【解法】Fireworks

 Fireworks はタテ1列とヨコ1列を対象とする解法です。
 その2列の交差地点を含む3マスがキーとなって論理展開が進んでいきます。
 2021年11月に公開された新しい解法です。
 (難易度:★★★★★)

 (2022.10.10. 追記)
 公開当初は当ページの解法名を『Firework』と単数形にしていましたが、複数形『Fireworks』に改称しました。
 その理由は、英単語「firework」は通例は複数形であること、そして、核となるロジック(firework と呼ぶ)を必ず複数重ねて使う解法だからです。

1.まずは核となるロジックから

 Fireworks は、タテ1列とヨコ1列が舞台。
 そして、その2列の交差箇所を含む3マスが中心となって話が繰り広げられます。
 単体ではちょっと役に立ちにくいけれど、何枚も重なれば大きな力を発揮する。
 そんな不思議な解法です。

 解法 Fireworks には核となるロジックが存在します。
 まずは、それを紹介しましょう。
 Fireworks の世界はそこから始まります。

図 1-1

 図1-1、青色ヨコ列とピンク色タテ列を見てみましょう。
 どちらもずいぶんと数字で埋まってますね。
 そのあおりを受けて、数字9の入り得る場所は少なくなっちゃいました。

 詳しい状況は次の通りです。

  • 青色ヨコ列において、数字9は★マスの4カ所にしか入らない。
  • ピンク色タテ列も同様で、数字9は★マスの4カ所にしか入らない。
  • 2列の交差点Aの属するブロックを見ると、★マスはタテヨコ3個ずつ並んでいる。ブロックの外側にはB, Cの1個ずつしか存在しない。

 これら★マスのうち、重要なのは3つです。
 タテヨコ2列の交差地点であるマスA、そして、左上ブロックの外側にある2マスB, C。
 この3マスに対して、とある結論が得られるんです。

図 1-2

 その結論とは……

  • 3マスA, B, Cのうち最低1カ所に必ず数字9が入る。

 検証してみましょう。
 とりあえず★マスは7つあって、そのどこかに必ず数字9は入ります。
 7通りを調べてみましょう。

 まず、A, B, Cのどこか1カ所に入った場合は、上記の結論は明らかですね。
 では、他のマスはどうか。
 例えば、青色★マスのどちらかに数字9が入った場合。
 この場合は、ピンク色タテ列ではマスCにしか9を入れられなくなりますね。
 また、ピンク色★マスのどちらかに入った場合はどうか。
 この場合は青色ヨコ列を見るとマスBに9が決まっちゃう。

 結局、どの場合であろうとも、3マスA, B, Cのどこかには必ず数字9が入ってしまうわけなんです。

 図1-2 で示した結論、これが解法 Fireworks の核となるロジックです。
 これを firework と呼ぶことにしましょう。
 このロジックを駆使して話は進んでいきます。

 ……が、実は残念なお話がありまして。
 図1-2 の結論を得たところで、盤面には何の影響もないんです。
 どこかのマスに数字9が確定するわけではないし、数字9の入らないマスが生じるわけでもない。
 状況はまったく進まない。
 単に「どこかに数字9が現れますよ〜😃」と言っているに過ぎないんです🥺

 だから、解法 Fireworks はもう一歩進んだアプローチをとっていく。
 「もし、firework が盤面に複数存在していたら……?」
 これを軸に話を進めていくんです。
 それをちょびっとお見せしましょう。

図 1-3

 前図1-2 をもう一度(図1-3)。
 あらためてこの図を見てみると、こんなことが言えるんです。

数字9だけじゃなくて、数字8でも同じロジックが成り立つよね!

 実は、この盤面には2つの firework が存在していたんですね。
 数字9と数字8。
 2枚重ねだった!

 となると、数字8も9もマスA, B, Cのどこかに必ず入るわけですね。
 もちろん数字2個を同時にマスAに押し込むわけにはいかないから、8と9の少なくとも1つはマスBやCに入れざるを得なくなる。

 こういう感じで話が進んでいくわけです。

 2枚重ねでもちょっとピンとこないかもしれませんね😅
 しかし、これが3枚重ねになると firework たちは大きな力を発揮するようになる!
 それはセクションで説明しましょう。

ブロック内部の★は少なくてもOK
図 1-4

 図1-1 では★マスが7個揃っていましたが、実は、7個より少なくてもかまいません。
 図1-4 では2個少なくなっていますが、これでもOKです。

 さらに言うと、3マスA, B, Cの一部が★マスでなくてもOKです。
 それでも firework のロジックが崩れることはありません。
 結論も同じです。

  • 3マスA, B, Cのうち最低1カ所に必ず数字9が入る。

 ただし、A, B, Cすべてが★マスでない場合は、左上ブロックで破綻が起きちゃいます。
 だから、その3つのうち最低1カ所は★マスでなければいけません。
 そこはご注意ください😊

