【解法】XYZ-Wing

 XYZ-Wing は、XY-Wing(パターン2) と同様に3マスからなる解法です。
 しかも、見た目は XY-Wing(パターン2)にかなり似ていて、結論も少し異なるだけ。
 混同しないようにしっかり理解することが大事です。
 (難易度:★★★)

1.どういう解法?

 XYZ-Wing の舞台は3マスです。
 しかも、XY-Wing とはたった1カ所しか違わない、ほぼ瓜二つの世界。
 安易に理解しようとしたら混同すること請け合いです。

図 1-1

 今、3マスA, B, Cについて、次の状況になっているとしましょう。

  • マスAには数字1, 2, 3のみが入り得る。
  • マスBには数字1と3のみが入り得る。
  • マスCには数字2と3のみが入り得る。
  • マスAとBは同じ列に属している(ただしブロックは異なる)。
  • マスAとCは同じブロックに属している(同じ列に属しても良い)。
  • マスA, B, Cは一直線上にない。

 んも〜、条件多すぎる😅
 図1-1 を見てビジュアル的に理解しちゃってください😅

図 1-2

 さて、前図1-1 からはどういう結論が得られるんでしょう?
 こうなるんです。

  • 3マスA〜Cすべてと列やブロックを共有するマスがある。そのマスに数字3は入らない。

 図1-2 だと×印の2マスが該当します。
 その2マスはマスA, Bとヨコ列を共有し、マスCとブロックを共有しています。
 その2マスに数字3は入らないというわけです。

 なぜこういう結論になるんでしょう?
 それは、3マスA〜Cのどこかに必ず数字3が入るからなんです。
 それを解説しましょう。

図 1-3

 マスAの候補は3つあります。
 そして、Aに入った数字によってマスB, Cに影響が出ます。

 マスAに1が入った場合、マスBに必ず3が入ります。
 マスAに2が入った場合、マスCに必ず3が入ります。
 マスAに3が入った場合、BもCも数字が確定します。

 図1-3 の3パターンを見て、どういうことが言えるんでしょう?
 数字3について、何かが見えてきそう……。
 実は、こういうことが言えるんです。

  • マスA, B, Cのどこかに必ず数字3が入る。
図 1-4

 そうなると、数字3を入れられないマスが生じます。
 図1-4、×印のマスです。

 ×マスは2マスA, Bとヨコ列を共有し、マスCとブロックを共有しています。
 だから、A, B, Cのどこに数字3が入ったとしても、×マスには3を入れることができないんです。

 図1-2 の結論通りになりましたね😊
 これが XYZ-Wing の解法です。

 上記の例では2マスA, Bがヨコに並んでいました。
 もちろん、タテに並んでも理屈は同じです。
 その場合については、次セクションで解説しましょう。

2.実際に使ってみよう!

 次は、実際の盤面で XYZ-Wing を使ってみましょう。

図 2-1

 図2-1 では、とあるマスに数字が判明します。
 それを XYZ-Wing で突き止めてみます。

 各マスの入り得る数字を調べてみましょう。

図 2-2

 図2-2、A〜Cの3マスに注目します。
 さて、状況はどうなっているでしょう?

  • マスAには数字4, 7, 8のみが入り得る。
  • マスBには数字4と7のみが入り得る。
  • マスCには数字7と8のみが入り得る。
  • マスAとBは同じ列に属している(ただしブロックは異なる)。
  • マスAとCは同じブロックに属している。
  • マスA, B, Cは一直線上にない。

 これは XYZ-Wing が使えますね!
 早速使いましょう!

図 2-3

 結論はこうなります。

  • 図2-3、×印のマスに数字7は入らない。

 マスAには4, 7, 8のどれかが必ず入ります。
 すると、入った数字に応じてマスB, Cに影響が出ます。

 マスAに4が入った場合は、マスBに必ず7が入ります。
 マスAに7が入った場合は、マスBもCも数字が確定します。
 マスAに8が入った場合は、マスCに必ず7が入ります。
 結局、3マスA, B, Cのどこかに数字7が入ることになるんですね。

