1.どういう解法?
ALS-XY-Wing という解法には3つの ALS が登場します。
そして、その3つは RCC で数珠つなぎになっています。
こんな感じ。
- 先頭の ALS と2番目の ALS は RCC x で結ばれている。
- 2番目の ALS と末尾の ALS は RCC y で結ばれている(yはxと異なる)。
- 先頭の ALS と末尾の ALS には共通する候補数字がある(それは RCC ではない)。
この状況の時に ALS-XY-Wing が使えるんです。
図1-1 を見てみましょう(部分図です)。
青色・赤色・緑色が ALS です。
- 青色 ALS は4マスで、候補数字は2, 4, 5, 7, 8。
- 赤色 ALS は5マスで、候補数字は1, 2, 4, 6, 8, 9。
- 緑色 ALS は3マスで、候補数字は3, 4, 5, 9。
- 青色⇔赤色 を結ぶ RCC は8。すべて同じブロックに属する。
- 赤色⇔緑色 を結ぶ RCC は4。すべて同じヨコ列に属する。
- 青色と緑色 には 候補数字5 が共通している。
青色⇔赤色⇔緑色 とつながっている感じですね。
3つの ALS が数珠つなぎになっています。
そして、青色 ALS と緑色 ALS には共通の候補数字があります。
これは密かに大事!
共通の候補数字がないと ALS-XY-Wing は使えません。
前図1-1 からどういう結論が得られるんでしょう?
こうなるんです。
- 青色 ALS と緑色 ALS が持つすべての候補数字5と列やブロックを共有するマスがある。そのマスに5は入らない。
図1-2 だと、×印の3マスが該当します。
この3マスは5の2マスと同じブロックに属し、同時に、5の3マスと同じタテ列に属しています。
この3マスに数字5は入らないというわけです。
なぜこういう結論になるんでしょう?
それは、候補数字5を持つ5マス55555のどこかに必ず数字5が入るからなんです。
それを解説しましょう。
今、試しに「青色 ALS に数字5は入らない」と仮定してみましょう。
すると、青色 ALS は候補数字5を失って4国同盟(2478の4国)に変化します。RCC である8は同盟のメンバーになりました。
しかも、よく見ると、P以外の青色3マスで3国同盟(247の3国)ができちゃってますね!
となると、そのあおりを受けてマスPには8しか入れられません。
マスPに8が入ると、Qの2マスに8は入りません。
赤色 ALS は候補数字8を失って5国同盟(12469の5国)に変化します。RCC である4は同盟のメンバーになりました。
……あ、これもよく見ると、R以外の赤色4マスで4国同盟(1269の4国)ができちゃってる!
あらま、マスRに4を入れるしかない。
マスRに4が入ると、マスSに4は入りません。
すると、緑色 ALS は候補数字4を失って3国同盟(359の3国)に変化し、5は緑色マスのどこかに入ることになりますね。
ダラダラと説明が長すぎてホントすんません😅
結局、言いたいのはこれです。
- 青色 ALS に5が入らなければ必ず緑色 ALS に5が入る。
青色 ALS に5が入らなければ、必ず緑色 ALS に5が入る。
ここからさらに何が言えるのか。
青色 ALS に数字5が入る or 入らない、どちらかが成り立ちます。
もし5が入るのならそれで良し。
入らないのなら、代わりに緑色 ALS に5が入る。
というわけで、次のことが成り立つんです。
- 青色・緑色 ALS の少なくとも一方に必ず数字5が入る。
これをマス視点で捉えてみましょう。
図1-4 のように、候補数字5を持つ5マスをA〜Eとします。
すると、こういうふうに言い換えできるんです。
- 5マスA〜Eのうち最低1カ所に数字5が入る。
そうなると、数字5を入れられないマスが生じます。
×印を付けた3マスです(図1-5)。
この3マスには次の共通点があります。
- 5マスA〜Eすべてと列やブロックを共有している。
×印の3マスは2マスA, Bと同じブロックに属し、同時に、3マスC〜Eと同じタテ列に属しているんですね。
前図1-4 で説明した通り55555のどこかには必ず数字5が入るのだから、×印の3マスには数字5を入れることはできない。
こういうわけなんです。
図1-2 の結論通りになりましたね😊
2.実際に使ってみよう!
