2000/12/24 公開
担当:カルネアデス


劇場版 ああっ女神さまっ

〜哀しき妖精の物語〜


#05


スクルド「仙太郎……。」

仙太郎「スクルド……。」

ついに裁きの門をくぐる決意した二人は、手を取り合った。

スクルド「…………。」

仙太郎「なぁスクルド、コレをくぐったら……キスしてくれないか?」

スクルド「……へっ?」

お互いを信じられなかったら二度と合う事は叶わない試練の門の前で
仙太郎はとんでもない事を言い放ったわ……でも、うらやましいわね……。

スクルド「ばっ……人前でなんて事を言うのよ!」

仙太郎「ははは、それだけ元気があれば大丈夫だろ?」

スクルド「へっ……あ……えっ……、うん。」

仙太郎の機転でスクルドの肩から力が抜けたわね。





そして二人は無事に裁きの門をくぐり抜けた……。

モルガン「おめでとう、スクルド。仙太郎。」

仙太郎「ありがとう……えっとモルガン……。」

スクルド「覚えていないなら名前は言わなければいいのに……。」

仙太郎「別にいいだろ……。」

照れ隠しに自分の頭を掻く仙太郎。
あらあら、そっぽ向いちゃったわ……。

スクルド「…………。」

モルガン「……? どうかしたの、スクルド?」

スクルドが、私の顔を凝視しているように見えるんだけど……?

スクルド「良い笑顔(かお)してるわよ、モルガン……そんな貴女、初めて見たわ。」

モルガン「……え?」

私はスクルドの指摘に固まった、まさかそんなことを言われるなんて
夢にも思わなかったから……。

どんっ!

モルガン「きゃぁ!?」

私がスクルドの一撃に油断した瞬間、突如背中に衝撃が走った。
私はその力に贖(あがな)う事も叶わず……裁きの門へ飛び込んだ……。

門をくぐる瞬間に視界に光が溢れてくる……私は咄嗟(とっさ)に眼を閉じる……。
その刹那、左手に懐かしい温かみを感じた……。

仙太郎「ノーブル……?」

スクルド「……ちょっと、勝手な事しないの。」

二人が何かを言い争っているみたい……けど、この左手に感じる温かみは……
確かめるのが怖い……駄目……瞳を開く事が……出来ない……。

ぐいっ。

そう思った矢先、私の左手が上へ引っ張られる。そして私は何かにぶつかった。

「……モルガン。」

聞き覚えのある声が……二度と聴く事が叶わないとばかり思っていた……
その声が私の頭上から聞こえてくる。私は抱き締められている格好になっている
……その状態で私の顔は何か暖かいものに包まれている……そう感じたわ。

とくんとくん……。

規則正しい心音が聴こえる……。
私自身を形作っているモノが全てこの心音に溶けてしまいそうな……そんな感覚……。

目頭が熱くなる……閉じた瞼(まぶた)から、零れ落ちる涙と言う名の
想いの言葉を紡(つむ)ぎながら……私は重かった瞼を……押し上げた。

視界に広がるのは涙……その傷害を持ってしても確認が出来てしまうほどいとおしい……
ぼやけた視界の中で私が愛したあの人が……あの人を確認した。

モルガン「……ぁ……あぁ。」

「モルガン……やっと逢えたね。」

そして彼の顔が私の顔に近づいてきて……私は……私達は口付けを交わした……。
長く……この時が止まってしまっているのかも……と思うほど……永(なが)く……。



ずっと――――――――――――。













to be continued ...


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