。
 実は、1 以上の整数を作るテンプレがあった!
 そのテンプレ式を説明します。
 当ページの内容を理解するためには、高校数学 II の「指数関数・対数関数」の知識が必要です。

対数を使って指数部分を抽出しまくるのさ

 英語版『Wikipedia』に載っていた方法を基に説明します。
 理解するためには、高校数学 II の指数関数・対数関数の知識が必要です。

 まず、実数 \(a \; (a > 0)\) に対して次の2つが成り立つことを思い出しましょう。

  • \( \sqrt{a} = a^{1/2} \)
  • \( (a^x)^y = a^{xy} \quad(x, y \text{ は有理数}) \)

 平方根は \(\dfrac{1}{2}\) 乗と同じ。
 累乗の累乗は指数を掛け算すれば良い。
 こういう軽い解釈でOKです。

 これらを使って、\(4\) にルートを2個かぶせた式を累乗で表してみます。

\[ \sqrt{\sqrt{4}} = \sqrt{4^{1/2}} = \left( 4^{1/2} \right) ^{1/2} = 4^{(1/2)^2} \]

 3個かぶせるとこうなります。

\[ \sqrt{\sqrt{\sqrt{4}}} = \sqrt{4^{(1/2)^2}} = \left( 4^{(1/2)^2} \right) ^{1/2} = 4^{(1/2)^3} \]

 同様にして、\(n\) 個だとこうなる。

\[ \underbrace{ \sqrt{\sqrt{\cdots\sqrt{4}}} }_{n\ \text{個}} = 4^{(1/2)^n} \tag{1} \]

 あとは、この \(4^{(1/2)^n}\) から \(n\) をどうにか抽出しよう! ……という魂胆です。
 それには次の公式が重宝します(証明は略)。

  • \( \log \,_a \ a^x = x \qquad(a > 0 \; \text{かつ} \; a \neq 1,\ x\ \text{は有理数}) \)

 簡単に言うと、\(a^x\) の左側に「\(\log \, _a\)」を施せば \(a\) が外れて、右肩の \(x\) だけが残る。
 この性質を利用すると、うまくいくんです。

 まずは \(4^{(1/2)^n}\) に \(\log\,_4\) を施して \(4\) を外す。

\[ \log \, _4 \ 4^{(1/2)^n} = \left(\dfrac{1}{2}\right)^n \tag{2} \]

 そして、\(\left(\cfrac{1}{2}\right)^n\) に \(\log_\tfrac{1}{2}\) を施して \(\dfrac{1}{2}\) を外す。

\[ \log \, _\tfrac{1}{2} \, \left(\dfrac{1}{2}\right)^n = n \tag{3} \]

 \((2)\) を使って \((3)\) を書き換えると

\[ \log \, _\tfrac{1}{2} \, \left(\log \, _4 \ 4^{(1/2)^n}\right) = n \]

 ここで、\((1)\) を使って \(4^{(1/2)^n}\) を根号に戻し、わざと \(\dfrac{1}{2} = \dfrac{\sqrt{4}}{4}\) と置き換えてしまえば

\[ \log \, _\tfrac{\sqrt{4}}{4} \left( \log \, _4 \ \underbrace{ \sqrt{\sqrt{\cdots\sqrt{4}}} }_{n\ \text{個}} \right) = n \]

となるわけですね。

 よく見たら、この式、ちゃんと4個の4だけを使っている!
 驚きですね!

 ここからは余談。
 自然対数だとどう表せるか、という話です。
 自然対数は数学 III の領域ですが、数学 II の知識だけでも理解は可能です。
 こんな感じに表せました。

 自然対数バージョン。
 根号は \( n \) 重です。

\[ n = - \dfrac{ \sqrt{4} \log \left( \dfrac{\log \sqrt{\sqrt{\cdots\sqrt{4}}}}{\log 4} \right) }{\log 4} \]

 これは、底の変換公式 \(\log \, _x \ y = \dfrac{\log\ y}{\log\ x}\) のおかげで成り立ちます。
 また、\(\log \, \dfrac{\sqrt{4}}{4} = \log \, \dfrac{1}{2} = \log \, 4^{-\tfrac{1}{2}} = -\dfrac{\log 4}{2}\) も使えばOK!

 よく見ると、この式も4個の4だけを使ってる!
 すげぇな。

参考・参照