2000/09/03 公開
担当:カルネアデス

ADAM の続き (仮名)

桐野杏子 #18


私は本部長の後を追う様に歩いている。あの尾行犯を
捕まえるにしても逃げるにしても、歩かなくちゃイケナイのよ。

桐野杏子「‥‥あれ?」

氷室恭子「‥‥あら?」

曲がり角から出てきた二人組、佐久間さんと氷室さんに出会った。
だからと言って誰の歩みも止まらない。

佐久間裕一「奇遇ですね、甲野さん。」

甲野三郎「それはこちらの科白だよぉ〜佐久間君。」

桐野杏子「爆発しましたよね?」

佐久間裕一「ああ‥‥射撃場の方からだな、多分。」

氷室恭子「‥‥そうでしょうね。」

二人の会話には正直驚いた、二人ともまだ一日もここには居ないのに
内調の構造を覚えてしまったのかと、私は‥‥全然覚えられなかったのに‥‥。

佐久間裕一「ホントはそんな用でこっちの方に来たんじゃなかったんですけどね。」

甲野三郎「そういえばそんな事もあったねぇ〜。」

佐久間裕一「内調の新人捜査官氷室恭子‥‥お借りしても良いですよね?」

甲野三郎「君ねぇ、折角(せっかく)私が苦労してて手に入れた
                『優秀すぎる人材』を着任した直後に横取りしなくてもいいじゃないか。」

佐久間裕一「元々俺の紹介ですよ。」

甲野三郎「まぁ‥‥ね。別に構わないけどね。そういう事だ氷室君、短い付き合いだったがサヨナラだ。」

氷室恭子「さっ、サヨナラってオーバーな。特殊機関ってこんな人材ばっかりなのかしら?」

甲野三郎「さあ‥‥そうかもしれないねぇ。優秀さとの落差と言った所かな?」

緊張感の欠片(かけら)も無いわね‥‥。

佐久間裕一「あーあ、折角覚えたのに‥‥これじゃあ間借りできませんよ、甲野さん。」

甲野三郎「ぐっ‥‥それは言わないでくれたまえ。」

桐野杏子「内調が爆破されたのってこれで二回目ですよね‥‥。」

甲野三郎「そうだねぇ、それも桐野君が『急ぎで入ってきた時』ばっかりだねぇ。」

あぐぅ‥‥そ、そんなのって‥‥。

氷室恭子「佐久間さん‥‥あなた‥‥。」

佐久間裕一「もう俺も若くないんでね、こいつに頼る事にしたのさ。モデルガンだけどね。」

佐久間さんの方を見ると右手に銃が握られていた。
確か警官に携帯許可が下りる「ニューナンブ」という銃よ。
普段見たことがない眼鏡も掛けているわ‥‥。

氷室恭子「それとまったく同じ事を言って、実は本物だったという人が居たけど?」

佐久間裕一「例の王子さまかい?」

氷室恭子「‥‥‥‥。」

氷室さん黙り込んじゃったわ‥‥。

甲野三郎「次の曲がり角だ、そろそろおしゃべりは止めにしたいとね。相手はプロの殺し屋さんだからねぇ〜。」

いつもの調子で言い放つ本部長‥‥えええ、殺し屋ってそんなに軽く言わなくても!?

佐久間裕一「ふ‥‥やはりそうですか。それにしても今まで緊張感がまるでなかったですね。」

甲野三郎「桐野君ががちんがちんじゃ困るから君達も乗ってくれたじゃないのよぉ〜さてっと、行こうか?」

‥‥私の為だけにあんな会話を?

