気分悪くしたらゴメンナサイ。



はじめてのウツ 


★ 2002. 8.22. Thu. 
 以下は、昨日(8/21)書いたものです。

 幾何学ナンプレ。
 ナンバープレースの中でも、群を抜いて作りづらいパズル。
 普通のナンプレだと1問を1時間くらいで作れるけれど、幾何学ナンプレは非常に複雑だから何時間かかってできるかはわからない。
 うまくいけば1〜2時間でできるけど、ひどいときは……ドツボにハマる。

 今の今まで、その幾何学ナンプレを作ってました。8問。
 普段はパズル制作にストレスを感じることのないオレだけれど、今回ばかりは違ってた。
 できん。
 とにかくできん。
 作ってる途中で破綻する。
 普通のナンプレであっても、作っている途中で破綻することがある。
 幾何学ナンプレの場合は、それが果てしなく多い。
 破綻したら、少しさかのぼって作り直す(最初っから作り直すわけではない)が、油断してるとまた破綻する。
 作っては破綻、作っては破綻。
 何度繰り返せば、パズルの神は許してくれるのか。
 過去に3日間で12問作った経験があるから8問なら2日間でできるかなぁとは思ってたけれど、見通しが甘かった。
 締め切りを大幅に遅らせてしまった。

 最初の2問は順調に2〜3時間ペースで完成できたのに、3問目がドツボにハマった。
 夜中2時に1問作り始めて、悩みに悩んで夕方4時。
 机の前で流れる14時間。
 それでも完成できずに、あきらめて最初から(ブロック分けの時点から)作り直した。14時間を水泡にした。

 締め切りを過ぎていたから、焦りがあった。
 ほとんど仮眠しかとらず、メシもほとんど食っていない。パズル原稿を作るかたわら、目の下にクマも作っていた。
 できるだけ机からは離れたくなかったから、麦茶や缶コーヒーで食をつないだ。
 もちろん、サイト更新や掲示板のレスなんぞは御法度。
 メールチェックもせず、ネットもほとんど繋いでいない。
 部屋の片づけもせず、部屋が缶コーヒーのゴミ溜めと化した。
 ステキな退廃ぶりだが、オレが一番にやるべきことは8問完成である。
 でなければ、仕事から解放されることはない。
 歩みの遅い1問完成。
 イライラがつのる。
 「あぁ、まだ2問目だ」「あと5問もある」と遠いゴールテープばかりを考える。

 それでも、昨日の昼3時までになんとか7問完成した。
 さぁ、最後の8問目だ!
 多少、余裕が生まれたのか、「メシを食おうか」とスーパーへ弁当を買ってくる。
 ところが、悲劇は起きた。
 オレの体内が“長い空腹モード & 長い不眠モード”だったせいなのか、弁当食ってる最中に胃のあたりがキリキリ痛み出す!!
 数年前からごくたまにこういう状態になることがあるんだけれど、よりによってこんな切羽詰まったときに……。
 「最後の1問だから、なんとかガマンして作ろう!」と自分を律して机に向かうが、キリキリがおさまらない。
 結局、キリキリに耐えきれず、弁当を食いかけのまま無念の思いで布団につく。
 ただでさえ遅れている原稿を、みすみす一日延ばしてしまう。

 普段は、原稿が終わると“ひと仕事終えた満足感”を得る。
 しかし、今回はそんな気分になっていない。
 原稿の最中に別の編集者さんから「この問題、途中から先が解けない」と電話が入ってて、気持ちが少しヘコんでいる。
 自分では「最後まで理詰めで解ける」と判を押して原稿を送ったつもりが、意に反する答え。
 自分でもチェックしてみるが、たしかに最後まで解けない。
 やっちまった。
 これで、ミスは3回連続になった。
 もぅ、仕事を干されてもおかしくない。
 それに、なにより、編集者さんや「i-modeパズラー」の管理人、「i-modeパズラー」を訪れた方々に3回も迷惑をかけている。
 せっかく i-modeパズラーに来てくれたのに、オレの駄作で客を離してしまう。
 そう考えると、さらに気持ちがヘコむ。
 客を増やさず、苦情を増やしてどうする。
 まだ救いなのは、編集者さんはオレの上司でも何でもないことだ。
 注意は受けるが、怒られることはない。
 もし、これが上司だったりしたら、怒声のひとつやふたつは浴びて奈落の底まで気持ちがヘコむ。

 もちろん、決して別解などのチェックを怠っているわけではない。
 しかし、二重三重にチェックしたつもりがスキを狙ったようにミスが出る。
 一度ならまだしも、二度三度ともなると自分で自分の脳と能を疑う。
 もともと、昔からオレは忘れっぽく“どこか抜けている”人間ではあったが、仕事でも抜けっぷりを発揮する。
 詰めが甘い。
 理詰めの好きなオレが、理詰めで完璧になれない。
 こうなると、どんなに別解のチェックをしても「別解がなくなった」と確信が持てない。
 自分のチェック力に自信が持てない。

 これだけの醜態をさらけ出すと、もはや自分から“プロのパズル作家”と名乗るのが恥ずかしい。
 まぁ、“プロの”という修飾語を自分から積極的に口走るのは「自分には能があるんだぜ」と自慢しているみたいでもともと恥ずかしいんだけれど、それ以前に“プロ”の名がまったく体を表していないことが恥ずかしい。
 一人前までの道のりは10年くらいかかるから作家歴3年ではまだ半人前と言ってもいいかもしれないが、3回連続のミスなんてアマチュアでも出さない。
 他人から金をむしり取るのがプロだ。
 だから、その金額に見合う対価を提供するのがプロの務めだ。
 しかし、その務めができていない。
 名と体を高いレベルで一致させてこそ、プロたるもの。
 肩書きだけでは、いずれ潰れる。

 今は、“プロの”という言葉を隠したい気分だ。
 とりあえず、3回連続で完璧作品を送り出すことで“3回連続ミス”の埋め合わせをして、言葉を戻したい。
 0−3のスコアを3−3にしたい。
 0−4は避けたい。
 ノーアウト満塁。しかし、もぅ1点もやれない。


 パズル作家になって4年目。
 こんな経験、はじめてだ。



もどる
TOPへ

EPSILON ★ DELTA
管理人:E坂もるむ