2.こんな手筋があるよ!・その1 (Firework Triple)

 ここからは、複数の firework を使った手筋を解説していきます。
 まずは firework を3枚重ねした手筋です。
 これは、ナンプレのフォーラムサイト『The New Sudoku Players' Forum』の Fireworks というトピックで実際に紹介された物です。
 その盤面を拝借して解説していきましょう。

図 2-1

 図2-1 を見てみましょう。
 ここでは、候補数字1, 2, 3の分布に注目します。

  • 青色&ピンク色2列において、候補数字1, 2, 3の分布は 図2-1 の通り。
  • 数字1〜3の firework がピッタリ3枚重ねになっている。

 数字1〜3はどれも firework の条件を満たしていますね。
 そして、「ピッタリ3枚重ね」というのがこの盤面の大きな特徴です。
 この3枚が大きな仕事をしてくれます。

 ここからどう話が進んでいくんでしょう?

図 2-2

 では、結論です。
 こうなります。

  • 3マスA, B, Cから候補数字4〜9をすべて除去できる。

 図2-2 の通りです。
 なんと、3枚の firework に関係する3マスがずいぶんとスリムになっちゃいました。

 なぜこうなるんでしょう?
 それは、3マスA〜Cに数字1〜3が1個ずつ割り当てられることになるからです。
 それを解説しましょう。

図 2-3

 まずは、セクションで示した結論に照らし合わせてみましょう。
 すると、こうなります。

  • 数字1, 2, 3はどれも必ずマスA, B, Cのどこかに入る。

 これは簡単にわかりますね。
 ただ、これだけでは話が進展しそうに思えません。

 しかし!
 数字は3個であり、マスも3個です。
 個数は同じ。
 そこに気が付くと、ゴールが見えてくるかもしれません。

図 2-4

 マスは3カ所しかない。
 なのに、数字1, 2, 3を必ず全部入れなきゃいけない。
 ということは……?
 もぅ次のように数字を入れるしかないんです。

  • 3マスA, B, Cに数字1〜3を1個ずつ割り当てるしかない。

 3マスに数字3個が個別に割り当てられる。
 言い換えると、数字3個が3マスを占拠する形になるんです。
 おぉ、まるで3国同盟のようだ!

 というわけで、3マスA, B, Cに数字4〜9の入る余地は完全になくなっちゃいました。
 候補数字4〜9はすべてシャットアウト!
 図2-2 の結論通りですね😊

 いや〜、うまくできてるもんです。
 数字1個だけだと3マスのどこに入るかわからんけれど、数字3個にしたら嫌でも3マスは満杯になっちゃう。
 「3枚重ね」とは面白い手法だなぁと感じました😃

3.こんな手筋があるよ!・その2 (Firework Quadruple)

 次は、少し複雑なパターンです。
 4枚使ったパターンを紹介しましょう。
 このパターンも先述のトピック Fireworks で紹介されていますが、元は別トピック Cobra Roll の題材となっていた図です。
 この図を拝借して解説していきます。

図 3-1

 図3-1 には青色2列と黄色2列がありますね。
 両方とも firework です。
 しかも、どちらも2枚重ね。全部で4枚あるわけですね。

 状況は次の通りです。

  • 青色2列で firework ができている。しかも、数字1, 2の2枚重ねになっている。
  • 黄色2列も firework。数字3, 4の2枚重ね。
  • 2種類の firework はマスP, Qを共有している。

 1つの firework には要所が3マスありますが、それらを firework 達が共有し合っています。
 全体として4つの firework が4つの要所A, B, P, Qを持っている。
 そういう形になっているんですね。

 この形からはどういう結論へと向かうんでしょう?

図 3-2

 では、結論です。

  1. マスAから1, 2以外の候補数字をすべて除去できる。
  2. マスBから3, 4以外の候補数字をすべて除去できる。
  3. マスP, Qから1〜4以外の候補数字をすべて除去できる。

 なんと、firework に無関係な候補数字が要所のマスから綺麗サッパリ消えてしまう!
 図3-2 の通りになるんです。

 なぜこうなるんでしょう?
 それは、要所の4マスA, B, P, Qに数字1〜4が1個ずつ割り当てられる形になるからです。
 それを解説しましょう。

図 3-3

 まずは、セクションの結論に照らし合わせてみます。
 こうなります。

  • 数字1, 2はどちらもマスA, P, Qのどこかには入る。
  • 数字3, 4はどちらもマスB, P, Qのどこかには入る。

 この2つが成り立ったおかげで、数字1〜4の分布について何かつかめそうな気がする!
 ちょいと試しに要所4マスに数字を仮入れしてみましょうか。

 まず青色 firework に数字1, 2を入れてみる。
 例えば、A=1&P=2 としましょう。
 その上で、今度は黄色 firework に数字3, 4を入れ……