佐久間裕一「ま、モノは違いますけど‥‥行けますよね?」

佐久間さんが眼鏡の位置を直して銃を眺め、本部長に一瞥(いちべつ)して言った。

甲野三郎「ふふん、それは私の科白だよ、佐久間君。」

帽子の鍔(つば)をあげて言う本部長。

佐久間裕一「じゃあ、二人の事は任せたよ、きょうこ君。」

甲野三郎「無理しないでやってくれたまえ、きょうこ君。」

氷室恭子「ホントに無理しないでよ。」

ちょっと、任せたって何をですか!?と訊こうとするのを見越したように、
氷室さんが私の耳元で囁(ささや)く。

氷室恭子「殺し屋さんは俺様達に任せて、きょうこさん達は天城、少年両名を連れて逃げろってことよ。」

私は次元の違いというべき能力の差に、ただただ愕然(がくぜん)とするだけだった‥‥。

これから瞳に映る光景に比べたら子供だましも良い所だったんだけどね‥‥。

to be continued ...


あとがき

こんにちはカルネアデスです。

えー、諸事情で杏子さんの方を先に公開しておきます‥‥
小次郎の方は‥‥いろいろ検討中です‥‥ごめんなさいね。
久しぶりに7日ぐらいで更新しちゃいましたねぇ、5日でしたけど今回 (^^;

本部長が前線に出る希少な作品になってしまいました (^^;
後悔はしてませんけどね‥‥登場人物が勝手に動いてくれてますから‥‥。

前回ので小次郎が容易に内調に入れたわけが解ったでしょ?
誰もいなかったからなんですよ(笑)

今回は出番の無い人に出てきてもらおうかと思いました(笑)
始めは出る予定だったんですけど‥‥柴田茜さんです。
実験段階の新しいタグ仕様ですけどね、
なんかのこの後書き‥‥本編に匹敵しそうな長さですけど(笑)

諸事情というか初期設定ミスで佐久間さん登場時点で没が決定してました (^^;



柴田茜「チョット小次郎、なんでボクが没なのサ! それに決定って一体なんなのさ!」

作者「あ、いや、私は小次郎じゃないし (^^;」

柴田茜「でも全然出ないってことも無いんでしょ?」

作者「諸事情で出ることになったかも‥‥。」

柴田茜「なんなんのさ、その『諸事情』って?」

作者「次回小次郎編の公開如何(いかん)で全部変わってしまうので‥‥だから桐野が先に公開‥‥。」

柴田茜「なんなんだヨそれ! なんでボクの登場が小次郎に左右されなくっちゃダメなんだヨ!」

作者「だってねぇ、出すんだったら活躍とか、それなりの役割をしてもらいたいので。」

柴田茜「それって‥‥おまけ程度の活躍だったら出演させてもらえないってこと?」

作者「まぁ、そういう事。顔だし程度で出しても誰も喜ばないかなと‥‥。」

柴田茜「でも‥‥出ないより出ていた方が絶対良いに決まってるじゃないヨ。」

作者「出したら勝手に活躍してくれるかもしれないけどね‥‥。」

柴田茜「じゃあ簡単じゃないか、ボクを出してヨ。勝手に活躍するから!」

作者「えー、安易にブン屋出して引っ掻き回されるのしゃくだし(笑)」

柴田茜「小次郎、キミねぇぇぇ(きぃぃぃ)!! ついでに私はフリーのルポライター(←強調)なの。」

作者「横文字は出来る限り和語に変換して使ってるから(笑)」

柴田茜「(呆れた)‥‥誰か私を出せって言ってきた人いないの?」

作者「居なかったよ、弥生は出せと言ってきた人がいたけど。」

柴田茜「‥‥‥‥。」

作者「でも弥生は法条が出ないと出てこないから‥‥そうなるとユカも出さないと駄目。」

柴田茜「法条さんに桐野さん達が会いに行くんじゃなかったの?」

作者「全部山場が鍵を握ってましたからねぇ。山場の状況によって全部変わっちゃうんですよ順番。」

柴田茜「法条さん出さないつもりだったの?」

作者「出現案二案あったんだけどね‥‥出るのと出ないのと。今の状況下だったら、法条より君に出番はあるけどね。」

柴田茜「なんだか素直に喜べないような‥‥。」

作者「今の時点ではね‥‥もしかしたら出ないかもしれないけどね(笑)」

柴田茜「笑い事じゃないヨ小次郎!!」


ハリセンの炸裂音が響く、丑三つ時に‥‥。



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