2000/03/01 公開
担当:カルネアデス

ADAM の続き (仮名)

桐野杏子 #15


佐久間裕一 「あれ、桐野‥‥君?」

桐野杏子 「え? 佐久間さん?」

この人は佐久間裕一さん、私の新しい勤め先、教育監視機構の大先輩。
すっごく古株で事件もいっぱい解決しているそうよ。

‥‥何で内調に来てるのかしら?

佐久間裕一 「君、今日は授業じゃなかったっけ?」

‥‥しまった、そうだったわ。

桐野杏子 「ははは、すっかり忘れてました。」

佐久間裕一 「君の授業は面白くて生徒に大人気らしいね。」

桐野杏子 「‥‥そうなのかな?」

佐久間裕一 「ふふふ‥‥。」

桐野杏子 「?」

佐久間裕一 「普通の教師なら絶対にやらない様な事も、模範演技しているそうじゃないか。」

桐野杏子 「‥‥。」

ぐっ‥‥言い返せない‥‥。

甲野三郎 「‥‥ぷっ。」

桐野杏子 「‥‥本部長。」

甲野三郎 「いやぁ、悪い悪い。」

佐久間裕一 「‥‥っと、それじゃあ甲野さん、また後で来ます。」

甲野三郎 「ああ、そうしてくれると助かる。 なんせいきなりの来客だ。 悪いね。」

佐久間裕一 「ええ、今度はこちらがここを間借りできるように、
                   すみからすみまで巡回してきますよ。」

甲野三郎 「たはぁ、手厳しいねぇ。」



桐野杏子 「‥‥佐久間さんとお知り合いなんですか?」

甲野三郎 「んんん――。 もちろん‥‥っと君は部外者だから、秘密だよ。」

桐野杏子 「まさか青島さんと和久さんみたいな関係?」

甲野三郎 「この作品は踊る大捜査線じゃないよ、杏子君。」

桐野杏子 「‥‥で、本部長。」

甲野三郎 「なんだい、杏子君?」

桐野杏子 「まりな先輩のことですけど‥‥。」

甲野三郎 「ああ、アレね。 まりな君、入院しちゃったのよ。」

桐野杏子 「なんでまりな先輩がそんなことに‥‥。」

甲野三郎 「今回の事件はかなりデカくてね、只では済まなかった‥‥
                まぁ、そういう事だよ‥‥。」

桐野杏子 「そうですか、生きてるんですね?」

甲野三郎 「まぁ、一応は。」

桐野杏子 「一応?」

甲野三郎 「直接会いに行ったらどうだい?」

桐野杏子 「そうします‥‥ああ、そうだ。忘れてました。」

甲野三郎 「んんん‥‥まだ何かあるのかい?」

桐野杏子 「天城さんと一緒にいた男の子のことなんですが‥‥。」

甲野三郎 「ふむ、普通の男の子だったみたいだけど。」

桐野杏子 「変な男に付け回されたそうです。」

甲野三郎 「つけまわすとわ‥‥ただ単に進行方向が同じなだけじゃないのかい?」

桐野杏子 「天城さんと同じ事を言うんですね。」

甲野三郎 「一般論でしょ、今の。」

桐野杏子 「でもその前に、両親が車の炎上事故に巻き込まれて‥‥。」

甲野三郎 「そういえば昨日そんな事件あったよ。 まてよ確か少年が行方不明だった。」

桐野杏子 「さっきのがその子です。」

甲野三郎 「へぇ、杏子君。 そんな事も知らずに保護したのかい? それも夜通し。」

桐野杏子 「天城と途中で偶然逢って、今日はもう動かない方がいいと言ったんです。」

甲野三郎 「それは、お楽しみでしたね。」

桐野杏子 「?」

甲野三郎 「あ、ごほん。」

桐野杏子 「それであの子を保護してほしいんですけど。」

甲野三郎 「気になる点が一つ、最寄りの交番に立ち寄らなかった理由を聞こうか。」

桐野杏子 「それはまりな先輩と同質の威圧感を感じたからで、
                交番へ駆け込んだとしても、お構い無しで行動に出ると思ったからです。」

甲野三郎 「なるほど、もしかしてその男は刃物を持っていなかったかね?」

桐野杏子 「ええ、『なた』 じゃないですけど、なにか切れ味がわるそうなモノを。」

甲野三郎 「『なた』? それはすごい表現だね。 もしかしてこれかい?」

本部長が差し出した写真、その『なた』がうつっている。

桐野杏子 「あ、これです、この 『なた』 です。」

甲野三郎 「杏子君、『なた』 って見たことあるの?」

桐野杏子 「見たこと無いです‥‥。」

甲野三郎 「‥‥あ、そうなの?」

桐野杏子 「ええ‥‥でも直感で!」

甲野三郎 「直感って君ねぇ‥‥。」

桐野杏子 「それと嫌な気分だったんです。
                別に殺気とか感じられるほど訓練してないんですけど‥‥。」

甲野三郎 「‥‥へぇ、杏子君がねぇ。」

to be continued ...


あとがき

今回のこれは大幅に書き直す可能性大です(汗)
普段ならそのまま続けてしまうのですがこれは良く解かりません‥‥
何処で切っていいのか解からなくなってしまったので、取り合えず公開しておきます。


佐久間裕一、悦楽の学園の主人公。
教育監視機構の古株、氷室恭子のかつての同僚。
現在、桐野杏子はこの組織に所属している。


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