注目する候補数字の位置関係によって、ALS-XY-Wing は様々な顔を持ちます。
その中から2つ紹介しましょう。
2-1.1マスに作用するパターン
まずは1つめの例です。
図2-1 には、ALS-XY-Wing の使える箇所があります。
そのために、まずは RCC で結ばれた3つの ALS を探さなければいけません。
さて、その ALS 達はどこに潜んでいるでしょう?
該当の ALS は 図2-2 の通りです。
3つの ALS が順番につながっています。
確認してみましょう。
こういう状況です。
- 青色 ALS は3マスで、候補数字は2, 4, 7, 9。
- 赤色 ALS は4マスで、候補数字は1, 2, 6, 8, 9。
- 緑色 ALS は4マスで、候補数字は1, 2, 4, 6, 8。
- 青色⇔赤色 を結ぶ RCC は9。すべて同じヨコ列に属する。
- 赤色⇔緑色 を結ぶ RCC は1。すべて同じブロックに属する。
- 青色と緑色 には 候補数字4 が共通している。
青色⇔赤色⇔緑色 と3つの ALS が順につながっていますね。
青色と緑色の ALS は共通の候補数字を持っています。
この場合はどういう結論が得られるんでしょう?
こうなります。
- 候補数字4を除去できるマスが1つある。
図2-3、左下ブロックに存在します。×印を付けています。
この1マスから候補数字4を除去できるんです。
なぜ、こういう結論になるんでしょう?
それは、候補数字4を持つ4マス4444のどこかに必ず数字4が入るからなんです。
それを解説しましょう。
今、試しに「青色 ALS に数字4は入らない」と仮定してみましょう。
すると、青色 ALS は候補数字4を失って3国同盟(279の3国)に変化します。RCC である9は同盟のメンバーに……って、あれ? 全部数字が確定しちゃわない?
実際は3マスすべてに数字が確定して、0国同盟になっちゃいます😅
マスPに9が確定します。
マスPに9が入ると、マスQに9は入りません。
赤色 ALS は候補数字9を失って4国同盟(1268の4国)に変化するんです。RCC である1は同盟のメンバーになりますね。
しかし、よく見ると、R以外の3マスで3国同盟(268の3国)もできている!
というわけで、マスRに1が確定します。
マスRに1が入ると、Sの2マスに1は入りません。
緑色 ALS は候補数字1を失って4国同盟(2468の4国)に変化し、4は緑色マスのどこかに入ることになりますね。
ALS を回り回って、長い過程の末にこうなるんです。
- 青色 ALS に4が入らなければ必ず緑色 ALS に4が入る。
青色 ALS に4が入らなければ、必ず緑色 ALS に4が入る。
前セクション同様に論理展開すると、こうなりますね。
- 青色・緑色 ALS の少なくとも一方に必ず数字4が入る。
マス視点でも見てましょう。
図2-5 のように、候補数字4を持つ4マスをA〜Dとします。
こう言い換えられますね。
- 4マスA〜Dのうち少なくとも1つに必ず数字4が入る。
そうなると、数字4を入れられないマスが生じます。
×印を付けた1マスです(図2-6)。
このマスには次の共通点があります。
- 4マスA〜Dすべてと列を共有している。
前図2-5 で説明した通り4444のどこかには必ず数字4が入るのだから、×印マスには数字4を入れることはできないんですね。
図2-3 の結論通りになりましたね😊
ところで。
実は、青色と緑色の ALS は候補数字2も共通して持っています。
2の場合はどうなんでしょう?
実は、2の場合も完全に同じ理屈が成り立つんです。
だから、同じマスから候補数字2も除去できるはず!
……と思ったら、左下ブロックにはすでに数字2が入っていて、該当のマスでは既に候補数字2が消えちゃってました。
こういう空振りもナンプレにはよくあるんです😅
2-2.複数のマスに作用するパターン
例をもうひとつ挙げてみます。
今度は ALS も最初から示します。
- 青色 ALS は3マスで、候補数字は2, 3, 4, 6。
- 赤色 ALS は4マスで、候補数字は3, 4, 6, 7, 8。
- 緑色 ALS は4マスで、候補数字は3, 4, 5, 7, 9。
- 青色⇔赤色 を結ぶ RCC は3。すべて同じタテ列に属する。
- 赤色⇔緑色 を結ぶ RCC は7。すべて同じヨコ列に属する。
- 青色と緑色 には 候補数字4 が共通している。
青色⇔赤色⇔緑色 と3つの ALS が順番につながっていますね。
青色と緑色の ALS は共通の候補数字を持っています。
この場合はどういう結論が得られるんでしょう?
