ＥからＡへの物語

　何度この科白を吐いた事だろうか、
煙草を吹かした回数と等しいんじゃないか？

　俺は佐久間裕一。今居る所は俺が関係しているとこではなくって
エルディア共和国と言う所。いわゆる観光と言うヤツだ。

　‥‥暑いぞ。

　着て見て少し後悔している、発展途上国でありながら
洒落んならないほどの科学力を有していると言う話だ。

　あぁん、俺は諜報部員だからな。極秘情報をもっているわけよ。
で、それに興味を持ったので単身出張を実行へと移した‥‥と言うわけさ。

　‥‥独断専攻とも言う。

　どの道、この情報が本当かと言う事実確認の作業でもあるわけだ。
ドウセ何時かは誰かが、誰が為に行動するかだ。

　無論、俺の探究心の為なのは秘密にしておいてくれ。

　これは言っておくが、あくまで観光旅行だから。忘れんなよ！
‥‥誰に言ってんだ、俺は。

　‥‥さて、問題はどうやって侵入するかだな。
何時もの手は使えないだろうからな、此処は異国だ。

　地の利も無し、言葉も通じるか怪しいものだ。
さて、どうしたものかな‥‥。

　‥‥‥‥。

　仕方が無い、あそこの噴水で本格的に一服するか。
突っ立ちながら煙草を咥えていてもなんかイマイチだ。

　ドン！！

「あう‥‥ちぃ！！」

　噴水がおかしな方向を向いている。
‥‥違うわな、俺が地面に寝ているんだ。

　俺は思いっきり吹っ飛ばされた‥‥らしいな。
俺の上にはこっちの国らしい肌色をした少女が居るし‥‥。

　‥‥地面に寝転がっている方が涼しいかと思いきやそうでもなかった。
等しく暑いぞ‥‥これは。

　少女は目を閉じたままだ、起きてもらわないと俺が困る。
少女の頬をぺちぺち叩いてみた‥‥反応無し。

　頬を引っ張ってみた、思いのほか伸びて俺の方が吃驚した位だ。
ゆっくりと元の形に戻してから解放した‥‥なんとなくだ。

　口元に手を当てる、呼吸はしているらしい。

　さて、これは‥‥どういう展開なんだ？
しゃあないので当初の予定通り噴水の所で一服をかます事としよう。

　変なお供が増えたと言う点を除いては‥‥な。