 というわけで、×印のマスに数字7を入れることができなくなりました(図2-3)。

図 2-4

 うまく XYZ-Wing が使えましたね!
 もぅちょっと解き進めてみましょう。

 緑色ヨコ列(図2-4)に注目しましょう。
 ×印マスに数字7が入らないことも踏まえると……

 なんと、緑色ヨコ列で数字7が判明しちゃいました😊

3.候補数字の大きな秘密

 ここからは余談です。
 今までは解法 XYZ-Wing を解説してきましたが、実は、対象となる3マスには大きな秘密が隠されているんです。
 このセクションでは、その話をしようと思います。

図 3-1

 図3-1 の盤面、3マスA〜Cで XYZ-Wing の形ができています。
 この3マスで解説していきましょう。

 まず、パッと見でわかる特徴は、候補数字が全3種類だということ。
 3マスで全3種類。
 まるで3国同盟みたいですね。
 ただ、残念ながらこれは3国同盟ではありません。

 それとは別に、もうひとつ特徴があるんです。
 各候補数字の配置、これに大きな特徴が潜んでいる。
 どんな特徴なんでしょう?

図 3-2

 実は、候補数字の配置がそれぞれこうなっているんです。

  • 候補数字1はただ1つの列に存在している。
  • 候補数字2はただ1つのブロックに存在している。
  • しかし、候補数字3は複数の列やブロックに存在している。

 たしかに、図3-2 を見ると一目瞭然だ!
 1はどれも青色ヨコ列に収まっている。
 2はどれも赤色枠のブロックに収まっている。
 3は列&ブロック両方にまたがっている。
 まさに上記の特徴通り。

ただ1つの候補数字を除いて、どの候補数字もただ1つの列またはブロックに収まっている。

 これが、XYZ-Wing の持つ大きな特徴なんです。

 さぁ、XYZ-Wing に秘められた特徴がわかりました。
 じゃぁ、その特徴がどういうふうに3マスA~Cに作用していくんでしょう?

図 3-3

 実は、3マスA〜Cに対して成り立つことが1つあるんです。

  • 数字1も2も1個までしか入れられない。
    つまり、数字1, 2は合計2個までしか入れられない。

 なぜでしょう?
 例えば、候補数字1はヨコ1列にしかありません。
 マスAかBに数字1を入れられるけれど、1カ所に入れたらもぅ終わり。他のマスには1を入れられない。
 数字2も同様で、最大1カ所にしか入れられません。

 3マスA〜Cのうち2マスまでなら数字1と2で埋められる。
 逆に言えば、数字1, 2だけでは最大2マスまでしか埋まらないんです。
 あれ? マスはまだ残ってるよ?
 残りは……どうするの?

 そうです。数字3で埋めるしかないんです。
 だって、数字1と2で埋めきれないんですもの! 3も使うしかない!

図 3-4

 数字1, 2だけでは3マスを埋め尽くせない。
 どうしても数字3が必要になる。
 というわけで、3マスA〜Cについてこういう結果に至るんです。

  • 3マスA〜Cのどこかに必ず数字3を入れなければならない。

 実際は、候補数字3はA〜Cすべてにあります。
 だから、そのどれかには必ず数字3が入ることになりますね。

 この結果を経て「×印マスに数字3は入らない」という結論に至ります。
 セクションとは論法が異なりますが、同様の結論になりました。

図 3-5

 ここで、3マスA〜Cの配置について話をひとつ。
 実は、名前が付いています。

 この3マスはピンク色領域に存在していますね。
 1列と1ブロックを合成したL字型の領域です。
 簡単に言うと、マスA〜Cは「折れ曲がった形」に配置されているわけです。

 この3マスA〜Cをひっくるめて Bent Naked Subset と呼びます。
 bent は「曲がっている」という意味。
 Naked Subset とはn国同盟という意味。
 3マスだと Bent Naked Triple なんて言い方をするのかな?

 この Bent Naked Subset という概念、XY-Wing 系を深く理解する際には重要なカギとなっています。
 これを理解すれば、XY-Wing 系の解法をすべて理解できてしまうのです。
 それほどまでのスグレモノ!

 一般的な Bent Naked Subset については、Bent Naked Subset のページで解説しています。
 ヒマな時にでもご覧ください。
 あ、内容はかなり難しいので、気力と体力が足りない時に読むと後悔するかも😅

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