こうなります。
- 候補数字4を除去できるマスが3つある。
図2-8、上から2つめのヨコ列に存在します。×印を付けてます。
この3マスから候補数字4を除去できるんです。
なぜでしょう?
それは、候補数字4を持つ3マス444のどこかに必ず数字4が入るからです。
それを解説しましょう。
今、試しに「青色 ALS に数字4は入らない」と仮定してみましょう。
すると、青色 ALS は候補数字4を失って3国同盟(236の3国)に変化します。RCC である3は同盟のメンバーになりました。
でも、よく見ると、P以外の2マスで2国同盟ができている!
というわけで、マスPに3が確定します。
マスPに3が入ると、2マスQ, Rに3は入りません。
赤色 ALS は候補数字3を失って4国同盟(4678の4国)に変化します。RCC である7は同盟のメンバーになりますね。
よって、7は赤色4マスのどこかに入ることになります。
つまり、Q, Sのどちらかに7が入ります。
QかSに7が入るとなると、マスTに7は入りません。
緑色 ALS は候補数字7を失って4国同盟(3459の4国)に変化しますね。
……あれ? よく見たら、緑色内部で3国同盟(359の3国)ができちゃってるじゃぁないの!
そのあおりを受けて、数字4の入るマスは1カ所しかなくなった。
そのマスに4が確定します。
ALS をまたにかける旅の結果、こうなりました。
- 青色 ALS に4が入らなければ緑色 ALS 内部で4が確定する。
青色 ALS に4が入らなければ緑色 ALS 内部で4が確定する。
これをマス視点で見るとこう言い換えられますね。
- 3マスA〜Cのどこかに必ず数字4が入る。
そうなると、数字4を入れられないマスが生じます。
×印を付けた3マスです(図2-10)。
このマスには次の特徴があります。
- 3マスA〜Cすべてとヨコ列を共有している。
だから、×印マスには数字4を入れることはできないんですね。
図2-8 の結論通りになりましたね😊
3.XY-Wing は ALS-XY-Wing の一種
ここからは余談です。
ALS-XY-Wing という名前って、XY-Wing の頭に「ALS」をくっつけたものになってますよね。
もしかして XY-Wing に関係があったりするんでしょうか?
そんな話をちょいとしてみます。
図3-1、XY-Wing のページで使われている図です。
これは3マスA〜Cがタテヨコ直角に並んでいる形で、次の結論が得られましたね。
- ×印のマスに数字3は入らない。
XY-Wing のページでは、マスAに1が入るか2が入るかの2通りに分けて論理展開していきました。
どちらの場合でも、上記の結論に至ったんですね。
このセクションでは、図3-1 を ALS の視点で見てみましょう。
実は、こういう状況とも言えるんです。
- 青色マス は ALS である。候補数字は1, 3の全2種類。
- 赤色マス は ALS である。候補数字は1, 2の全2種類。
- 緑色マス は ALS である。候補数字は2, 3の全2種類。
- 青色⇔赤色 を結ぶ RCC は1。すべて同じヨコ列にある。
- 赤色⇔緑色 を結ぶ RCC は2。すべて同じタテ列にある。
- 青色と緑色 には 候補数字3 が共通している。
なんと!
これ、まさに ALS-XY-Wing の形じゃぁないですか!
セクション12と見比べると、ALS-XY-Wing にしてはなんとも違和感のある形。
でも、これも立派な ALS-XY-Wing なんです。
当然、図3-2 からも同じように論理展開できて、青色&緑色 ALS に共通する候補数字3について結論が得られるんです。
×印のマスに数字3は入りません。
この話のミソは、XY-Wing に登場する3マスはそれぞれ ALS でもあるというところです。
1マスであっても候補数字を2つ持っていれば、それは立派な ALS である。
だから、ALS-XY-Wing としても論理展開することができた。
1マス ALS を一般の ALS に置き換えることで、解法 XY-Wing を ALS-XY-Wing に拡張させることができる。
こういう見方もできるんですね。
図3-1 でも 図3-2 でも同じ結論が得られましたが、異なる視点で論理展開できるというのが面白いですね。
更新履歴
- 2022. 2. 5.
- 新規公開。
- 2023. 3.31.
- ページ冒頭に難易度表記を追加。