2000/12/06 公開
担当:カルネアデス


劇場版 ああっ女神さまっ

〜哀しき妖精の物語〜


#02


私が意識を失っている間、介抱してくれた彼。
平凡過ぎる時間を過ごしてきた私に人間界は新鮮だった――いえ、
新鮮すぎたわ、毎日が新しい発見の連続……。

だから……彼にも興味を持った、幼い頃より聞かされていた
御伽噺(おとぎばなし)の出来事も思い出さないまま……。
その行為――御伽噺を忘れている事は良い意味でも悪い意味でも、
充実した日々を私達にもたらしてくれた。

そして私達は愛し合った、世界中の祝福を一身に受ける……はずだった。

私達の目前に障害が立ちはだかったの。

神の試練の象徴――「裁きの門」が私達の前に出現した。

その時……私は全てを思い出した、あの御伽噺を……御伽噺と言う名の試練を。

人間界以外では幼い頃より御伽噺と称して語り継がれる「裁きの門」にまつわるお話。
異種族同士で惹かれ合った二人はやがて「裁きの門」の審判を受けなければならない。
お互いを信じあった者達だけがくぐり抜ける事が出来るというこの試練を……。
信じあえなかった者達は永遠に引裂かれると言う試練を……。

未だかつてこの門をくぐり抜けた者達は居ないという……話よ。
噂では異種族が結ばれない為にだけ存在しているモノだとも聞いたわ。

お互いが本当に信じあっていなければくぐる事は叶わない裁きの門。
引き返すことは……お互いを信じあえないのと同じ事を意味するわよね。

これが現われた時点でもうくぐるしかない……。



この門が現われるまで彼の事を一点の曇りも無く信じてた……けど、
一抹の不安が膨らんでいくのを……感じる。

彼にもこの門の事は話したわ、いきなり現われたこの門の説明もしなくちゃ駄目だったし。

彼はいつもの通り、優しい笑顔を見せてくれる。

「僕は、君を愛してるよ。どんな事があっても信じてる。」

彼の決意は揺ぎ無いモノだったそれに引き換え私は……。

そうしている間にも私の中の不安はどんどん大きくなる、
このままではもう不安は抑えられない、この場にへたり込んでしまいそう……。

私は覚悟を決めた、大丈夫、私は彼を信じている!……と。

そして彼を視線を交わして……手を握り合った。
彼の右手は……温かかった、そして……震えていた。

ああ、不安なのは私だけじゃないんだ……こうして手をつないでいると
先ほどの不安が払拭される気がするわ。

そして、裁きの門を私達はくぐった……。



「裁きの門」をくぐる瞬間、視界は光に包まれて真っ白になった。

視界が開けてきた……その時、左手に彼の気配がなくなっているのを感じた。

頭上には「裁きの門」がそびえていた……だけど、その周囲には私一人しか居なかった。

私達は……もう二度と触れ合う事は出来ない………………その事実を突きつけられていた。

to be continued ...


あとがき

こんにちは、カルネアデスです。

えー、なんか再現みたいな事になっているように感じなくも無いですけど、
勝手に書いてしまったので仕方が無いですね (^^;

と言う事で後二回は続きます……そうなんですよ、増えてるんですよ(冷汗)
まだ4回目の分は書いていた無いんですけど……コレが一番書きたかった所の
筈なのにまだ手が付いていないと(苦笑)

今回から次期創作作品の基本仕様フォントにしました。
タグの方はまだ昔のまんまですけど……。

とりあえず今年中には終わらせたいなと言う希望をもっています、それでは。


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