あっ、もぅマスPに数字が入ってたわ。
じゃぁ、BとQに入れるしかないや。

 なんと、要所4マスは数字1〜4で全部埋まってしまいました。

図 3-4

 実は、どういう入れ方をしても結果は同じです。
 要所4マスは必ず数字1〜4で埋め尽くされてしまうんです。

 よく考えると、たった4カ所に数字1〜4を必ず全部入れなきゃいけない状況だと言えますよね。
 もぅその4マスは……こうするしかないというわけです。

  • 4マスA, B, P, Qに数字1〜4を1個ずつ割り当てる。

 要所4マスに数字5〜9の入る余地は完全になくなりました。
 候補数字5〜9は全部バッサリ斬っちゃいましょう!

 また、マスAは青色 firework のマスだから、数字1と2のどちらかが入ります。
 マスAの候補数字3, 4もバッサリです。
 同様に、マスBでは候補数字1, 2もバッサリ。

 最終的に 図3-4 の通りになりました。
 図3-2 の結論通りですね😊

 当ページでは3枚重ね・4枚重ねの手法を紹介しました。
 この他にも Fireworks にはさまざまな手筋があります。
 詳しくは『The New Sudoku Players' Forum』のトピック Fireworks をご覧ください。

4.「爆発」だなんて、なんて物騒な!

 ここからは余談です。

 この解法は 2021年11月にフォーラムサイト『The New Sudoku Players' Forum』の Fireworks というトピックで公開されました。
 おそらく最新の解法です。
 その解法には『Fireworks』と名前が付いたわけですが、なぜこの名前なんでしょう?
 その由来をたどってみたいと思います。

図 4-1

 由来を話す前に盤面が2つ必要なので、まずはそれをご紹介。

 まずは 図4-1 を見てみましょう。
 青色・ピンク色の2列において数字9の入り得るマスを探してみます。
 すると、特徴的な形が現れました。

 詳しい状況はこんな感じ。

  • 青色ヨコ列において、数字9は★マスの3カ所にしか入らない。
  • ピンク色タテ列も同様で、数字9は★マスの3カ所にしか入らない。
  • 2列の交差点Aの属するブロックを見ると、★マスはすべてその中にある。

 この形からは、マスAに1つの結論が生まれます。

図 4-2

 その結論とは……?

  • 交差地点のマスAに数字9が確定する。

 理由は簡単です。
 青色ヨコ列では、★マス3個のどこかに必ず数字9が入ります。
 3個とも同じブロックの中にあるから、ピンク色★マスには9を入れられなくなる。
 それを踏まえてピンク色タテ列を見ると、マスAに9が確定する。
 こういうわけですね。

 数字9はマスAの中に収まりました。

図 4-3

 次に 図4-3 を見てみましょう。
 図4-1 とほとんど同じだけれど、右下隅の数字9がなくなりました。
 だから★マスがちょっとだけ増えた。

  • 青色・ピンク色列において、数字9の入り得る場所(★マス)はそれぞれ4カ所ある。
  • これら★マスのうち、左上ブロックの外側にあるのはB, Cだけ。

 実は、これはセクションの 図1-1 と同じ形です。
 だから、この場合の結論はこうでした。

  • 3マスA, B, Cのうち最低1カ所に必ず数字9が入る。

 マスAのみにとどまらず、BやCに9の入る可能性が生まれたのでした。

 最初の盤面では、数字9はマスAの中に収まった。
 ところが、次の盤面では数字9はマスAの外に飛び出せるようになったわけですね。
 そう。飛び出せるようになった。

 解法 Fireworks は Fireworks というトピックから生まれました。
 そのトピックの中に、ちょっと驚くような言葉が入ってた。
 explode。
 マスAからの飛び出しを投稿者さんは「explode」というワードで表現してたんです。
 そして、そこから 図4-3 の形を firework と呼んでいた。

at the moment im just calling this pattern a firework, it "explodes" outward from the intersection, in a way😄
( im はおそらく I'm です)

 交差地点から外へ爆発するだなんて、なんとまぁ物騒な😅
 花火のように「ドォーンッ!」と華々しく飛び出す。投稿者さんはそんなイメージを持ってたのかもしれません。

 「explode」という大げさな表現、インパクトあっていいですね。
 なんか「firework」というワードを聞いた後だと、タテヨコ2列が火花のようにも見えてきた。
 左上ブロックが花火玉のようにも見えてきた。
 言葉や先入観に引きずられやすい私です😅

参考・参照

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